新時代の新たなカタチ“音楽アート集団”とは 「CHRONICLE」が示した表現の可能性
アルバム最後の曲「三番線」に込められたメッセージとは
――今回の「CHRONICLE」というアルバム1枚を通してのポイントは?
l「2つあるかなと思っています。1つはCHRONICLEという“物語”を通して伝えたいこととして、予告編の『宇宙』(2019年6月にYouTube上で公開)から始まった、現代の男の子や女の子の『自分がこれからどうなっていくのか』とか、『どういう人になりたいのか』といった悩みに向き合うという点です。アルバムの曲でも一貫して描いているテーマなので、今を生きる人たちに共感してもらえるような曲であり、物語を作りたいという思いがありました。もう1つは、アルバムタイトルが『CHRONICLE』とあるように、音楽アート集団としての3人の『これが自分たちのしたいことだ』、『音楽と物語でこういうものを作っていきたい』、『これから始まるんだ』という部分がアルバムに大きく反映されています。そういった2つの大きな目的、意味を持って制作しました」
――新たなスタートや再出発などをイメージした?
l「そうですね。3人の制作フローも作っていくうちに変わっていきました」
――どのように変化したのでしょうか。
l「例えば、アルバム1番最後の曲『三番線』(作詞・作曲・編曲:CHRONICLE)に関しては、最初のデモを作ったのがT.B.Aで、そこから作詞など3人で話しながら進めました。それまでも順番が前後したり、修正したりということはありましたが、1番最後は意図的に順番を気にしないでやってみようと。そういう意味では僕たちの中でも試行錯誤してきたアルバムだったので、やっと“3人で作る”ということが分かったかなと思いますね」
――T.B.Aさんがデモを持っていった。どういった形のものを?
T.B.A(以下、T)「最初はメロディーを渡して、その後に仮歌詞をつけて共有しました。最初はメロディーでどういう反応があるかなと、メンバーの様子を見つつ、そのメロディーでGOが出たので仮歌詞をつけて、みんなで話し合いつつ、loundrawくんが主軸になって作りました」
――「三番線」をアルバムの最後に持ってきたっていうのは意味がある?
K「もともと『最後の1曲を作ろう』というところから3人の制作が始まっていました。この曲の制作自体もアルバムの中で1番最後でした。レコーディングをしていく中で、最後の1曲はこのアルバム1枚を作っていく過程でできた制作フローを1度壊して、3人がより密接に関われるような作り方で最後の曲を締めようと考えました」
――思いが詰まった重要な1曲ということですね。
K「歌詞も自分たちのことを歌っているような側面もあったりします」
――曲の雰囲気もほかと比べると少しだけ異なるようにも感じました。
K「T.B.Aがシンガー・ソングライターの側面も持ち合わせているので、デモの段階からT.B.Aの世界観がかなり強く、そういう意味でもこの楽曲はT.B.Aの個性がより多く表れている曲になっていると思います」