刑務所マニア・緑川ちひろが受刑者と文通して見えた世界 伝えたい「やり直し」の重要性

幼少期に読んだ漫画や、刑務作業で製作した「刑務所作業製品」(CAPIC)を展示・販売する矯正展に足を運んだことがきっかけで刑務所に興味を抱き、現在は受刑者15人と文通しているというグラビアアイドル・緑川ちひろ。「ミス東スポ2020」に輝き、グラドルとして活動するかたわらで、更生保護の活動にも力を入れている。「ただのアングラ女子だった」という彼女が、受刑者との文通を通して感じたことを語ってもらった。

15人の受刑者と文通をしているグラビアアイドル・緑川ちひろ【写真:安藤かなみ】
15人の受刑者と文通をしているグラビアアイドル・緑川ちひろ【写真:安藤かなみ】

最初は「文通をしたい」とそこまで強く思っていたわけではないんです

 幼少期に読んだ漫画や、刑務作業で製作した「刑務所作業製品」(CAPIC)を展示・販売する矯正展に足を運んだことがきっかけで刑務所に興味を抱き、現在は受刑者15人と文通しているというグラビアアイドル・緑川ちひろ。「ミス東スポ2020」に輝き、グラドルとして活動するかたわらで、更生保護の活動にも力を入れている。「ただのアングラ女子だった」という彼女が、受刑者との文通を通して感じたことを語ってもらった。(取材・文=安藤かなみ)

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 私は裏社会や犯罪を扱った本や漫画をたくさん読んでいた、ちょっと変わった子どもでした。矯正展に行ったのは、姉に誘われたから。意外に華やかで明るい雰囲気で、地域のお祭りのようで楽しかったです。お客さんも、地元の家族連れのような方が多く、抵抗感は全く感じなかったですね。行ってみたら、みんなすんなり溶け込めると思います。

 今の仕事をする前はOLをしていましたが、スカウトされて、レースクイーンになり、グラビアアイドルに転身。「ミス東スポ2020」という賞をいただきました。毎月1回、ラジオのレギュラーをやらせていただけることになり、番組プロデューサーに「刑務所について発信したい」と相談したんです。自分の好きなようにお話をさせてもらううちに、雑誌「実話ナックルズ」さんとのコラボコーナーを持たせていただけることになりました。ナックルズ編集部のバーガー菊池さんと一緒に、刑務所の話だけではなくて、アングラ全般の話をずっとしていましたね。

 そのうち、ありがたいことに、ナックルズさんで女子刑務所に関するコラムを毎月連載させていただくことになりました。ナックルズは拘置所までは差し入れとして届けることができるんです。過激な表現もあるので、刑務所への差し入れはNGなのですが……。コラムには私の水着の写真も載っていて、ナックルズ編集部の方からは「お手紙がほしいと書けば、きっとくるよ」と言われたのですが、本当にお手紙がきたときは驚きました。返信してやりとりをするうちに人数が増えて、今は15人の方と文通をしています。

 最初は「文通をしたい」とそこまで強く思っていたわけではなく、刑務所に興味があったので、それにまつわるアングラっぽい仕事をしたかったのが本音でしたし、「直接受刑者の方と関わることなんてないだろう」と思っていました。連載はすでに終了していますが、私は女子受刑者の方と直接お話したこともないですし、本やテレビ、メディア、元受刑者の方のSNSを参考にしてコラムを書いていました。ただ、書いているうちに「実際はどうなのかな」「現状はどうなっているのかな」と思うことは多かったです。

 私の文通は、ほぼ私からの質問です(笑)。最初は「なんて返そう?」と悩みましたが、「私は刑務所に興味があって、あなたがどんな暮らしをしているのか気になります」と素直に聞くことにしました。ただ、気持ちが入りすぎるとトラブルに発展してしまう可能性もあるので、あくまでも一定のラインは保っています。刑務所に入った経緯を書く方もいますが、書かない方もいます。刑務所に入っているのであれば更生してほしいと思っているので、私はその応援をしていることや、元気で過ごしてほしいということを書いています。

次のページへ (2/5) 文通を通じ、刑務所のイメージがガラリ「この人たちがいい方向にいく社会って、どんな社会だろう」
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