池上彰、“中国の野望”を読み解く 強硬な海洋進出、食料外交、デジタル経済を徹底解説

中国の果てしない野望に、ゲストの梅沢富美男も怒りをあらわに!?

 スタジオゲストには、足立梨花、梅沢富美男、ヒロミ、山内健司(かまいたち)が登場。梅沢は、どこまでも強気に力を誇示し続ける中国の姿勢に、憤懣(ふんまん)やるかたない表情を見せるが、着実な努力の末に世界トップの座を勝ち取った「ハイアール」のエピソードには、「大したもんですね!」と感心しきり。

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 一方、山内はお笑いの血が騒ぐのか、「ライブコマースって、若手芸人の名前ですよね?」などと小ボケを連発。池上が「(ゲストの)人選を間違えたかも…」とあきれ返る一幕も?そしてエンディングでは、池上からラストメッセージが。果たしてわが国は、世界の覇権を目指す中国と、どのように向き合えばいいのか。池上彰が考える、日本のあるべき姿とは。

 池上はコメントを寄せた。収録を振り返り、「ゲストの顔ぶれがバラエティーに富んでいて、面白かった……んですかね(笑)? かなり深刻な話題も取り上げていますから、バランスが取れてよかったのかなとは思います。より親しみやすい番組になったんじゃないかなと(笑)」と話した。

 いま中国をテーマに取り上げる意義を聞かれると、「尖閣諸島をめぐる中国の動きは、日々報じられています。ただ、あまりにも毎日聞かされるものだから、人々の関心がだんだん薄れてくるんですよね。本来は大事なニュースも、毎日続くとニュースではなくなってしまう」とし、「たぶん中国は、それを狙ってるんだろうと思うんです」と述べた。

 続けて、「日常的に“ここは中国の海だよ”と言い続けるうちに、いつしか世界中の人々が、それを当たり前のことだととらえるようになる。きっと、そのときを待っているんだろうなと。これはつくづく感じることなんですが、中国という国は、時間の感覚が全然違うんです。物事を進めていく上で、数十年くらいの長いスパンで考えているんですね。そうなると、われわれも飽きることなく、諦めずに、“尖閣諸島では今、こういうことが起きているんだ”と常に言い続けなければいけないし、中国に抗議し続けなければいけない。そんな問題意識があって、今回、“中国の野望”というテーマを取り上げました」と強調した。

 その意味では中国の“発信力”にも見習うべきところがあるのかと問われると、「さすがに日本は、あそこまでずうずうしくはなれないけれど(笑)、それでもやはり、もっと堂々と、声を大にして、意見を発信していくべきだと思います。今は、なんとなく“中国に抗議します……”と小声で言っているようなものですから(笑)。中国は、よく“核心的利益(※)”という言葉を使いますよね。つまり、中国には“絶対にこれは譲れない”ということがいくつもあるわけです。そんな中国に対して、“日本にだって譲れないものがあるんだよ”ということは、しっかりと伝える必要があるんじゃないでしょうか」と話した。

 米国のバイデン政権発足について話が移ると、日米中の関係についても言及。「トランプ大統領は、あくまでも“米中関係”、つまり1対1で中国との関係を続けてきたんですね。でも、今度のバイデン大統領は、多国間の協調を重んじていますから、“一緒になって中国に圧力をかけようよ”、おそらくそう言ってきます。そのときに、日本はどういう対応を取るのか。声を大にして、意見を主張することができるのか。そこが問われることになると思いますね」と見解を示した。

※核心的利益…中国が自国の体制や経済発展などを維持するために、断固として保護することを明言している利益のこと

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