宮下かな子、本広克行監督の最新作「ブレイブ ‐群青戦記‐」でアクション初挑戦

舞台「転校生」で抜てきされたことが大きな転機に【写真:山口比佐夫】
舞台「転校生」で抜てきされたことが大きな転機に【写真:山口比佐夫】

目指すは令和の高峰秀子さん、演技と文章&イラストで“三足のわらじ”

 宮下は福島県出身。小さい頃の夢はCA(キャビンアテンダント)、学校の先生など様々な職に興味を持っていた。「夢がころころと変わる子だったんです。中3の頃、それはドラマや映画を見て、夢が変わっていたんだと気付いてからは、職業として女優を見るようになりました。ずっと憧れはあったんですが、高校時代もずっと人には言えなかったんです」。

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 その後、大学に進学し、上京。15年に本広克行演出の舞台「転校生」で抜てきされたことが大きな転機になった。「その前の出演作はミュージックビデオしかなくて、初めてセリフがある役でした。両親も、その以前は反対していたんですけど、舞台を見てくれるようになってからは応援してくれるようになりました。正直、大学も行かせてもらったのに、『すみません』って思っていましたね」。

 大学では国語国文学科に在籍し、安部公房などを研究。卒論は小津安二郎監督。個人的に好きなのは江國香織、川上未映子。大学生活で学んだことは今の仕事にもしっかりと活かさせている。Webメディア「日刊サイゾー」では「宮下かな子と観るキネマのスタアたち」と題した連載で、文章だけではなく、イラストまで手掛けている。「小さい頃から絵を描くのが好きでした。妹が2人いるんですけど、よく絵画教室ごっこしていました。文を書くのも日記をずっとつけていたり、学校の作文が結構得意だったので、いつかそんな仕事ができたらなって思っていたのが、同時に2つかないました。ただ、人に見せるとなると難しいところがありますね」

 連載では毎回、キネマ旬報のベスト・テンから作品を取り上げている。第1回の「麦秋」(小津安二郎監督)に始まり、「生きる」(黒澤明監督)、「二十四の瞳」(木下惠介監督)、「蒲田行進曲」(深作欣二監督)、「浮雲」(成瀬巳喜男監督)。昭和の名作を中心に取り上げたのはなぜか? 「(本広監督が手掛ける)さぬき映画祭に参加して、監督たちのお話を聞いているうちに、興味を持ちました。観ていなかった作品もあって、観たり、観直したり。映画好きとは言っても、ここまで深く観ていなかったので、一つの原稿を書くのに繰り返し観ています。イラストはわりとすぐ書けるので、まず文章を送ってから、イラストを仕上げる感じです」。

 今後も公開作が多数控えている。どんな俳優を目指すのか。「サイゾーでいろいろ書いて気づいたのですが、言葉にならないものを言葉化して、お芝居で見せるのが役者という仕事の魅力だと思います。最新号では、『そこのみにて光輝く』の池脇千鶴さんを取り上げたのですが、素晴らしいです。そんな女優さんになりたいです。それから、執筆されている女優さんって、素敵だなと思いました。それは毎日を丁寧に生きてらっしゃるから、そういう言葉が書けるのだと思います。昔だったら、高峰秀子さんが文章を書かれています。演技だけではなく、言葉でも表現できたら、素敵だなと思っています」。女優と文とイラスト、“三足のわらじ”での活躍を誓った。

□宮下かな子(みやした・かなこ)1995年7月14日、福島県出身。舞台『転校生』オーディションで抜てきされ、その後も映画「曇天に笑う」「居眠り磐音」「人間失格 太宰治と3人の女たち」や日本民放連盟賞ドラマ「チャンネルはそのまま!」(HTB)などに出演。現在、「SOMPOケア」、「ソニー銀行」のCMに出演中。趣味は読書、イラストを描くこと。

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