2児の母・大島優子の「何もできない」を認めた子育て 周囲の助けに甘えることで「肩の力も抜けるように」
アニメ映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』(24日公開)で、日本語吹き替え版のゲスト声優を務めた俳優の大島優子。作品が描く「助け合う心」は、3歳と1歳の子どもを育てる中で実感してきたことでもある。家族旅行では、帰国便のトラブルを夫婦の連携で乗り切った。「1人では何もできない」。母になって知った自身の変化を聞いた。

母になって知った自身の変化
アニメ映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』(24日公開)で、日本語吹き替え版のゲスト声優を務めた俳優の大島優子。作品が描く「助け合う心」は、3歳と1歳の子どもを育てる中で実感してきたことでもある。家族旅行では、帰国便のトラブルを夫婦の連携で乗り切った。「1人では何もできない」。母になって知った自身の変化を聞いた。(取材・文=平辻哲也)
家族で米国を訪れた帰路のことだった。朝に出発する予定の飛行機に乗り込んだものの、機体は動かなかった。
「最初、飛行機に普通に乗ったんです。そこで2時間待ったら、『この飛行機は飛びません』と言われて。降りて、搭乗口のところで6時間、待ちぼうけを食らいました。朝出発だったのが夜になって、そこから14時間乗って帰ってきました」
機内で2時間、搭乗口で6時間、さらに14時間のフライト。待ち時間を含めれば約24時間になる。1人であれば、さほど大きな問題ではなかったかもしれない。しかし、3歳と1歳の子どもが一緒だった。
「普通に飛行機に乗ることさえドキドキするし、準備も大変です。さすがに『えっ、マジでトラブル? どうしよう』と頭を抱えました」
子どもたちを飽きさせないよう、持参したおもちゃで遊ばせ、搭乗口周辺を何度も歩いた。ロビーのじゅうたんの上も遊び場にした。眠くなってぐずり始めても、すぐには寝かせなかった。機内で眠ってもらうためだ。
「ずっと遊ばせていました。飛行機の中で寝てもらわなきゃ困るので、眠くなっても寝かせないようにして。こっちもヘロヘロ、ヘトヘトな状態で、ご飯を買ってきて食べたり、ほかの人に話しかけに行ったりしました」
夫が食事を探しに行けば、大島が子どもを見る。大島が動けば、夫が残る。細かく相談するのではなく、その場で必要な役割を引き受けた。
「いつも『じゃあ、私こっちに行くから』『じゃあ、俺はこれを見る』という感じで、その場その場で対応しています。阿吽(あうん)の呼吸かどうかは分からないですけど、非常時にやるべきことは、お互いに分かっているというのはありますね」
幼い子ども2人との生活は、日常そのものが役割分担の連続だ。
「どっちも、まだ何も自分でできないので。3歳はできることも増えてきましたけど、『それもママやって』となる。あっちもこっちもで、もう1人、自分の分身が欲しいと思います」
大島は現在の自分について、率直に「子育てに関して、本当に何にもできないなって、感じるようになりました。『あ、何にもできないや』って」
それは自分を責める言葉ではない。できないと認めたことで、周囲に助けを求められるようになった。
「いろんな方に助けていただいています。家族はチームですけど、それだけではなくて、近所の人たち、ママ友にも助けられています。ちょっとした一言で心が救われたり、『こうしたらいいんだ』という糸口になったりするので、常に感謝の気持ちでいます」

子どもが喜んだ「その場で終わらせない」褒め方
以前は、人に甘えることが得意ではなかった。
「前はあまり甘えられなかったし、甘え方もよく分かっていませんでした。でも、今はすごく甘えるようになりました。肩の力も抜けるようになったと思います」
性格にも変化があった。仕事を中心に生活していた頃は、時間に追われ、せっかちだった。子どもは大人の予定通りには動かない。
「『待つ』ということを知りました。あとは『まあ、いっか』を覚えましたね。『まあ、いっか』だらけになってくるんですけど」
一方で、子どもに対して、つい言い過ぎてしまうこともある。「それはやらないよ」「片付けなさい」。人に迷惑をかけないことや、最低限のルールを教えたい気持ちはある。ただ、自分の理想を押し付けていないか、立ち止まるようになった。
「理想はあるんですけど、一瞬ファッと浮かせて、パッと消すようにしています。なるべく、ありのままで。つい言ってしまって、『あ、やっちゃった』といつも反省しています。ぐっと飲み込む時もあります。なかなか難しいですね」
子どもへの言葉は、そのまま自分に跳ね返ってくる。
「自分だけだったら、思ったように突き進んで動いていました。でも、子どものことになると、全部、自分を見つめ直すきっかけになる。丁寧にやらなきゃいけないなと思います」
褒め方も、子どもの反応を見ながら学んでいる。絵を描けば、「すごいね」だけで終わらせず、「赤色を使ったんだね」と具体的に伝える。最近、大きな反応が返ってきたのは、前日の頑張りを翌日に褒めた時だった。
「『昨日これをしてくれたから、今日はこれをしよう』『昨日できたから、朝にココアを飲もうか』と言ったら、すごく喜んでくれたんです。『うれしい』って、ぎゅっとしてくれて」
子どもが喜んだのは、ご褒美だけではなかったのだろう。母親が前日の出来事を覚えていた。自分の行動を見ていてくれた。そのことが伝わったのではないかと大島は考えた。
「褒めることを、その場だけで終わらせずに持っておく。自分のいいところや、できたことを見ていてくれたと分かったんだと思います。『こういう褒め方もあるんだな』と気付きました」
しかし、響かない時もある。「言い方が違うのかな」「刺さらないのかな」と考える。正解があるわけではなく、子どもの反応から教えられる毎日だ。
「あっちもこっちもで大変ですけど、やらせてくれるうちは、この貴重な時間しかないんだろうなと思っています。今はやっぱりかわいい。この時間は大切なものだから、大事にしようと思います」
できないことを認め、周囲の力を借りながら、大島は今しかない子どもとの時間に向き合っている。
□大島優子(おおしま・ゆうこ)1988年10月17日生まれ、栃木県出身。96年から子役として芸能活動を開始。2006年にAKB48へ加入し、中心メンバーとして活動した。14年のグループ卒業後は俳優業を本格化。映画『紙の月』で第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、ドラマ『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』で第85回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞した。主な出演作にNHK連続テレビ小説『スカーレット』、大河ドラマ『青天を衝け』、ドラマ『アンチヒーロー』『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』、映画『教場 Requiem』など。声の出演ではディズニー映画『メリダとおそろしの森』で日本語吹き替え版の主人公メリダを演じた。
【作品情報】
映画『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』
2026年7月24日公開。監督はカル・ブランカー。日本語吹き替え版では潘めぐみ、石上静香、小市眞琴、井澤詩織、松田颯水、小堀幸、矢作紗友里らが声を担当。ゲストキャストとして大島優子、レインボーのジャンボたかお、池田直人が出演する。配給・東和ピクチャーズ、東宝。
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