犬猫のマイクロチップ義務化 健康上の問題は? 注意すベき点を日本獣医師会に聞いた

マイクロチップの販売ルート【写真:環境省ホームページから】
マイクロチップの販売ルート【写真:環境省ホームページから】

販売業者による代理登録ができない、獣医師にアクセス権限がないなどの懸念点も

 環境省とともにマイクロチップ義務化を主導してきた立場の日本獣医師会だが、一方で今回の法改正にはいくつかの懸念点もあるという。境副会長は、販売業者による代理登録ができないことで制度が形骸化しかねない点、獣医師にチップ読み取りの権限がなく実効性に疑問符がつく点を挙げる。

「ペットショップで購入後、お店ではなく購入者自身が登録をしなければならず、仮に怠ったとしても罰則はありません。せっかくマイクロチップを入れても購入者が登録を忘れてしまっては何の意味もありません。また、個人情報保護の観点から、データベースの閲覧が動物愛護センターか警察署に限られ、獣医師にはアクセス権限がないというのもどうか。例えば迷子のペットが事故にあったとき、まずは動物病院に運ばれてきますが、飼い主が分からなければ治療ができず、たらい回しになることが予想されます」

 それまでAIPOを運用してきた日本獣医師会からすると、そのノウハウを無視した環境省のデータベースは無駄が多く、またブリーダー、ペットショップ、購入者の3者からそれぞれ手数料を徴収しても大きな赤字が見込まれるという。自治体が各地の獣医師会に委託しているという狂犬病予防ワクチンのデータとの一本化もできず、手続きの煩雑さだけが増える結果になるのではと危惧をする。

「これまでは任意でしたが、ちゃんとした飼い主はやっていた。義務化しただけで罰則がない以上、飼い主によっては忘れてしまったり、あえて登録しないということも考えられる。マイクロチップの導入で虐待や遺棄が減少するとは一概には言えません」

 きちんと運用できれば不幸なペットを減らせることにもつながるマイクロチップの装着義務化。飼い主一人一人が正しい知識と責任を持ってペットを迎え入れることが肝心だ。

次のページへ (3/3) 【実際の写真】専用の注射器で埋め込まれるマイクロチップ
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