【週末は女子プロレス#38】KAIRI、4年9か月ぶり帰還リングは“因縁”の国技館「生まれ変わった自分を表現したい」

KAIRIは白いベルトへの興味も口にした【写真提供:スターダム】
KAIRIは白いベルトへの興味も口にした【写真提供:スターダム】

「引退も考えました。でもやっぱり、やり残したことがまだあるんですよね」

 WWE在籍中、日本凱旋は2度。18年8・31大阪と、19年6・28&29両国で、とくに後者はスターダム時代の後悔が残る両国でリベンジに成功、2連勝でのちの女子タッグ王座奪取につなげてみせるのである。

 そして今回、両国(今回も2連戦)にKAIRIとしてスターダムのリングに帰ってくる。こんどもまた、彼女にとって大きな節目となるだろう。というのも、宝城カイリとしてデビューし今年がちょうど10周年。アニバーサリーイヤーの初戦が両国でのスターダムとくれば、これ以上の舞台はない。

「私にとって転機の試合になりますね。10周年一発目で、スターダム復帰、そして思い出深い両国国技館。すべてが揃っているので、自分にとっても大きな挑戦になると思います。宝城カイリが帰ってきたというよりは、宝城カイリでもない、カイリ・セインでもない、KAIRIという名前で生まれ変わった自分を表現できたらなと思ってますね。KAIRIデビュー? そう、そういう感覚になりますね」

 2月18日の会見で久しぶりに公の場に姿を見せたKAIRI。しかしリングを離れて1年7か月、両国大会までもまだ時間がある。試合のブランクに関して不安はないのだろうか。

「気になるはずなんですけどね、いまは不安よりワクワクの気持ちというか、暴れまわりたい気持ちが大きいです。むしろコンディションは、今までのなかで一番いいんじゃないかってくらいですよ!」

 振り返ってみれば、スターダム最後のリングとなった17年6・4新木場、ここで宝城はアーティスト・オブ・スターダムのタイトルマッチを行い、その後10人掛けのエクストラマッチを敢行した。この時点でWWE行きは明かせなかったのだが、「長い旅に出ます」と世界への出航であることを示唆。同時に、「不安の方が大きいですけど、スターダムで乗り越えてきたことは本当にプラスになっているし、何事もあきらめないという教訓をこの5年半学んできたので、ワクワクする気持ちを忘れずに、失敗を恐れずに挑戦していきたいです。もっともっと学んでもっともっと生まれ変わって、みなさんの前に立ちたいですね」とコメントした。

 驚いたのは、この発言がそっくりそのまま現在の心境にも当てはまることである。宝城カイリ、カイリ・セインとはそれだけ真摯にプロレスに取り組んできたレスラーだった。そして、これからのKAIRIもそうだろう。

「(フェードアウト中は)引退も考えました。でもやっぱり、やり残したことがまだあるんですよね。日本とアメリカの両方を経験して、その経験がミックスされてる自分が試合をしたらどうなるのか、自分自身にも興味があります。それに、スターダムを去るときにファンの方と約束しましたから。おぼえてくれている方がいるかわからないですけど、必ず戻りますと約束したので、その約束は守りたいですから」

 会見では、具体的な話はまだしていないものの「お祭り的な参戦にするつもりはない」と継続参戦の意志があることを示唆し、白いベルトへの興味も口にした。対戦相手としては感情爆発の試合をする共通点からか中野たむを指名、“カブキ”を共通点とするウナギ・サヤカとのコンビをスターダム1期生岩谷麻優と組んで迎撃するプランを提示した。会見で襲撃された大江戸隊からは、スターライト・キッドとの一騎打ちが決定的だ。

 屈辱の初戴冠から世界へ羽ばたくメッセージを送り、スーパースターとして凱旋。そしてこんどは10周年イヤーの日本&スターダムカムバック戦。「私にとって転機になる試合しかない」という両国で、アップデートされたKAIRIがどんな闘いを見せるのか、いまから楽しみで仕方がない。

次のページへ (3/3) 【写真】近距離での撮影に恥じらいの姿を見せるKAIRI
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください