サイゼリヤ“超難関”間違い探し イラストレーターが語る「売れる絵」の描き方

20個ほどの間違いから簡単すぎるものを省いて10か所に厳選

 サイゼリヤから間違い探しのお仕事をいただいたのは2017年から。僕自身、それまでは間違い探しを描いたことはありませんでした。間違いの箇所は指定されてくるので僕が決めているわけではありませんが、長いことやってるとここだろうなというのがある程度予測できてきますね。間違いは10か所ですが、いつも20個近く入れて簡単すぎるところは省いて作ってます。間違い探しなので、細かく描きつつ描き込みすぎないように、似たようなワンパターンな間違い方はなるべく増やさないように気をつけてます。

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 やっぱり難しいですよね(笑)。「料理が届くまでの時間も楽しんでもらう」というのがコンセプトですが、人によっては熱中しすぎて料理が冷めてしまうこともあるかもしれません。ただ、イラストを描いているだけで僕が考えているわけではないので、「ザ・ロケット・ゴールドスター」の問い合わせフォームに「難しすぎます!」と意見をいただいても困ってしまいます(笑)。

 最近は小学校の図工や総合の時間に講義をしに行ったりもしています。発想力を鍛える授業で、〇と□と△に線を足して何に見えたかを考えさせたり、せりふのない2コマ漫画を描かせて、誰が一番面白かったかを競わせたりする。もう何百人と見てきていますが、子どもたちからはいまだに自分が考えもつかないようなユニークな答えが出てきますね。

 これから絵描きやイラストレーターを目指す人に伝えたいのは、自由に好きなだけ、たくさん描いた方がいいということ。絵でも音楽でも何でもそうだと思うんですけど、自分よりうまい人ってたくさんいるんですよ。上手に描くよりも、「自分の画風はこれだ!」というものを確立した方が武器になる。間口は狭くても、依頼する側が完成図をイメージしやすいので、仕事にもつながりやすくなります。絵具、クレヨン、墨でも何でも描けるようになる必要はないし、たとえ描けるようになってもそれは代わりがいくらでもいるってことなんです。通知表でオール3を取るくらいなら、1があったほうが個性だと思います。

 大学で就活を辞めた頃、「金をもらって描くのは純粋な芸術じゃない」みたいな考え方があって、周りの友達はみんな一般企業に就職した。「好きなことやっても食べれない」とか「趣味を仕事にしたら嫌いになる」とかいうけれど、好きなことやって食べていくのが一番かっこいいに決まってます。逆に言えば、どんなにうまくても稼げなければ趣味でしかない。自分の武器になるものを磨いて、頑張ってください。

□山崎秀昭(やまさき・ひであき) 1969年4月2日、富山県富山市出身。大阪芸術大学美術学科卒業後、フリーランスでイラストレーターの活動を始める。2001年、有限会社「ザ・ロケット・ゴールドスター」を設立。2008年より、小学校への出張授業を行う。

次のページへ (3/3) 【写真】サイゼリヤ並み? 愛らしいキャラクターがびっしり描き込まれた須磨海浜水族館のイラスト
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