小学生の発明がまさかの物議 ランドセルって必要? 実は地域差、過去には廃止論も

1960年代後半には全国各地の学校でランドセル廃止の機運が高まった過去も

 歴史的には、受験戦争が激化していた1960年代後半に「詰め込み教育の象徴」「軍隊教育の名残」「交通安全上危険」などの理由で全国各地の学校でランドセル廃止の機運が高まった過去がある。

 かつて自治体としてランドセルを廃止していた兵庫県西宮市の教育研修課の担当者は「『勉強は学校で、しつけは家庭で』という方針もと、当時の教育庁長官が1966年から段階的に各校にロッカーを設置、教科書を置きっぱなしにさせる教育正常化運動を進めました。70年にはすべての学校にロッカーが設置されましたが、73年に長官が退陣すると徐々に運動は下火に。それでも80年の調査ではまだランドセル通学は15.5%に留まっていたようです」と説明する。広島県府中市では、同様の理由から1965年頃から2003年まで、なんと40年近くにもわたってランドセルが廃止されていたという。

 当時廃止されていた地域でも時代の流れで今では再び市民権を取り戻したランドセルだが、これからは多様性が重視される時代。「小学生=ランドセル」ではなく、さまざまな選択肢があってもいいのではないだろうか。

次のページへ (4/6) 【写真】京都府南部を中心に現在も使われている「ランリック」
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