RIZIN王者・浜崎朱加に挑むMMA5戦目の“超新星”伊澤星花「RIZINとJEWELSの2冠王になりたい」

号泣の真相 「面白い試合をしないとお客さんは…」

 去る10月23日、後楽園ホールで開催された「DEEP 104 IMPACT」では、伊澤はパク・シウとの試合があった。結果こそ伊澤の勝利だったものの、なぜか伊澤はリング上で号泣していた。

「勝手に涙が出てきました。何がってわけじゃないんですけど……」

 これに関しては兄・カズトが説明する。

「結局、わがままなので、自分の想い通りにならないと表現を感情で表すようになるっていうか。あの後に本人が言っていたのは、最後まで極めきれなかったことと、最後、判定を狙いに行ってしまったのが、本人の中では納得いかなかったみたいなので泣いたと」

 ここでようやく伊澤が詳細を語り始めた。

「3Rのうち、1R目は確実に自分が取ったんです。2R目は取られたなっていう感覚があったんですけど、相手の減点があったので、3R目は何ごともなく終わったら自分の勝ちなんです。っていうのをそこで計算して、3R目、闘ったら勝ちじゃんと思って、テイクダウンを狙っていったら絶対に勝てるって分かっちゃった。あの試合、セコンドは横田一則さんだったんですけど、横田さんに『自分、判定でいいですか?』って聞いて。そしたら『(判定で)いいから帰って来い』みたいに言われて。じゃ、判定でいっか、みたいになって。それがちょっと悔しくて……」

 このあたりの見解は人によるものの、あくまで勝負ごとである限り、判定勝ちを選ぶ選択があってもおかしくはない。それでも伊澤は「勝たなきゃいけないのと、見せたいっていうのが……」との葛藤があったことを吐露した。

 まだデビューから1年ちょっとの伊澤がそんな葛藤しながら闘っている。要は、キャリアに似合わないほどのプロ意識を持ち合わせている、ということだ。

「総合格闘技を始めるにあたって、面白い試合と面白くない試合ってあるじゃないですか。やっぱりプロだから、面白い試合をしないとお客さんは楽しんでくれないし、どうせ試合に出るなら、面白い試合をしたいっていう思いがあってっていう感じです」

 やはりMMAのキャリア4戦しかないファイターの言葉だとは思えないし、実際、そう思ってもそう簡単にできるものでもない。それはこれまで幾多のファイターが経験してきた課題である。伊澤はわずかなキャリアながら、直感的にそこに挑んでいる。

次のページへ (6/8) 想定していなかった顔面蹴りに「えー! 痛ーい!」
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