モデル兼タレントの小林千花（こばやし・ちか＝26）が1日、株式会社ファーストキャビンHD（本社・東京都）の株主総会で、常勤取締役に承認された。総会後、同社が公式サイトで発表した。昨今、著名人が企業の社外取締役に就任するケースは多いが、小林は常勤取締役での起用。しかも、26歳での抜てきになった。小林が所属する生島企画室の生島ヒロシ会長も「経営の実務経験でタレントとしての魅力も増す」と、異例の兼業を歓迎している。

　現役のタレントが有名企業の常勤取締役になった。同社は、航空機のファーストクラスをイメージしたコンパクトホテルを全国8店舗（フランチャイズ含む。9月16日で9店舗）運営。2020年7月、創業会社から経営権を譲渡され、代表取締役社長は米良浩幸氏が担っている。昨年7月には気象予報士の森田正光氏が社外取締役に就任。公式アンバサダーは、宇賀なつみアナウンサーが務めている。そして、26歳の小林を抜てき。ENCOUNTの取材に応じた米良社長は、その理由を「ホテルに関しての知見と情熱を評価してのこと」と説明した。

「小林さんとは2か月前に知り合い、生まれ育った環境から、ホテルについて広くて深い知識を持っておられることを知りました。そして、弊社がコンセプトの『ステイスマート』をさらに進めていくにあたり、小林さんの若くて柔らかい発想力、行動力が必要と考えました」

　米良社長の言葉通り、小林は生まれながらホテルに関わってきた。曾祖父は丸の内ホテルを創業。父親は3代目で、小林は幼少期から国内外のホテルに泊まり、知見を広めてきた。と同時に高2までは宝塚女優を目指し、受験3回で断念。大学在学中に芸能事務所の生島企画室と所属契約し、舞台女優として活動してきた。そして、数々の作品に出演するも、コロナ禍を機に女優活動を休止。その後は雑誌「美人百花」の専属読者モデルを務め、ホテルライターとして、同誌やウェブメディアのHint-Potなどに寄稿している。また、昨年1月23日には、日本テレビ系バラエティー番組「スクール革命」に出演し、「おすすめの宿」を紹介している。

　そうした芸能活動の一方で、デリバリーアプリ「menu」の広報担当などを務めるOL業も経験。さまざまな交流を続けていく中で、今年6月にファーストキャビンHDの米良社長らと出会い、同社の経営陣に加わる決意に至ったという。

「重責を担うことになり、身が引き締まる思いです。ホテルにはさまざまな形態がありますが、私は、お客様に心地良い時間を過ごしていただくというホテルの本質は同じと考えています。まずは、私と同年代の女性も含め、多くの方々にコンパクトホテルの魅力を知ってもらいたく、腰を据えてこの仕事に取り組んでいきます。その上で、お声を掛けていただいた芸能のお仕事も頑張りたいと思います」

　報告を受けた生島会長も「これはいい話」と歓喜。小林とのタレント契約を継続しつつ、応援していく姿勢を示した。

「彼女は育った環境から、ホテルの在り方を知り、経営、ビジネスの能力を身に付けています。また、誰に対しても明るく話せるタイプで、大物にも物怖じしません。例えば、初対面のデヴィ夫人の方から『連絡先を教えて』と言ってくる程の魅力を持ち合わせています。こうした機会を得たのも、一期一会を大事にしてきたからであり、新しいキャリアウーマンとしての形を築く機会にもなると思います。経営の現場を知ることは、タレントとしても大きなプラス。今後、コメンテーターやオピニオンリーダーとしてのチャンスが生まれてくると思います」

　小林は早速、ファーストキャビンHDの業務にあたっており、９月16日開業の大阪・西梅田店のPR策を協議。同月7日に開催されるメディア向けイベントの司会を務めることも決まっているという。

□小林千花（こばやし・ちか）1995年10月3日、東京都港区出身。丸の内ホテル創業家の次女に生まれ、幼少期から宝塚女優を目指す。しかし、最終審査で不合格となった3回目の受験を最後に断念。高校を卒業後、明治学院大に進学。2018年から生島企画室に所属し、舞台を中心に俳優として活動。20年8月からmenuの系列株式会社ルーデルで採用広報として勤務。21年2月からmenuの広報・PRを担当し、同年4月から「美人百花」（角川春樹事務所発行）の専属読者モデルとなった。menuは今年8月31日で退社。特技は「一度お会いした人の顔と名前を覚えられる」。趣味はホテルめぐり、宝塚観劇。「利き酒師」の資格も持っている。155センチ。血液型O。