MMAデビュー3連勝の超新星 21歳宇佐美正パトリックが東京五輪落選から這い上がるまで

宇佐美正パトリックは、減量・調整の正解を見つけてきているという
宇佐美正パトリックは、減量・調整の正解を見つけてきているという

高校時代は69キロを主戦場にアマ6冠

ボクサーとして将来を嘱望されていた。高校ではアマ6冠を達成。打撃に絶対的な自信があったが、MMA転向は容易なことではなかった。まず減量だ。1月の「修斗」開幕戦では、ゲッソリとした顔がネット上で話題になっていた。180センチの宇佐美は「あの時は70キロまで落とすというのが1年以上やっていなかった。70キロって数字を2年間ぐらい見ていなかったので、正直キツイ部分もあった」と苦笑い。大学時代、ボクシングではミドル級(75キロ以下)だった。

一方で「高校1年生の時は、60キロ(ライト級)でやっていた。さすがに体に合わないと思って、69キロ(ウェルター級)にしてから全国大会獲ってそこから波に乗って、高校6冠を獲れました」

格闘家にとっての体重管理は試合のパフォーマンスに直接影響する。高校時代の60キロに比べれば、今が適正に近い。宇佐美自身も「水抜きとかで調整できれば、変わってくる。(プロ)で1戦1戦重ねるごとに、水抜きはどれくらいの方がいいかとか減量はどれくらいかなどの正解は見つけてきている」と手応えを感じている。

ボクシングの他に空手の競技経験もあり、スタンドでの闘いは経験豊富だ。しかし、すぐに順応できたわけではない。壁となったのは“距離感”だ。

「ボクシングは踏み込んで、(距離が)近くなったらクリンチすればいい。MMAは近づき過ぎるとタックルに入られたり……。最初は距離感が分からなくて、タックルを取られることも多かった」と打ち明けた。

当然グラウンドは未経験。意外にも「自分には未知の世界なので、悔しいというよりは楽しい」。さらに「あ、こんなときに隙があるなとか。寝技って攻防1つ覚えたら、また次に違う攻防がある。それが深い。ボクシングとはまた違った深みがあると思う」と目を輝かせる。現在は打撃練習よりも多く時間を割いて練習している。

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