【週末は女子プロレス#52】空手世界一で現役の看護師、異色の女優・長野じゅりあがプロレスラーになったワケ
伝統派空手の元・世界チャンピオンで、アクション女優、現役の看護師でもあり、そして、今年3月からプロレスラーの肩書きも加わった。“多才すぎる”長野じゅりあは、東京女子プロレスのリングに上がり、プロレスの世界に入ってきた。それまではプロレスについての知識はほとんどなく、深夜にテレビで放送しているのを見た程度。まさか自分がレスラーになるとは夢にも思っていなかったけれど、「プロレスやってみない?」の声で、空手家としての闘う本能に火が点いた。きっかけは、90万人のフォロワーを持つTikTokでの動画投稿。空手の型を披露した姿が、サイバーファイト社長・高木三四郎の目に留まったのだ。
夢にも思っていなかったプロレス挑戦
伝統派空手の元・世界チャンピオンで、アクション女優、現役の看護師でもあり、そして、今年3月からプロレスラーの肩書きも加わった。“多才すぎる”長野じゅりあは、東京女子プロレスのリングに上がり、プロレスの世界に入ってきた。それまではプロレスについての知識はほとんどなく、深夜にテレビで放送しているのを見た程度。まさか自分がレスラーになるとは夢にも思っていなかったけれど、「プロレスやってみない?」の声で、空手家としての闘う本能に火が点いた。きっかけは、90万人のフォロワーを持つTikTokでの動画投稿。空手の型を披露した姿が、サイバーファイト社長・高木三四郎の目に留まったのだ。
「高木さんから『この子、プロレスにいいんじゃない?』って感じで声をかけていただきました。空手で培われた闘ってみたいという潜在意識があったみたいで、もう何も考えずに、やりますと返事しちゃいましたね(笑)」
5歳から18歳まで空手を続けていた長野。しかしながらプロレスはまったくの別物だと、練習を始めてから痛感した。
「空手は立ち技ですし、プロレスには関節技がある。もうホントに素人から始めた感じでしたね。いま関節技を練習しているんですが、とにかく難しいし、あらためて痛いんだって思いました」
とはいえ、持って生まれた格闘センスはホンモノで、ある意味プロレス向きだった。小学生時代にはルールを無視して暴走。「頭に血が上っちゃうと相手のアタマをつかんでぶん殴っちゃったりとか、『やめ!』って言われても、なんでやめなきゃいけないんだって相手をボコボコにしちゃったり(苦笑)」
空手を始めたのは母親の勧め。母子家庭で育った長野は留守番も多く、母からよく、「強くなりなさい」と言われていた。本人の意思とは無関係に無理やり稽古に連れていかれていたというのが、本当のところだという。
「私はただやらされてただけなんですけど、試合になると無敗で、5歳からずっと強かったんですよ(笑)。勝てば勝つほど負けたくない気持ちが増強していって、空手のおもしろさを知っていきましたね」
2006年、当時10歳の彼女は「第5回糸東流空手世界選手権大会 形の部 9歳~10歳 女子3級以上」で優勝、世界一になった。
「表彰台の一番高いところに立ってメッチャうれしかったです!」と当時を振り返った長野。中学生時代には空手のサイトを見ていたときに偶然、“映画出演者募集”の広告を見て応募。オーディションを通り、なんといきなりヒロインの座を射止めてしまった。谷村美月主演の映画『サルベージ・マイス』で、ナンバーツー的ポジションの“空手少女役”をつとめたのだ。
以来、テレビドラマを中心に活動。その後、母の影響から看護師をめざし就職、脳外科で働き始めた。「やりがいが多すぎた」というほど充実した仕事だったが3年目に女優業を再開させ、最近ではドラマ『病室で念仏を唱えないでください』『ビッ友×戦士 キラメキパワーズ!』にゲスト出演、最新作は5月6日公開、5月27日より池袋で再上映の映画『ファーストミッション』。看護師6年目で、プロレスラーの肩書きも加わった。本来なら芸能活動のため看護師はやめるつもりだったものの、病院からの要請もあり非常勤として勤務しているという。演技の方では、海外でも活躍できるアクションスターが目標。そこには、空手の先生から勧められたブルース・リーの影響も含まれている。
そして、プロレスだ。デビュー戦は3・19両国国技館。いきなり、東京女子史上最大のビッグマッチである。
「(最初から)こんな大きなところでやるんだと思って、そこで闘う決心はあらかじめついていたんですけど、入場はすごく緊張しましたね。でも、いざ闘いになったらそんなことは忘れて相手に勝つことだけに集中できました。実際には負けてしまい(鈴芽&遠藤有栖組vs宮本もか&長野じゅりあ組で宮本が鈴芽にフォール負け)、これって久々に人に負けたことになるんですよ。負けるってこんなに悔しいんだと思いました。と同時に、プロレスっていいな、楽しいなとも思えたのがデビュー戦。(自分が)カッコいいなって思えましたし(笑)」