RIZIN王者・浜崎朱加に挑むMMA5戦目の“超新星”伊澤星花「RIZINとJEWELSの2冠王になりたい」

大みそかの伊澤家は紅白、吉本、RIZINのチャンネル争い

 そうなると、普通は五輪を目指したりするものではないのか? この問いに、伊澤は意外な言葉を返した。

「そういう人は多かったんですけど、私は全く目指してないです。10歳の時に2分の1成人式ってあったんですけど、お兄ちゃんは『(将来の夢を)五輪で金メダルを取りたい』みたいなことを書いていたんですよ。だから『こいつ、マジで言ってるんかなあ。何が楽しくて言っているんだろう?』と思って。私は柔道をしたくなくて、『ペットショップの店員』って書きました。ホントにそれぐらいモチベーションは低かったんです」

 格闘技界を見渡すと、五輪を目指したが夢がかなわず、もしくは五輪に出場、もしくはメダルを取ったが、その先の道を模索した結果、プロへの道を選択するパターンがそれなりに見受けられる。

 伊澤の場合、自身の頭が総合格闘技(MMA)に向かい始めたのはいつになるのか。

「去年です。元々は体育の先生か小学校の先生になりたくて。大学院に行ったんですけど、去年、コロナ禍になって(柔道の)試合がなくなって。やることないなーって(格闘技を)始めた感じです」

 話を聞く限り、そこまで強烈に格闘技に対する興味があったようには思えないが、例年の大みそかの様子を聞くと、なんとなく伊澤家の雰囲気が分かってきた。

「大みそかは、私は紅白、お兄ちゃんが『笑ってはいけない』、弟がRIZINを観たくてチャンネルを取り合ってケンカしてっていうイメージだったんですけど、その時は番組を回し合いながら弟がチャンネルを死守して。それでRIZINを知ってたくらいで……。それまでは入場シーンとかしか見ていないので、殴り合っているくらいの印象しかないから、誰が誰だか分からない。それよりもチャンネルを取られたっていう意識しかないんですよ」

 とはいえ、組み技の柔道やレスリングと違って、MMAには打撃もある。

「最初は人の殴り方を知らないので、お腹を殴るのは抵抗なかったんですけど、顔を殴っていいのかな、みたいな感じで、顔が全然殴れなくて。だからデビュー戦(2020年10月31日、ニューピアホールでのARAMI戦)は1回もパンチを出していない。パウンドは入れているんですけど、スタンドの打撃はほぼやっていないです」

 それでもデビュー以来、破竹の勢いで3戦目には本野美樹とのタイトル戦を制し(21年6月20日、ニューピアホール)、DEEP JEWELSストロー級王座を獲得した。

次のページへ (5/8) 号泣の真相 「面白い試合をしないとお客さんは…」
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