サイゼリヤ“超難関”間違い探し イラストレーターが語る「売れる絵」の描き方

かわいらしくポップな絵柄からは、想像もつかないほど難易度の高いサイゼリヤの間違い探し。手掛けるのは「ザ・ロケット・ゴールドスター」のペンネームで活動するイラストレーターの山崎秀昭さんだ。ありそうでない唯一無二の画風はどのようにして確立されたのか。

「ザ・ロケット・ゴールド・スター」山崎秀昭さんが手掛けるイラスト【提供画像】
「ザ・ロケット・ゴールド・スター」山崎秀昭さんが手掛けるイラスト【提供画像】

芸大卒業後は出版社にアポなしでイラストを売り込み

 かわいらしくポップな絵柄からは、想像もつかないほど難易度の高いサイゼリヤの間違い探し。手掛けるのは「ザ・ロケット・ゴールドスター」のペンネームで活動するイラストレーターの山崎秀昭さんだ。ありそうでない唯一無二の画風はどのようにして確立されたのか。(取材・文=佐藤佑輔)

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 子どもの頃から絵を描くことは好きで、将来は画家になりたいと思っていました。僕が大学に入ったころは今みたいにコースが細分化していなくて、教授の評価が高いからという理由で現代アートのような訳の分からない絵ばかり描いてましたね。

 会社員になるのが嫌で、卒業後は居酒屋のバイトをしながら出版社に絵を応募したり、ポストカードを作ったりして生活していました。東京にも何度も持ち込みに行きましたよ。今みたいにスマホの地図もない時代。事前に電話すると断られちゃうから、本屋で住所を調べて、クロネコヤマトとか佐川急便の台車を引いてる配達員に聞くんです。彼らはどのビルの何階にどこの編集部があるとか、全部知ってるんですよ。今ほどセキュリティーも厳しくなくて、守衛さんに絵を見せたら編集長を呼んできてくれたこともありました。

 ろくに出版物を調べもせず、とにかく片っ端からアポなしで突撃してたので、何も知らずに女性誌の「CanCam」編集部に持ち込んじゃったこともありました。髪を巻いたお姉さんばかりの職場の中、たまたま編集長だけ男性で、「君、面白いから描いてみる?」とモデルさんのエッセイに載せる題字と挿絵を描かせていただいたのが最初の仕事。10年後くらいにあいさつに行ったときには、「あのとき山崎くんに優しくしといてよかったよ」と言ってもらえました。

 画風はそのころからもう今の形に固まっていました。趣味ではなく絵を仕事にする以上、まずは稼げなくちゃいけない。自分は写実的な絵は得意じゃなくて、単純な線でできた説明しすぎない絵の方が好きだったのと、当時はポストカードを売り歩いてて、何百種類というカードの中から手に取ってもらわないといけなかったので、自分の好きなものと、売れるもの、需要のあるものの中間点を探っていってたどり着いた感じですね。自分の絵では楽しい気持ちになってほしいので、見る人が不快にならないように、悲しかったりグロテスクなものは描かないようにしています。

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