T-BOLAN森友、病のメンバーと一緒に乗り越えたバンドの窮地「彼の一歩がバンドの光になった」

約28年ぶりのオリジナルアルバム「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」をリリースしたロックバンド「T-BOLAN」。バンドにとっては久しぶりのアルバム制作だが、コロナ禍という制約の中で4人はどのように結束して作品を作り上げていったのか? シリーズで紹介しているT-BOLAN森友嵐士のロングインタビュー。今回はアルバム制作から見えてくるバンドとして今もっとも大切にしていることについて聞いた。

「T-BOLAN」森友嵐士【写真:塩見徹】
「T-BOLAN」森友嵐士【写真:塩見徹】

バンドとして一緒にいることがすごく大事なこと

 約28年ぶりのオリジナルアルバム「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」をリリースしたロックバンド「T-BOLAN」。バンドにとっては久しぶりのアルバム制作だが、コロナ禍という制約の中で4人はどのように結束して作品を作り上げていったのか? シリーズで紹介しているT-BOLAN森友嵐士のロングインタビュー。今回はアルバム制作から見えてくるバンドとして今もっとも大切にしていることについて聞いた。(インタビュー・文=福嶋剛)

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――ニューアルバム「愛の爆弾=CHERISH」は、決して大げさではなくT-BOLANの13通りの「魂」を感じました。

「うれしいです」

――T-BOLANが完全復活して5年後に今回のアルバムが完成しました。復活して5年を掛けてようやくアルバムが出来上がった。そんな感覚ですか?

「そこは全然違うんです。2016年のカウントダウンライブがあって、そこで継続的な活動をしていくと俺たちは宣言しました。そこから再びT-BOLANとして本格的に活動を始めるんだけど、あのときは全国ツアーをやってみんなに会いに行くことしか考えてなくて、ライブをやることで満たされていたんです。それでツアーも落ち着き、30周年を目の前にして何かメモリアルになるものファンのみんなに届けられたらいいなと漠然と考えていて、じゃあそろそろアルバムを作ってみようかなって、そんな気持ちになったんですよ」

――アルバムの収録数は全部で13曲という大作です。

「今回収録した曲の半分は前からコツコツと作りためてきて、最初にできた曲は、12年に生まれた『声なき声がきこえる』。そして去年アルバムの中心となる『愛の爆弾』が生まれて最後に『A BRA CADA BRA ~道標~』が出来上がった。時間でいうとだいたい10年ぐらいの幅がある曲が12曲そろいました。

 そこで、さまざまな出来事を経て1度は終わってしまったバンドが再び活動を始めて、28年ぶりにその一発目となるアルバムを出すんだから、せっかくならT-BOLANの誕生に関係した縁起のいい数字の『13』にこだわってみようと思って、もう1曲だけ追加したんです」

――それが90年代に作られていた幻の曲「Crazy Me Crazy U」なんですね。

「そう。これは5枚目のアルバム『LOOZ』(1993年)の後に作った曲でレコーディングも終わった状態でお蔵入りになっていたんです。これまでほとんどの未発表曲は俺のソロアルバムに収録したんだけど、唯一この曲だけ世に出していなかった。そのことを思い出してエンジニアに当時のマスターテープを探してもらったら、とてもきれいな状態で見つかったんです。90年代の俺たちの最後となった『LOOZ』と今回28年ぶりに出す『愛の爆弾=CHERISH』をつなげる曲がこれで出来上がった。そこで当時の歌を生かしてアレンジと演奏を録り直して完成させたんです。まさに90年代と今をつなぐ曲になりました」

――28年という長いブランクを経ての久しぶりのアルバム制作はいかがでしたか?

「昔は何もかも完璧じゃないといけないって常にそう思っていたんですが、もともと上野(博文、ベース)のゴールを作りたいと思ってバンドとして再スタートしたところもあって、ライブだってアルバム制作だって、どれも完璧を目指さなくてもいいとは思いながら取り組んでいました」

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