激しい生存競争を経験したKENTA 挑戦者としての姿勢を提示し続けた1か月間

ドーム以降、徹底的に内藤を追いつめたKENTA【写真:山口比佐夫】
ドーム以降、徹底的に内藤を追いつめたKENTA【写真:山口比佐夫】

内藤「そういう姿勢、俺は好きだよ」レスラーとしてあるべき覚悟とは

 そして迎えた大阪城ホール決戦。会場こそ異なるが大阪はWWEと契約を交わした場所であり、大阪城ホールはまさしく新日本初登場の場。あれからわずか半年後、KENTAはブーイングの対象となる激変ぶり。対照的に内藤は大ヒーローとして迎え入れられた。考えてみれば、内藤はかつて大阪でファンの厳しい声を浴びてきた。それでも信念を貫き、いまがある。嫌われる覚悟、という点において、内藤はKENTAの気持ちが理解できるのかもしれない。

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 現在の新日本にはない挑戦への価値観を持ち込んだKENTAは、試合でも異質なものを持ち込んできた。たとえば、組み合うと思わせてリングを下りる。その繰り返しで内藤をはぐらかす。そのたびにわき起こるナイトーコール。内藤への声援が大きくなればなるほど、リング上はKENTAペースになっていく。現在の新日本ではあり得ない試合展開。KENTAが仕掛けるサイコロジーは、同所で行われたオカダ・カズチカVSクリス・ジェリコのIWGPヘビー級王座戦(2019年6月9日、くしくもKENTA新日本初登場の日!)を思い出させた。あの試合はオカダ防衛も、ジェリコのペースで新日本では異質の内容だった。KENTAは決して海外での経験をムダにはしていない。内藤戦は、そのことが十分に伝わる試合だった。

 ジェイ・ホワイトの乱入にはBUSHIが駆けつけ、高橋ヒロムが撃退した。額から大流血した内藤だが、最後はデスティーノで完全な3カウントをゲット。エンディングではドームで果たせなかった大合唱を完遂させた。史上初ドーム2連戦成功の象徴である2本のベルトは、再び内藤の元に帰ってきた。2冠王・内藤は、IWGPジュニアヘビー級王者ヒロムとのシングルマッチを宣言。2本のベルトをどう扱っていくのかも今後の注目ポイントになってくるだろう。

「確かに挑戦者としてどうなんだっていうのはあったよ。乱入一発で、この2本のベルトに簡単に挑戦できるのかって。でも、オレ言ってるじゃん。思ってることは口に出さないと誰にもなにも伝わらないんだ。行動を起こさなきゃ誰にも伝わらないんだよ。そういう意味では、KENTA選手以上にふさわしい選手は今回いなかったのかもしれないですね。そのへん、ほかの選手は危機感持った方がいいよ。(KENTAを)褒めるわけじゃないけどさ、ああやって世界を経験したレスラーというのは、やっぱりハングリー精神が旺盛なんでしょ。ちょっとでもチャンスがあれば、入り込んでやろうっていうね。そういう姿勢、オレは好きだよ」(内藤)

 敗れたKENTAは言葉少なく、「笑われたっていい。笑われるのわかってもう一回言うよ。今年はオレの年」と言い残して控え室に姿を消した。このまま引き下がるとは思えないし、またなにか行動を起こしてほしいとも思う。それがまた賛否両論を巻き起こすのかどうかは別として、KENTAはある意味で新日本を変えたとも言えるではないか。だからこそ内藤は新日本に危機感を芽生えさせるような発言も加えた。試合後のリング上には、IWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル、そしてヒロムのIWGPジュニアヘビー、3本のベルトが並んでいた。

次のページへ (3/3) 2月9日大阪城ホール大会
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