BTS、大ヒット曲「Butter」に登場するホットケーキ 世界的な有名童話が元ネタか

続々と刊行されるBTS研究書にも注目が集まっている
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謎解きの入り口は「ラビットホール」 世界中のファンが謎解きチャレンジ

 他にもある。ホットケーキの映像に次いでエレベーターの扉が登場するが、これはまさしくラビットホールの役割を果たしている。モノクロの世界からカラフルで多様な世界へと移行するための入り口だ。ジャージー姿で軽快に踊るメンバーの後方をよく見ると、飛行機が映っている。昨年8月に公開された「Dynamite」のMVにも飛行機が登場しているが、手の届かないはるか上空を飛び去った。これに対し「Butter」では飛行機がメンバーのすぐ近くで待機しているといった構図となっているのだ。もう少し時間がたてば飛行機に乗って世界中のファンの元へ飛んでいける、といったメッセージとも受け取れる。コロナのワクチン接種が進んで人々の行動規制が緩和されていけば、世界ツアー再開の可能性が高まるからだ。

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「Butter」のMVでは「ARMY」の人文字が確認できる。ARMYへの感謝の思いがひしひしと伝わってくるが、手の甲にキスをするポイントダンスについては、手首から先の部分を表す「hand」と肩から手首までの部分を表す「arm」の区別はあるものの、腕(ARM)に近い部分をキスすることで「ARM(Y)」への愛を表現しているのかもしれない。

 BTSとARMYの関係性について韓国の音楽評論家で文化研究者のキム・ヨンデ氏は「この現象を世界中に広める最大の原動力は、さまざまな文化圏に存在するARMYだ。ARMYのあふれる情熱によって、国家と文化を超えた大きな波が生まれている」と指摘している。(※4)

 今月9日にYouTubeで公開された「Permission to Dance」のMVも、コロナパンデミックと闘っている世界中のARMYへのエールとなっている。BTSは今後もARMYを喜ばせるMVを作り続けるだろう。

※1 ホン・ソクキョン(2021年)『BTS オン・ザ・ロード』(訳者・桑畑優香)玄光社 102~108頁
※2 原作は英国人作家ヘレン・バンナーマンの『THE STORY OF LITTLE BLACK SAMBO』。インドに滞在していたときの経験をもとに執筆し1899年に英国で、翌1900年に米国で出版された。日本では1953年に岩波書店から日本語版が出版されたが、黒人差別という抗議が世界的に広がったことで絶版となった。その後、復刊を求める声が上がり「楽しいストーリー」「差別ではない」として2005年に瑞雲舎から復刊された。現在では公立図書館でも貸出が行われている。
※3 文:ヘレン・バンナーマン、イラスト:フランク・ドビアス(2007年)『ちびくろ・さんぼ』(訳・光吉夏弥)瑞雲舎 23頁
※4 キム・ヨンデ(2021年)『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』(訳者・桑畑優香)柏書房 292頁

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