【愛車拝見】バイオリニスト・古澤巖は車の好みもクラシック 現在はタイプ2のワーゲンバスがお気に入り

古澤巌さんはおしゃれに車を楽しんでいる【写真:山口比佐夫】
古澤巌さんはおしゃれに車を楽しんでいる【写真:山口比佐夫】

免許取得28歳と遅かったのは一流バイオリニストならでは

 免許を取ったのは遅くて28歳のとき。免許が取れるようになる18歳の頃は、東京に住んでいたから車は必要なかったし、バイオリンを学ぶのにすごくお金をかけていたから車なんてぜいたくは考えたこともありませんでした。大学を出た後は海外に行き、28歳で帰国して田舎に引っ越したので、車に乗る必要が出たから免許を取ったんです。最初に買ったのは81年のシボレー・コルベット。いきなりスポーツカーなんですけど、何を買ったらいいかわからなかったから、車屋さんにうまく乗せられちゃったんじゃないかな(笑)。

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 それから、ジャガー XJ-SクーペやアウディA3、アストンマーティンなどいろいろ乗ってきました。やっぱり、いろいろ乗ってみたいし、「買えるようになったら買う」って言ってたら、買えるようになったときにはもう生きてるかわからないですから。フェラーリやポルシェも乗ってみましたけど、身分不相応というか、「自分が乗る車じゃないな」と思いましたね。その点、ピックアップトラックのシボレー・エルカミーノの64年式とかに乗ると、身の丈に合ってる感じがするんですよ。

「オレの人生も終わりだな」と思った怖~いトラブルも!

 昔の車に乗っていると、トラブルはつきもの。高速道路で止まったことも。一番怖かったのは4、5年前、フィアット500(チンクエチェント)の古いのに乗っていたときのトラブル。夜、神奈川・二宮あたりのトンネルの上り坂で突然、エンジンが不具合を起こしたんです。何とかトンネルの外まで出たんですけど、出た先の道路には路肩がなくて、ライトは付かないし、携帯電話の電池もほとんどない。たまたま懐中電灯を借りていたのを思い出し、それで後続車が来るたびに照らして衝突を避けてもらいました。10分ぐらいしたら警察が来てくれて命拾いしましたけど、「オレの人生も終わりだな」と思いましたね。

 そんな危険な目にあってまで、昔の車を何台も集めるなんてバカバカしいという人もいます。でも、そもそも僕のやってる音楽の世界というのはファンタジーで、理屈で考えたらバカバカしいもの。それを真剣にやっているんだから、バカバカしいと思われることでも極める必要があるんじゃないかな、と思うんですよね。カーレースもそうですが、バカバカしいことを極めるには非現実的な場所に身を置くことが大事。そうすることで違う自分に会えて、新しい音楽の世界を作り出すことができるんですよ。

□古澤巖(ふるさわ・いわお)1959年7月11日、東京生まれ。3歳でバイオリンを始め桐朋学園大学在学中、日本音楽コンクール第1位に。86年、バイオリニスト・葉加瀬太郎とバンド活動を開始。2017年からはベルリンフィルハーモニー管弦楽団のメンバーとラジオの音楽番組「JET STREAM」(JFN系)のテーマ曲を演奏している。21年5月19日、アルバム「The Ecstasy of Gold」(ハッツアンリミテッド)をリリースし、6月2日から小田原市民会館大ホールなどでTAIRIKプロデュースコンサートツアー「古澤巖の品川カルテット」開催。

【了】

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