小学生の発明がまさかの物議 ランドセルって必要? 実は地域差、過去には廃止論も

京都の「ランリック」、小樽の「ナップランド」などランドセルを使わない地域も

 実は、日本国内でも慣習的にランドセルを使わない地域もある。京都府南部では、朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でも話題となった黄色いナイロン製リュック「ランリック(ランリュック)」が今も主流だ。ランドセルは一般的なもので重さ1キロ前後だが、ランリックは760グラムと軽量。価格も1万円以下とリーズナブルだ。

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 販売元であるマルヤスの担当者によると、ランリックが誕生したのは1968年。当時の長岡第三小学校の校長が、お金がなく豚革のランドセルを使っていじめられていた子の保護者から相談を受け、マルヤスに安価な通学用かばんの開発を依頼。当時は交通戦争といわれる時代で、実際に事故で亡くなった児童もいたことから、交通安全カラーの黄色のランリックが誕生したという。地道な売り込みの甲斐あって、安くて軽いと教員やPTAを中心に話題となり徐々に地域に浸透。学校指定ではなくあくまで推奨だが、現在も180校近くで採用されている。

「今は黄色の他に赤と紺、A4ファイル対応のモデルでは黒ベースのものもあります。最初はデザイン的にダサいという声もありますが、使ってみたら軽くて丈夫で6年間壊れないとポジティブな意見をいただいております(笑)。ランドセル以外で登校していいと言われても、どんなものなら大丈夫という基準がないと結局はランドセルになってしまう。最近は『こういうものなら大丈夫』と、滋賀や福岡、埼玉など他県の学校からもお問い合わせをいただいております」

 また北海道小樽市では、なんと市内の7割以上の小学生がナップザックの軽量性とランドセルの強度を持った「ナップランド」というリュックを愛用。販売元の担当者が不在のため詳しい経緯は聞けなかったが、1970年に雪の多い小樽の通学で小学生が苦労しないようにと開発されたものだという。価格6500円(税別)、660グラムと軽量で、撥水加工が施されているため雪にも強く、カラーも12色を取り揃えている。島根県出雲市内の一部地域でも1971年ごろから現在まで「ランバッグ」というナイロン製のリュックが採用されているなど、必ずしも小学生の通学にランドセルが必須ではないことが分かる。

次のページへ (3/6) 1960年代後半には全国各地の学校でランドセル廃止の機運が高まった過去も
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