46歳・ピース又吉の結婚観 “想像とは違う現状”も焦りなし「1人は1人で楽しい」
お笑いコンビ・ピースの又吉直樹(46)が、『失恋カルタ』(Gakken)を刊行した。同作は、又吉が書き下ろした失恋にまつわる読み札に、イラストレーター・たなかみさきが絵札を添えた異色のコラボレーション。書籍版には又吉によるショートショートも収録され、実写ドラマ化されるなど注目を集めている。又吉に、制作の舞台裏、読み札に込めた思い、そして自身の恋愛観を聞いた。

イラストレーター・たなかみさきが絵札を添えた『失恋カルタ』刊行
お笑いコンビ・ピースの又吉直樹(46)が、『失恋カルタ』(Gakken)を刊行した。同作は、又吉が書き下ろした失恋にまつわる読み札に、イラストレーター・たなかみさきが絵札を添えた異色のコラボレーション。書籍版には又吉によるショートショートも収録され、実写ドラマ化されるなど注目を集めている。又吉に、制作の舞台裏、読み札に込めた思い、そして自身の恋愛観を聞いた。(取材・文=平辻哲也)
もともとは、又吉が朗読会のために作ったものだった。
「最初、僕が朗読で読むために『失恋カルタ』を作りまして、これをカルタにできたらいいなという話をしてたんです」
カルタにするには、絵札が必要になる。そこで候補に挙がったのが、たなかみさきだった。
「たなかみさきさんのことを知って、作品を見たら、もうほぼ失恋カルタみたいなことをしてらっしゃったんで。この人に描いてもらえたらうれしいですねと、当時のマネジャーとしゃべったんです」
当時は面識がなかった。又吉は、たなかが銀座のギャラリーで作品展を開いていると知ると、在廊のタイミングに合わせてマネジャーと足を運んだ。
「僕、作品を買わせてもらって。『今こういうものを作ってるんですけど、今度読んでくれませんか』みたいなところからです」
購入した作品は2点。ひとつは比較的大きな作品で、もうひとつは小ぶりな作品だったという。
「1個はリトグラフなのかな。1個は原画に近いものだったんですかね」
面識のない相手に、いきなり依頼するのではなく、まず作品を購入し、そのうえで声をかけた。又吉らしい、作品への敬意を伴ったオファーだった。
読み札は、どのように生まれたのか。
又吉は「失恋にまつわる瞬間」や「そういうことありそうだな」という場面を考えながら、「あ」から「ん」までを書いていったという。
「失恋って、みんなが割と体験することでもあるので、それを楽しい感じで笑いながら消化できるようなものがあればいいなっていうところで書き始めたんです」

書籍版にはショートショートも収録「僕は元々考えるのが好き」
最初は1日で一気に書いた。そこから部分的に内容を入れ替え、本になる直前にも2つ、3つほど読み札を変更した。
「浮かぶものもあれば、浮かばないものもあるって感じです。1日で全部最初書いて、そこからこの形にするまでは部分的に内容を入れ替えたりしながら最終的にこの形になりました。この本にする1個前でも、もう2つか3つぐらいは読み札を変えて、ちゃんと完成したっていう感じですね」
中でも、自身の実感が重なっている一句がある。
「仕事のせいにして別れるのが特技ですか」
又吉は、この読み札についてこう明かす。
「僕が書いたのは割と女性のものが多いんですけど。例えば『仕事のせいにして別れるのが特技ですか』とかは、自身はなんとなくそういう別れ方が多かったのかな。こんな風に人に言われたことはないんですけど、自分の中でなんとなく仕事を優先させてきたというのは実感としてあったりするんで、これは体重が乗ってる読み札だとは思います」
誰かに言われた言葉ではないが、思い当たる感覚がある。短い一句に、又吉自身の経験がにじむ。
書籍版には、読み札から広がるショートショートも収録されている。800字ほどの短い物語の中で、失恋の情景や人物の空気が描かれている。
「僕は元々考えるのが好きでこういう仕事してるんで。その難しさっていうのはあんまり感じなかったんですけど、むしろ考えやすかったですかね。一応、自分が書いたものの影響で書いてるんで、題材があるっていうところから書けてたんで」
読み札という題材が先にあることで、物語を立ち上げやすかったという。今後もショートショートを書く可能性については、「やろうと思えば多分できると思いますね」と語った。
作品のテーマにちなんで、結婚観について聞くと、又吉は率直に答えた。
「昔は若い時は、そういう時期が来たら結婚するんだろうなと思ったんですけど、今はそこまで。焦りもなければ、自分が想像していたような未来ではなかったなと思うんですけど、1人は1人で楽しいですし、重く深く考えてはないですね」。失恋を笑いながら消化する『失恋カルタ』には、そんな又吉の軽やかな距離感もにじんでいる。
□又吉直樹(またよし・なおき)1980年、大阪府寝屋川市生まれ。2003年に綾部祐二とお笑いコンビ・ピースを結成した。15年に小説デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞。その他の主な著書に『劇場』『人間』『生きとるわ』などがある。
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