「ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞の中田青渚 人生2度目のトロフィーで生まれた女優の覚悟

大学にも進学し、その時間を大切しているという【写真:舛元清香】
大学にも進学し、その時間を大切しているという【写真:舛元清香】

大学の友人は「家族と同じくらい私をリラックスさせてくれる大切な存在」

 4人姉弟の長女。6人暮らしだった実家では、プライベートな時間を持つことが難しかった。

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「ご飯もみんな一緒であわただしかったです。いつでも『ワー、キャー』していました。実家を出て、1人の時間や空間ができたことは、役を深めることにつながりました。台本を繰り返し読む中で役が見えてくる。だから『まだ役をつかみ切れていない』と感じている状態で本番に臨まなくてはいけなかったときは、悔しい思いをしました」

 芸能活動をするための上京だったが、大学にも進学し、その時間を大切している。

「朝から授業があった1年生のときは、1人で起きて学校に行くだけでも大変でした。単位を落とさないようにと、友達がノートを貸してくれるなどして助けてくれました。課題に取り組んだり、同じことを一緒にできる友人たち。1人の人間として見てくれる仲間は、家族と同じくらい私をリラックスさせてくれる大切な存在です」

「憧れ」の宮崎あおいは、劇中歌を担当したことがあるが、中田は「歌は苦手」と首を横に振った。スラリと伸びた手足。中学時代は陸上部で長距離に取り組むも、「バスケットボールとか、球技はできないです」。そう言いながら、ボールを床につく真似はぎこちなくもほほ笑ましたかったが、写真撮影では、グッと魅力的な表情を見せた。首を傾げたり、いすに座って頬の横で両手を花のように膨らませるなど、少女と大人の顔で、カメラマンを前のめりにさせた。

 女優としての振り幅は大きく、等身大の役から実年齢よりも10歳下の中学生役も演じている。

「高校時代は芸能活動を並行していたので、高校生を演じるたびに、『これが青春か!』と経験できなかった時間を噛みしめています。学生役は、お話をいただけている限り続けたいです」

「あの頃。」で共演した松坂桃李は、12年の「第33回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を獲得し、第39、40回で助演男優賞、今年は主演男優賞を手にした。新たな才能を見つけることでも注目されている同映画祭。中田の未来も希望に満ちている。

□中田青渚(なかた・せいな)2000年1月6日、神戸市生まれ。「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを獲得した後、芸能事務所のアミューズで芸能活動を開始。映画は17年公開の「3月のライオン」、21年公開の「街の上で」、「うみべの女の子」、ドラマは18年のTBS系「中学聖日記」、テレビ朝日系「dele」などに出演している。164センチ、血液型O。特技はすぐに寝ること。

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