「日本人とは何か」ディーン・フジオカ、異色の忍者アクションで出した答え

映像、音楽、ファッションなど幅広く活躍するディーン・フジオカが、映画「Pure Japanese」(28日公開)を企画・プロデュース・主演した。日光江戸村で忍者ショーの音響マンが少女の叫びをきっかけに、狂気と暴力を全開にさせるバイオレンス・アクションで、「トイレのピエタ」「ハナレイ・ベイ」の松永大司監督との初タッグを組んだ。ディーンが映画製作に関わる理由とは。

「Pure Japanese」で主演を務めるディーン・フジオカ【写真:舛元清香】
「Pure Japanese」で主演を務めるディーン・フジオカ【写真:舛元清香】

企画・プロデュース・主演の映画「Pure Japanese」28日公開、松永大司監督と初タッグ

 映像、音楽、ファッションなど幅広く活躍するディーン・フジオカが、映画「Pure Japanese」(28日公開)を企画・プロデュース・主演した。日光江戸村で忍者ショーの音響マンが少女の叫びをきっかけに、狂気と暴力を全開にさせるバイオレンス・アクションで、「トイレのピエタ」「ハナレイ・ベイ」の松永大司監督との初タッグを組んだ。ディーンが映画製作に関わる理由とは。(取材・文=平辻哲也)

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 日本語、英語、中国語、インドネシア語を操るマルチリンガル、NHK連続テレビ小説「あさが来た」(15年)での五代友厚役を始め、甘いマスクで女性に人気のディーン。その活動は俳優だけに留まらず、ミュージシャン、フィルムメーカーと幅広い。映画では、リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人、市橋達也受刑者(無期懲役)の手記を元にした「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」(13年)では監督・主演・主題歌を務めたこともある。

 オリジナル脚本による「Pure Japanese」もユニークな切り口の作品だ。主人公は日光江戸村の忍者ショーで効果音を担当する立石(ディーン・フジオカ)。社交性がなく、日本文化に傾倒した男で、日々、神社では非科学的なトレーニングに勤しむ変わり者。それが土地売却をめぐるトラブルに巻き込まれた高校生の少女(蒔田彩珠)の叫びをきっかけに、己を解き放ち、狂気をはらんだ自らの“正義”を発動させる……というバイオレンスだ。

「忍者アクション」といったジャンル映画のフォルムの下には、独自の哲学、いろんな問題提議をはらんでいる。日本人の純度を測るという検査キット「P(ure) J(apanese)キット」も登場し、日本人とは何か、正義とは何かを問いかける。それには、2000年代、台湾やインドネシアなど海外で活躍したディーンならではの思いがあるようだ。

「若い時は、『自分が世界へ』みたいな感覚だったんですけど、途中から考え方が変わってきました。世界というのは、自分の頭の中から外へと作り出すものじゃないか、と。日本で仕事をする一つのきっかけになったのが3・11(2011年の東日本大震災)。世界を追いかけるのではなく、自分で世界を作っていかないと本当の意味で行動していないじゃないか、と。仕事でのキャリアは自分の人生観と重なる部分も大きいんです」

「日本人とは何か」は大きなテーマの一つ。「自分は福島で生まれ、日本人だと思ってきて、途中で、国籍以外は日本人じゃないなと思うこともあったし、国籍も変えてもいいかなと思うことが何度かありましたが、それでも、国籍を変えないことを選んできました。日本人の定義って、多くの人が考えたことじゃないかと思うんですね」

 その日本人論もユニークだ。「僕が考える日本人とは、日本語を使っている“日本語人”です。日本語という言語が、言動や思考の規範になっていて、パソコンでいうOSのようなもの。実はOS自体が一つの生命体で、人間の一人一人を乗り物のように使っているだけじゃないか、と。これはほかの言語も同じこと。だから、これは“ケース・スタディ・ジャパニーズ(日本語の場合)”なんです」。

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