eスポーツ部員は約2300人 ネットの高校・N高が重視する“友達作り”と“社会性向上”

N高eスポーツ部には「生徒が集まりやすい土壌がありました」

 創部当初からトップを目指していたわけではないが、他校に先駆けての設立、そしてN高の土壌から、トップクラスの人材が集まるようになった。母体であるドワンゴがニコニコ動画でゲーム実況者を手厚く支援していたこともあり、「ゲームというコンテンツ自体にも非常に力を入れてきたので、シンパシーを感じてくれて、生徒が集まりやすい土壌がありました」と吉村氏。「その結果、強い選手も集まってきてくれて、運営側も応援する。そうした形がほかの学校よりも早くできた結果、最も人が集まりやすいコミュニティーになったというところです」。

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 全国屈指の強豪校として知られる今でも、根底にあるのは学業との両立、そして前述のようにインターネットを介するeスポーツでの友達作りや、競技経験を通しての成長だ。これはN高、S高としての理念とも共通する部分がある。

「われわれはネットの高校生活で友達ができることを重要視しています。友達がいると進学・進級率が高まるという学内での分析が進んでおり、モチベーションを維持する、社会性を育てるということにもつながります。

 われわれはネットにおけるコミュニティーとプロダクティビティー(生産性)を信頼しており、世界を変える可能性があると考えています。N高等学校・S高等学校はネットを駆使した未来の学校であるとともに、ネットで友達が作れる学校なんです。ネットを活用して生涯の友達も作るし、忘れることのできない熱い経験をして、世界に通用するような結果も出せるという状況を作りたかったんです」(吉村氏)

 eスポーツ部員の卒業後の道はさまざまだが、ネットでつながる仲間とともに切磋琢磨した経験は色あせない。N高でeスポーツに打ち込んだからこそ、“世界に通用する結果”を出せた――。ビッグニュースとともにそんな言葉が聞こえてくる日も、そう遠くないかもしれない。

※S高はN高の生徒数増加に伴い、2021年度に開校した“第二のN高”。部活動や授業もN高と共同で実施する

□吉村総一郎(よしむら・そういちろう)学校法人角川ドワンゴ学園副本部長/S高等学校校長。東京工業大学大学院修了。エンジニアとしてドワンゴ入社、ニコニコ生放送の各種ミドルウエア開発に携わる。その後、角川ドワンゴ学園にてIT戦略部長、講師としてプログラミング教育をけん引。

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