藤井聡太3冠誕生! 叡王戦第5局は効果実感しにくい中盤の一手が効いた 真田圭一八段解説

豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦した第6期叡王戦五番勝負第5局が13日、東京・千駄ヶ谷の「東京・将棋会館」で行われ、先手の藤井2冠が111手で勝ち叡王のタイトルを獲得した。藤井2冠は史上最年少の19歳1か月で3冠となり、これまで羽生善治九段(50)がもつ22歳3か月の史上最年少記録を大幅に更新するとともに、渡辺明3冠(名人、棋王、王将=37)と並び最多タイトル保持者となった。フルセットで迎えた叡王戦第5局を振り返ってみたい。

藤井聡太【写真:ENCOUNT編集部】
藤井聡太【写真:ENCOUNT編集部】

中盤途中までは勝負将棋らしい渋い指し手が続いた

 豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦した第6期叡王戦五番勝負第5局が13日、東京・千駄ヶ谷の「東京・将棋会館」で行われ、先手の藤井2冠が111手で勝ち叡王のタイトルを獲得した。藤井2冠は史上最年少の19歳1か月で3冠となり、これまで羽生善治九段(50)がもつ22歳3か月の史上最年少記録を大幅に更新するとともに、渡辺明3冠(名人、棋王、王将=37)と並び最多タイトル保持者となった。フルセットで迎えた叡王戦第5局を振り返ってみたい。

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 藤井2冠にとって、タイトル戦におけるフルセットは初めてだ。この状況は勝った方がタイトルを手にできる、いわば「勝負将棋」とも呼ばれる重要な一戦。同じく一戦必勝のトーナメントと異なるのは、同じ相手と何局も積み重ねた上で、決着をつける一戦であるということ。期間も数か月を要するので、それが結実するのか無に帰するのか、勝つと負けるとでは天と地の違いだ。

 もう一つ、タイトル戦のフルセットでは、決着局は先後を振り駒で決めるルールがある。つまり、先手と後手、どちらでも戦える備えも必要になってくる。その注目の振り駒は藤井2冠の先手。そして戦型は相掛かりとなった。藤井2冠の防衛で終了した王位戦七番勝負含め、豊島2冠とのダブルタイトル戦は相掛かりが多数採用された。「相掛かりシリーズ」として位置付けてもいいだろう。

 最序盤こそ前例ある展開でスタートしたが、豊島2冠の38手目△5四銀から局面が動き出す。豊島陣は銀が2枚並んだ形。この2枚銀の活躍に豊島2冠は本局の命運を賭けた。ここからしばらくは、勝負将棋らしい渋い指し手が続く。印象的だったのは50手目△3三角と続く51手目▲8八角。共に30分ほどの考慮で、決して短くない消費時間だ。この辺りはお互い指してみたい手が多い局面。そうした中盤の難所で、いい手を指すよりバランスを崩さない指し手を選択するところに、本局の重さと緊張感を感じさせる。

次のページへ (2/2) 59手目に藤井2冠の秀逸な手があった
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