「あれば最強」と太鼓判 プロが薦める災害時に使えるアウトドア用品【避難所生活編】

東日本大震災から11日で11年を迎える。近年はキャンプや登山などアウトドアブームの高まりから、防災用品としても使えるアウトドアグッズに注目が高まっている。災害時に本当に使えるアウトドアグッズとはどのようなものなのか。登山用品専門店「石井スポーツ」ヨドバシ新宿西口店の店員で、登山歴26年、南米最高峰のアコンカグアを始めヒマラヤ登山の経験もある鈴木岳載さんに聞いた。全2回の後編は避難所生活で使えるアウトドア用品についてお届けする。

避難所の固い床でも安心して休めるマット 座布団代わりにも【写真:ENCOUNT編集部】
避難所の固い床でも安心して休めるマット 座布団代わりにも【写真:ENCOUNT編集部】

電源確保にオートキャンプ用の大型バッテリーは「現実的とは言えません」

 東日本大震災から11日で11年を迎える。近年はキャンプや登山などアウトドアブームの高まりから、防災用品としても使えるアウトドアグッズに注目が高まっている。災害時に本当に使えるアウトドアグッズとはどのようなものなのか。登山用品専門店「石井スポーツ」ヨドバシ新宿西口店の店員で、登山歴26年、南米最高峰のアコンカグアを始めヒマラヤ登山の経験もある鈴木岳載さんに聞いた。全2回の後編は避難所生活で使えるアウトドア用品についてお届けする。

 今や日常生活だけでなく、非常時でも最も頼りとなるのがスマートフォンだ。家族と連絡を取り合う電話としての役割はもちろん、災害情報の収集、時には手元を照らすライトなど、その用途は多岐にわたる。それだけに、災害時でもスマートフォンのバッテリーをいかに確保するかが大切になる。

「フル充電したオートキャンプ用の大型バッテリーがあれば最強ですが、小型のものでも3~4キロの重量があり、非常時に持ち出すには現実的とは言えません。ソーラー式のモバイルバッテリーはかなり性能が上がっていて、条件がよければ2時間ほどでスマートフォン1台をフル充電できるものもありおすすめです。ただ、避難所で使うのであれば延長コードつきのマルチタップが一番ですね」

 停電時には電気だけでなく灯りも等しく重要だ。ひと昔前はマッチとロウソク、大きな懐中電灯が定番の備えだったが、今は小型のLED式ランタンやヘッドライトが多数そろっている。

「ランタンには軽く電池のいらないソーラー充電のものや、USBでスマートフォンの充電をできるものもあります。ヘッドライトは両手が空くので特におすすめで、乾電池式のもの、USB充電のもの、その両方が使えるものもあります。電池式はいざというときに切れていて使えないという考え方もありますが、乾電池なら予備がありさえすれば点くと考えることもできる。この辺りの考え方は人それぞれです」

 避難所生活を余儀なくされた際、寒さ対策や就寝環境も重要になる。快適にとはいかずとも、不安を感じることなく体を休めるにはどのようなものが必要なのか。

「体育館など床が硬い場合、横になれる大きさのマットが1つあればかなり役立つでしょう。簡単なのはエアマットよりもそのまま広げるタイプ。座布団代わりにもなります。防災用で考えるなら寝袋はダウンよりも安くて濡れに強い化学繊維のものがおすすめです。真冬に使うことも考えると、対応温度は少なくとも5度、できれば0度以下を選んだほうがいい。また、一般的に女性は男性より寒さを感じやすいと言われています。小さくかさばらないエマージェンシーシートもひとつ持っておくといいですね」

 さらに避難所生活で問題となるのが、プライベート空間の確保。特に女性の着替えやトイレは深刻な問題といえるだろう。

「登山をされる方であれば自立する山岳用テントをおすすめしますが、安い買い物とは言えません。最近はワンタッチで開くポップアップテントやサンシェードもあるので、そういったもののほうがいいかと思います。大きめのポンチョタイプで、中で着替えたり携帯トイレと合わせて用が足せるような商品もあります。他にも水のいらないシャンプーやいざというときの応急処置セットなど、極限の状況で役立つ商品があるので、これを機に一度店頭に足を運んでみてください」

 東日本大震災のあった3月11日や阪神大震災の1月17日、大きな台風や水害の後など、防災意識が高まる折には店頭から欠品が出ることもしばしばあるという。これを機に、もしものために万全の備えをしておきたい。

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