映画「万引き家族」などで知られる俳優の城桧吏（15）が、最新映画「ゴーストブック おばけずかん」（7月22日公開）で仲間のために奮起する少年を熱演している。「アクションや殺陣にも挑戦したい」と意欲を見せる城は、過去の人気作を観ては所作などを研究しているという。インタビュー中に起きた“不思議な出来事”には、「おばけかも？」といたずらっぽく笑い、周囲が肝を冷やす場面もあった。（取材・文＝西村綾乃）

　映画は、大人が知らないベストセラー「おばけずかん」シリーズを基に、どんな願いもかなえてくれるという「おばけずかん」を手に入れた子どもたちの冒険の物語。城は普段は気弱だが、仲間のために立ち上がる少年・一樹を演じた。登場するおばけたちは、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などで知られる山崎貴監督が、映画用にデザインしたもの。

「おばけたちはCGキャラクターでできているので、何もないところを見て演技をすることが難しかったです。でもおばけたちの声はすでに収録されていたので、撮影のときは声を聞きながら演技をしていました。現場では山崎監督が『このシーンの一樹は、こういう感じなんだよ』と説明をして、気持ちを引き出して、イメージをしやすいようにアドバイスをもらいました。撮影前に隣で動きを見せてくれるなど、納得がいくまで話をして臨んでいたので、山崎監督が『オッケー！！！！！！！！！』と大きな声で言ってくれたときは『気持ち良いな』と充実感がありました」

　怖がりで頼りない一樹が願いをかなえるために、思い切った場面は見てほしいポイントだという。

「好きな場面は『高いところから飛ぶシーン』です。アクションをやってみたいと思っていたので、楽しく撮影ができました。映画には山崎監督が生み出した、個性豊かなおばけたちがたくさん登場します。最新のVFXを駆使した不思議な世界を楽しんでもらいたいです。僕が仲良しになってみたいおばけは『山彦』。僕も山彦みたいな力が欲しいですね」

　将来は殺陣などにも挑戦したいと語る城。これまでとは毛色が違う役も演じてみたいと思いを膨らませている。

「怖い役や、犯人役もやってみたいです。後は、アクションや殺陣にも挑戦できるよう、いろいろな方の舞台にも足を運んで動きを見たり。映画も大好きなので、自宅では、よくアクション作品を観ています。最近観たのは、『銀魂2 掟は破るためにこそある』。小栗旬さんのアクションに圧倒されました。銀魂の『3』があったら、ぜひ出演したいです」

　現在、高校1年生。映画に登場する「どんな願い事もかなえてくれる本」を手にできたら「英語を話せるようになりたい」と目を輝かせた。

「話せたらかっこいいし、役の幅も広がるかなと。行ってみたいのはアメリカ。世界遺産にもなっている『イエローストーン国立公園』に行ってみたい。あとは3つあるディズニーリゾートにも行きたいです。好きなキャラクターは、（東京ディズニーシーなどにいる）ねこの『ジェラトーニ』です」

　原動力は「どんなときも楽しむこと。割とポジティブで、笑っていれば何とかなるという性格」と自己分析する。インタビュー時に行った写真撮影。窓の外に目をやる様子を撮影したデータを確認すると、城ではない“人の姿”があった。顔面蒼白になった記者が目を凝らすと、何のことはない。記者の後ろにいた関係者が、窓ガラスに反射して写り込んでいたのだった。

　シャッターを切る手が止まったため、城に素直に明かすと「おばけだったりして！」と印象的な両目をクリクリとさせた。「見えない存在を感じたことがある」という城。生つばを飲み込み、「データを見返すのは止めよう」と誓った。

■城桧吏（じょう・かいり）2006年9月6日、東京都生まれ。代表作は18年の「カンヌ国際映画祭」でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」、20年公開の映画「約束のネバーランド」など。趣味はゲーム。AB型。

ヘアメイク 中島愛貴
スタイリスト 吉田ナオキ