13年間で東大合格者50倍 公立の“リアルドラゴン桜”、覚悟と自主性の指導法

職員室前の長机には授業の質問や進路の相談に多くの生徒が訪れる【写真:ENCOUNT編集部】
職員室前の長机には授業の質問や進路の相談に多くの生徒が訪れる【写真:ENCOUNT編集部】

一斉休校中も生徒は自主学習を続け、例年の倍以上の東大合格者を輩出

 最初のうちは半ば強制的に自主学習の時間を確保させてきたが、ここ数年で生徒のモチベーションや自主性も大きく変わってきたと中村総括教諭はいう。その根拠のひとつがこの春の東大合格者数だ。17年度に14人(うち現役11人)、18年度21人(うち現役15人)、19年度には26人(うち現役15人)とここ数年コンスタントに東大合格者を伸ばしていた同校だが、政府は昨春、新型コロナウイルスの感染拡大により全国の学校に一斉休校を要請。授業の遅れが懸念されたが、横浜翠嵐高校の生徒の多くは自主的に学習を進めていたという。結果的にはコロナ禍でペースを乱した全国の学校に水をあけ、前年の倍近い50人(うち現役44人)の生徒が東大合格を果たした。

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「一斉休校が決まった翌週から、大手予備校のようなオンデマンド配信で授業動画をどんどんあげて、生徒がいつでも視聴できる環境を作りました。ライブ授業のような双方向ではなく一方通行の配信だったので、普段の授業より少し早いペースで授業を先取りすると、生徒が自分たちでどんどん学習を進めていった。もちろんなかにはペースをつかめず悩んでしまう生徒もいたが、質問箱を用意したり、できる限りのフォローをしました。生徒同士で学び合う文化もあって、決まった曜日に過去問を解き合ったり、分からない箇所を教え合ったりと、休校中も孤立感を感じることなく学習できたのかなと思います」

 名門校と言われる進学校の多くは、伝統的に自主自立の精神を掲げるところが多い。「ようやく翠嵐にもそれが芽生えてきたのかな。ですが、まだまだ完全な自主自立に至るまでの途上ですね」と中村総括教諭。覚悟と自主性、その両方を備えた“リアルドラゴン桜”の躍進は今後も続きそうだ。

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