【プロレスこの一年♯43】武藤とムタで4冠達成 佐々木健介が史上初のメジャー3大タイトル制覇 08年のプロレス

初代タイガーマスクがタッグで天龍と激突(写真は2008年3月)【写真:平工幸雄】
初代タイガーマスクがタッグで天龍と激突(写真は2008年3月)【写真:平工幸雄】

初代タイガーマスクが天龍、藤波、三沢らと初遭遇

 新日本7・8後楽園では、天山広吉がランバージャックデスマッチで飯塚高史と対戦。飯塚はこの年の4月に天山を裏切り、5月には容姿も大変貌を遂げ大ヒールとなっていた。アイアンフィンガー・フロム・ヘルという凶器で大暴れしていたのだが、ランバージャック戦で全日本の小島聡が現われ天山を救出、電撃的に天コジが再結成され、欠場中だった小島も7月20日に復帰を果たした。夏の「G1クライマックス」では後藤が真壁刀義を破り、初出場で初優勝の快挙。後藤は全日本8・31両国で武藤のIWGP王座に挑戦したが、団体の至宝を取り戻すには至らなかった。

 NOAH9・6日本武道館では健介が森嶋猛からGHCヘビー級王座を奪取した。これにより、健介はIWGPヘビー級、三冠ヘビー級に次いでNOAHの頂点であるベルトも獲得。史上初となるメジャー3大タイトル完全制覇だった。

 9・28全日本では諏訪魔が三冠王座陥落。諏訪魔からベルトを引っぺがしたのが、武藤ならぬムタだった。このとき、武藤はIWGPヘビー級王者。武藤とムタながら、三冠とあわせての4冠王者、新日本と全日本の頂点王座を同時保持という、これも快挙の中の快挙だった。同大会では、デビュー10周年のNOAH丸藤正道が古巣参戦で土方隆司から世界ジュニアヘビー級王座を奪取。丸藤はホームリングの10・25武道館でGHCジュニアヘビー級王者KENTAと双方のベルトを懸けた一騎打ち。試合はNOAHで初めてとなる60分フルタイムドローで、両者ともベルトを防衛した。

 丸藤は11・3両国で再び全日本に乗り込み、9月に全日本へ入団した元エルドラドの近藤修司と防衛戦。丸藤が世界ジュニア王座を守ったこの試合は、この年のベストバウトに輝いた。

 天山&小島の天コジが新日本11・5後楽園で「G1タッグリーグ」を制し、7年ぶりに優勝。さらに全日本12・8広島では「世界最強タッグ決定リーグ戦」でも優勝。新日本と全日本、両団体のタッグリーグ戦を制覇する大復活だった。

 この年には、初代タイガーマスクも狂い咲きと言える大活躍を見せた。リアルジャパン3・13後楽園で天龍源一郎とタッグで対戦すれば、9・18後楽園でウルティモ・ドラゴンと初対決。そして、12・4後楽園では2代目タイガーマスクだった三沢光晴と最初で最後の遭遇を果たした。試合はタイガー&ウルティモ組V三沢&鈴木鼓太郎組で、三沢がウルティモを破っている。タイガーはIGF11・24名古屋で、藤波辰爾との初対戦も実現させた。

 この年は女子でも大ベテランが奮闘。出産のため欠場していた井上京子がNEO1・6後楽園でバトルロイヤル最後の出場選手としてサプライズ復帰。3・2後楽園で正式にカムバック戦を行い、5・5後楽園で松尾永遠を破り、NWA認定女子&NEO認定シングル王座の2冠を奪取した。

 また、この年にはマット界で一世を風靡した“ファイティングオペラ”ハッスルが衰退。エース的活躍を見せていたインリン様が4月18日に活動停止を発表すると、5・24有明コロシアムにおけるボノちゃん(曙)とのシングルマッチで引退した。3年半に及んだM字開脚が、見納めとなったのである。(文中敬称略)

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