王座戦前日に挑戦者欠場 長与千種の愛弟子・彩羽匠が緊急参戦 王者・岩谷麻優に勝利!

長与直伝の必殺技を繰り出す彩羽匠【写真提供:スターダム】
長与直伝の必殺技を繰り出す彩羽匠【写真提供:スターダム】

長与千種の必殺技"ランニングスリー"をめぐるジェラシーの交差

 その後、長与が岩谷に対し長与自身の必殺技である”ランニングスリー”を指導したというから事態は複雑化した。そのときはまだSareeeのアクシデントが予想できる段階ではない。が、彩羽が「伝授してもらうのに何年もかかった」という必殺技をいとも簡単に他団体の選手に教えたとあって彩羽の心中は穏やかではない。ここにはSareeeが感じたであろう女子プロ大賞へのジェラシーと同様の思いがみて取れる。すべてがハプニングながら、岩谷と彩羽、対決の機運がほんの数時間で高まったのだ。

 そして迎えたスターダム2月8日後楽園のメインイベント。ノンタイトル戦ながら試合は熾烈を極めた。なかでも彩羽の力強さと言ったらない。その象徴がパワーボムの連続や、滞空時間をたっぷり取った投げ技にあった。しかも岩谷の右肩、右腕にターゲットを絞り、技を的確に、そして瞬時にぶつけていく。岩谷がプロレス大賞を受賞し、真の意味で覚醒したのと同様に、彩羽も長与の代表辞任から大きな責任感が芽生えたのだろう。両団体のトップとしてふさわしい大勝負。ここに岩谷の受けっぷりも際立った。相手の攻撃を食らってしのいで、最後は勝ちにつなげるという、持ち味も十分に発揮されたのだ。そのうえで、最後は彩羽がしっかり勝ちきってみせたから驚いた。フィニッシュは岩谷に決めることを許さず、自身は一度は切り返されながらも最終的にはキッチリ決めた長与直伝のランニングスリー。本部席で見守る長与にジェスチャーで勝利を伝えた彩羽。赤いベルトの王者、昨年度の女子プロ大賞受賞者を撃破してみせたのだから痛快極まりない。

 敗れた岩谷は急遽参戦の彩羽に感謝の気持ちを伝えながらも、「負けたままでは終われない」と赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を懸けての再戦を要求。彩羽は岩谷にも伝えられたランニングスリーでの意地の勝利を主張すると同時に、タイトルマッチでの再会をアピールした。ここにヒールユニット大江戸隊が大挙乱入し岩谷を攻撃すると、彩羽が仁王立ちし岩谷を守る図式まで現出。Sareee欠場によるハプニングは、ありえない風景をスターダムのリングに映し出したのである。今後、両団体の関係は……。

 バックステージでの彩羽は、「(スターダムは)ブシロードさんがついて一団体だけトップにのし上がろうとしている。そこを引きずり下ろす団体がいてもおもしろいんじゃないですか? 長与さんが仕掛けると言ってます。自分もこういった意味で仕掛けていきたいと思います。本当にベルト取りますよ。麻優さんにはランニングスリーはあげられないです」とコメント。彩羽挑戦の可能性について聞かれた長与は「ロッシー小川(スターダムエグゼクティブプロデューサー)が要求してきていただければ、全然(ありえる)」と返答した。さらに星月芽依(ほしづき・めい)を呼び寄せ、若手を売り込みたいという意志表示も。長与がもくろむスターダムへの仕掛けはこの日の大会をきっかけにリング上での直接対決に流れていくのか、それとも……。

 スターダムは4月29日大田区総合体育館でのビッグマッチが控えている。さらに4月14日後楽園は4月15日「GAEAISM -Decade of quarter century-」後楽園大会との興行戦争……。この懐かしい響きが女子プロレスの新黄金時代を呼び込むのか。いずれにしても、今年の女子プロレスは例年以上に目が離せなくなりそうだ。

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