野杁の試合映像を散見していくと、最も象徴的なのが両腕を使ったダブルガード戦法。人気漫画「キン肉マン」でいうところの「肉のカーテン」にも似た動作になるが、野圦はこの鉄壁のガード戦法を用いて、対戦相手の攻撃をことごとくブロックしてきた。だが、海人はこれについても特別視はしていないという。

「あれも日本人選手では特別少ないですけど、外国の選手とか見ていると、割とああいうブロックしている人が多くて。外国人ともなれば、より一層カラダの強さとかもあるので、それをされても倒していけるように、僕はずっと準備をしてきたので、野杁さんレベルのガードをされていても、僕的には問題ないのかなと思います」

　一方、海人が得意とするのは、ファイティングポーズの状態からノーモーションでさまざまな打撃を繰り出していく、いわばノーモーションアタック。今回はルール上、ヒジうちは認められていないものの、過去にはこの戦法でのヒジうちで、対戦相手の顔面から血の雨を降らせてきた。

「僕は割と得意というか、斬れるヒジを打てるので、当てに行くというより、当たれば斬れますよね。もし野杁さんが相手でもヒジありだったら相手にはならないと思うんですよ」

　ちなみに、斬れた瞬間は分かるもの？

「分かりますね。斬れたなあっていう感じは分かりますね」

　まさに人間凶器。恐ろしさを感じる。

「ヒジは怖いですよね。ヒジありで闘っている時は、斬られたら終わっちゃうので。怖さとかスリルはヒジありのほうがありますね。でも、野杁さんはK-1ルールやからこそ強いと思うし。僕は野杁さんが強さを発揮できるルールで闘って、倒したいと思っていますね。僕の場合はSBルールでも闘えますし、ヒジありでもムエタイルールでも闘えますし、RISEとかRIZINとか、いろいろ細かいところでルールが違っていたりするんですけど、僕は立ち技であれば、どのルールでも得意なので、K-1ルールでも問題ないかなと思います」

　投げ・絞め・立ち技関節を認めるSBには、すでにそれだけで独自の世界観が存在しているが、SBといえば、他の立ち技団体と違い、トランクスではなく、ロングスパッツを着用することで、視覚的にも大きく差別化がはかられている。それは創始者でもあるシーザー武志会長の意志でもあった。いわく、ファイターをよりカッコよく見せるため、でもある。

「シュートボクサーが『立ち技最強』にならないとダメじゃないですかね。キックボクシングっていうと、いろんな団体があったりしてわからないところもあるんですけど、SBはひとつしかなくて、唯一無二の存在なので、『立ち技最強』はSBしかないと思っています。だからそのSBが負けるのはダメやと思うから、ロングスパッツにもプライドを持ってますし、SBにもプライドを持っています」

　立ち技最強はSBかK-1か。その答えは「THE MATCH 2022」のリングで導き出される。