元自衛隊「対テロ部隊」の日本人がウクライナで“極秘任務” ロシア侵攻前に現地入りした驚きの理由

日本に帰国後、取材に答える男性【写真:ENCOUNT編集部】
日本に帰国後、取材に答える男性【写真:ENCOUNT編集部】

EU加盟目指すも経済は発展途上 「穀物以外に産業がない」

 戦地を体験した男性が今、思い出すのは、ロシアに攻め込まれる前のウクライナの街並みだという。ヨーロッパ風の美しい建物が並ぶ表通りに比べると、一歩入った裏通りは建物の修復もままならず、ギャップを感じた。「ウクライナもEUに加入したいから、なるべく取り繕うようにしているんですけど、穀物以外に産業がない。それを考えると、経済状況はいいとは言えなかったですね」

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 情報収集をしている中で、身近な貧富の差も感じた。ウクライナは平均年収が50万円とも60万円とも言われる。「ホテルの警備員は大きい銃を持っています。自分はアジア顔をしているので目立つんですよね。なので、彼らの心をつかむためにチップを渡すんですけど、日本円で100円ぐらいのチップを渡すだけで大喜びでした。そのあとこっち来いと言われて、ロシアが来たらこうするぞとか、こういうふうに防御するとか、いろいろな情報を教えてくれましたね」

 一方で、「大学を卒業したホテルのベルマンとかアゼルバイジャンから来ていた労働者、あとは弁護士やパラリーガルをやっているような人たちは、現地通貨でお金をもらおうとは絶対しなかったです。ユーロを要求してきます」。チップを払う際に要求される通貨の種類で、明確にラインが分かれたという。

 侵攻される前は、「汚職がひどくて賄賂が横行している」と、政府への批判も耳にしたが、もはや不満は聞こえてこない。「戦争が起こったら愛国心がすごくて、みんながウクライナのために戦っている」。男性はウクライナの変化を実感しつつ、ロシアとの戦いの行方を案じていた。

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