原菜乃華、声優業は「性に合っている」 3作目のアニメ映画出演「緊張よりも楽しさが勝ってきた」
俳優の原菜乃華が、今月17日公開のアニメーション映画『君と花火と約束と』(鈴木慧監督)でヒロインの葉山煌役を務めている。ENCOUNTは原に、アニメならではの「芝居での探求心」を聞いた。

アニメ映画『君と花火と約束と』でヒロイン
俳優の原菜乃華が、今月17日公開のアニメーション映画『君と花火と約束と』(鈴木慧監督)でヒロインの葉山煌役を務めている。ENCOUNTは原に、アニメならではの「芝居での探求心」を聞いた。(取材・文=大宮高史)
同作は、真戸香氏の同名小説が原作で、新潟・長岡まつり大花火大会を舞台に時代を超えた約束が交差する物語。高校生の葉山煌(原)と夏目誠(timelesz・佐藤勝利)は、煌の曽祖母の言い伝えと1枚の花火の絵をきっかけに長岡を訪れる。そこで謎の少女・ハル(高橋李依)と出会って、煌の先祖にまつわる太平洋戦争末期の運命が明らかになっていく。
――演じた葉山煌への印象は。
「私とは正反対ですね。クラスの中心にいて、みんなの人気者で、おまけに学級委員まで務めている才色兼備の女の子ですから、頼られる子でもあります。私は委員なんて全然縁がなくって、頼るタイプですね。それに、煌ちゃんは身のこなしも機敏。そこも正反対です(笑)」
――煌に内面的な部分で共感できるところはありましたか。
「明るさの裏に影があるところが好きです。煌ちゃんはあまり人に弱みを見せられなかったり、自分の本当の気持ちを誰かに打ち明けることに抵抗があったりするんです。そんな脆さや葛藤は、私も実感しているので、大切に演じたいと思いました」
――原さんがタイムスリップできるとしたら、過去と未来、どちらへ行ってみたいですか。
「過去ですね。未来に行くと将来のネタバレを知ってしまいそうなので(笑)。過去に行って、両親が出会った瞬間の場所を見てみたいです。どんな風に出会って、どんな会話をしていったのか。自分のルーツが生まれたその瞬間が気になります」
――原さんにとって夏の思い出は。
「夏生まれなので、花火やかき氷、夏の匂いそのものが大好きです。友達と自転車を漕いで地元の河川敷へ向かって、手持ち花火をしながら他愛もない話をしたりして。それに花火大会があると、実は見に行くまでの道中が一番好きだったりします。人混みの中で、屋台で買ったものを食べながらおしゃべりする時間も思い出になります」
――昨年もアニメ映画の『不思議の国でアリスと-Dive in Wonderland-』で、大学生の安曇野りせ役で主演。りせと煌で、声の芝居の違いで意識したことは。
「年齢も性格も違うので、声の高さから変えていきました。今回は、2時間の中で煌の感情がはっきりと変わっていくので、彼女の波のような心のゆれ動きはストレートに表現していきました。それにクラスで頼られている時と、誠くんの前で本音を見せていく時の二面性をどう表現するかを考えることも、やりがいがありました」
――実写のドラマや映画との違いを教えてください。
「全く違いますね。実写だと表情や全身の動きで伝えられる要素も、アニメは声だけに集約して表現しないといけないですから。ちょっとした声の揺らぎや震え、息継ぎもキャラクターの感情として解釈されます。なので、好きなアニメに携われるとはいえ、アフレコの度に責任の重さを感じます。と同時に一つの音に集中できることに燃えますし、実写とは全く違う脳の使い方ができることが刺激的です」

3作目出演「自由にできました」
――アフレコ中の感覚は、原さんにとってどのようなものですか。
「もともと、お芝居では常に自分を俯瞰(ふかん)して見ている感覚があります。『ここにカメラがあって、この立ち位置にいなければ画面に映らない』といった計算を頭の中でしながら動いています。それはそれで楽しくて大好きな仕事なのですが、アフレコは何というか……ブースの中に入ると、自分を縛っていた視線から解放されるような感覚になります」
――他者の視線を気にせずにいられると。
「幼い頃からこの仕事をしているのでカメラに見られているのが当たり前でしたが、アフレコのブースって誰の目線もない自分だけの空間です。ただマイクと、目の前の絵だけに没入できる。その体験が新鮮で、陶芸をやっているようで好きになりました」
――「陶芸のよう」とは、具体的にどのような手応えですか。
「自分の声の細かいところまで、納得のいくまで修正を繰り返して没頭できるのが、私の性に合っているのかなと思います。声のお芝居を始めて、一番予想外の発見でした」
――声優としては3作目の映画出演。成長を感じたことはありますか。
「台本を開いた時に、戸惑わなくなりました(笑)。アニメの台本って、ドラマや映画とスタイルが違います。だから、今までは台本を開いて『あれ?』から始まって切り替えていかないといけませんでしたが、今回はすぐ慣れました。回を重ねるごとに、緊張よりも楽しさが勝ってきました」
――では、演じてみての思いは。
「アニメで役をいただくのもまだ3作目ですから、普段からやっていることではないので緊張します。『自分でいいのか』という不安もあります。しかも、過去の人の思いをつなぐ物語なので、より『責任重大だな』というプレッシャーも感じてしまって。でも、お芝居は自由にできましたし、煌ちゃんのことをいろいろ想像して試行錯誤できたのも楽しかったです。彼女のことを『たくさんの方に届いたらいいな』と思いながら演じたので、注目して見ていただけたらなと思います」
□原菜乃華(はら・なのか) 2003年8月26日、東京都生まれ。子役で芸能界入りし、17年に『はらはらなのか。』で長編映画初主演。22年にアニメ映画『すずめの戸締まり』で声優として初主演。以降、NHK大河ドラマ『どうする家康』、Amazon Prime Video『【推しの子】』などに出演。25年は映画『見える子ちゃん』、NHK連続テレビ小説『あんぱん』、日本テレビ系連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』などに出演。今年はテレビ東京系連続ドラマ『るなしい』で主演。
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