父の勤め先が倒産→1年で10億円稼ぐポーカープロへ…37歳・みさわが語る波乱万丈の半生「このゲームは努力が裏切らない」

錚々たる実績を誇る国内のトップポーカープレーヤーが集結する『ABEMA POKER INVITATIONAL』。そのシーズン2が25日から配信スタート。優勝賞金1000万円というビッグイベントで巻き返しを期すのは、日本ポーカー界をけん引してきたみさわだ。2025年だけで約10億円を稼ぎ出した37歳にして乗りに乗る男をENCOUNTが直撃。生い立ちから、ポーカー界への思いまでを聞いた。

日本のトッププロとなったみさわ【写真:増田美咲】
日本のトッププロとなったみさわ【写真:増田美咲】

「プロなのに負けた?」の重圧を背負い、どん底からのリベンジへ

 錚々たる実績を誇る国内のトップポーカープレーヤーが集結する『ABEMA POKER INVITATIONAL』。そのシーズン2が25日から配信スタート。優勝賞金1000万円というビッグイベントで巻き返しを期すのは、日本ポーカー界をけん引してきたみさわだ。2025年だけで約10億円を稼ぎ出した37歳にして乗りに乗る男をENCOUNTが直撃。生い立ちから、ポーカー界への思いまでを聞いた。(取材・文=角野敬介)


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 前回は参加者8人中7位。運の要素も強い短期決戦ではあるが、みさわは燃えていた。「絶対にリベンジしたい。めちゃくちゃ悔しかったので」。優しそうな表情は変わらず、穏やかな口ぶりだったが、その裏には負けん気の強さが浮かび上がった。

 ポーカー隆盛の今、芸能人と同卓する番組も増えてきたが、特有のプレッシャーがあると言う。「運の要素も大きいが、見ている人からすると『プロなのに負けたの?』と思われてしまう。海外の高いトーナメントに出るより緊張します」。ミスが許されない公開対局の厳しさを吐露した。一方で、初心者に向けては「将棋ではプロに勝てないけれど、ポーカーならルールを覚えた翌日にプロを倒せることもある。その大逆転を見てほしい」と、この競技特有の夢を口にした。

 通算獲得賞金は約13億円と、日本でも屈指のトッププロとなったみさわ。その勝負強さの裏には、あまりに過酷な少年時代があった。

 岩手県で高齢の両親の一人っ子として育ったが、高校2年生の時に父親の勤め先が倒産。「家のローンを払ってほしいと言われて……。親が本当に泣いたのを見たのはあの時だけですね」と振り返った。

 大学進学を断念し、「すぐに手に職が持てて、親の面倒が見られる」という理由で看護師の道へ。23歳で退職後、車中泊で日本一周し全国のリサイクルショップとコネを作り古物商として24歳で起業。しかし、順調だったビジネスもコロナ禍で商材のトレーディングカードが「紙屑」になる危機を経験した。

 そんなみさわを救ったのがポーカーだ。「初日にビビッときて、俺これ一生やっていくんだろうなと思った。次の日から会社に出勤せず、現場を社員に任せて引退しました」。笑いながら振り返るが、この時の瞬時の決断が今のみさわへと繋がっている。

 ポーカーの何に惹かれ、のめりこんだのか。「このゲームは、『たぶん勉強すれば勝てるようになりそうだ』と思ったこと。ゲームとしてももちろん好きなんですけど、性格上負けず嫌いで……。とにかく勝つことが好きなんですよ。このゲームは上手いことできていて、“悪魔のゲーム”だと思った。初心者にも(勝てると)勘違いさせてくれるところもあるし、勘違いさせるってことは、みんなが楽しくなれる。だからこのゲームはすごく面白くて、よくできている。そして勉強すればするほど、努力が裏切らなそうだなと思ったのが一番です」。

みさわが日本のポーカー界をけん引していく【写真:増田美咲】
みさわが日本のポーカー界をけん引していく【写真:増田美咲】

変わったポーカーへ向き合う姿勢

 現在、37歳。ポーカー“専業”になって約10年が経ったが、2025年は驚くべき変化があった。大きな大会で結果を残し続け、それまでに稼いだ賞金額の数倍にあたる約10億円という驚異的な賞金を掴み取った。背景には、何があったのか。

「以前は休憩中にタバコを吸って仲間と雑談していたが、今は完全にシャットアウトしています」

 代わりに解析ツール『GTO Wizard』で、休憩明けのシチュエーションを予習するストイックな姿勢を貫いている。

「大きな知識量とかではそれほど変わらないとは思うんですけども、向き合い方とか、あとは相手に対するマナーだったり、そういうところをすごい大事にするようになったのが、最終的に良い方に転んだのかなと思います」

 積み上げてきた“努力”には自信がある。「勉強はつまらない。でもそれを歯磨きやお風呂と同じレベルのルーティンにできる人だけが生き残れるのがポーカー」と断言する。

 ポーカープロが脚光を浴びる時代。自身も憧れられる存在になったが、「ポーカーだけで食べていけるのは上位1%」と厳しい現実も明かす。

「大学生からもよく相談されます。『学校を辞めてポーカー一本で食べていこうと思うんですけどアドバイスください』って。それはもう100%『今すぐやめとけ』って言ってます。大学に行って、就職して、なんなら起業して、自分が動かなくてもお金がちゃんと入ってくるような仕組みを作ってから、その余ったお金でチャレンジするのが順序。もし子どもがやりたいと言ったら、同じように言うかもしれないですね」

 家庭では二児の父。「賞金は自分のためには使わない。小学校から私立なので学費が本当にかかる(笑)」と笑いつつ、ポーカー歴10年以上の妻に支えられ、年間4分の3を海外や地方遠征に費やす日々を送っている。

「大学は辞めるな」若者への金言と、1億円を逃した瞬間の一礼

 10億円近くを稼ぎ出した昨年だが“忘れられない局面”を聞くと、悔しさが先にくるようだ。1億円を逃したシーンを振り返ってもらった。

 夏にラスベガスで開催された「2025 Wynn Summer Championship」。優勝目前、「K」「K」という最強に近い手札からのバッドビートだった。

「あれ以上すごいのは食らったことなくて。しかもそれがラスト3人、1つ順位が違うと1億円違うところだった。あそこでやっぱり腹は立つんですよ。『なんだこれ』って思うんですけど、ただ相手に対するリスペクトを最後まで持てて、『ナイスラン、おめでとう』と言えたのは、自分の中で良かったなと思いました」

 自分が感情を出すことで日本全体のポーカー業界の品位を下げたくない、というプロの矜持からだ。

 後進のお手本になる存在として、背中で引っ張る覚悟がある。「若い人たちが自分を見て、『ポーカーは海外のカジノで勝つ以外にも、なんか夢がある世界なんだな』という風に見せたいというのはあります。ポーカー業界全体で考えても、相手がいないと成り立たないゲームなので、相手に対するリスペクトを持った世界になればいいなと思います」。

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