大病による舞台断念から声優へ、松本梨香が明かす亡き父の小道具が導いた不思議な舞台復帰劇
人形劇映画『ヤマトタケル~白鳥伝説~』(監督・岡田有甲、5月22日から大阪・扇町キネマ、 29日からアップリンク京都ほか順次公開)で若き日の大和武尊(ヤマトタケル)の声を演じた声優・歌手の松本梨香。「自分の身近に起きた色々なことを演じることが多くて不思議なんです」と話す。

やれていないことはたくさん「40周年はあくまで通過点でしかないです」
人形劇映画『ヤマトタケル~白鳥伝説~』(監督・岡田有甲、5月22日から大阪・扇町キネマ、 29日からアップリンク京都ほか順次公開)で若き日の大和武尊(ヤマトタケル)の声を演じた声優・歌手の松本梨香。「自分の身近に起きた色々なことを演じることが多くて不思議なんです」と話す。(取材・文=平辻哲也)
その代表例というのは、パトリシア・アークエット主演の米ドラマ『ミディアム霊能者アリソン・デュボア」(2005~11年まで、全7シーズン放送)だ。実在するリサーチ・ミディアム(霊能者)、アリソン・デュボアをモデルに、アリソンが予知夢や霊と交信する特別な能力を活かし、警察では解決できない数々の難事件を解決する物語だ。
「アリソン役の時は、自分と役がリンクしちゃって、夢で見たことが現実に起きたりする時もあって……。夢の内容をすぐにマネージャーに言うようにしていました。テスト収録を終えたあと、『これがすごくいいから本番はなしでもいいですか』と言われたこともありましたね」
昨年、芸能生活40周年を迎えたが、もともと舞台女優としてデビュー。劇団の座長だった父・中村雄次郎(2004年死去)と、裏方として劇団を続けた母。そんなエンターテインメントの現場で育った経験が、すべての原点だ。しかし、大病を患い、ドクターストップがかかったことから、声の仕事に転身し、成功を収めた。
「声の仕事を始めたころ『やっぱり舞台に立ちたい』と仏前で亡くなった父にお線香をあげながらこぼしていました。そうしたら父の劇団で使う小道具の『十手』が2本出てきて……」
なんとその1週間後に、舞台のオファーが。それも『十手持ちの娘の役』。
「偶然にしてはピンポイントすぎて驚きました。ちゃんとエンタメに向き合っていれば出会わせてくれるから無我夢中で頑張れ、というメッセージだったんだと思います」
尊敬する父の命日である5月16日には、自身の会社である株式会社Matsuricaを設立。「笑顔のバトンを全世界に届ける」という理念を掲げ、後進の育成やプロデュース業にも力を注いでいる。昨年9月には、自身がプロデュース・演出・主演のすべてを務める、演劇祭で賞も獲得した40周年記念特別公演 舞台『ナビゲーション2025』も見事に走り抜けた。
「今まで経験させてもらったことでマイナスなものはひとつもありません。もっとやっていかなきゃって、まだやれてないとこがたくさんある。40周年はあくまで通過点でしかないです」
病による挫折、不思議な巡り合わせ、そして両親から受け継いだ無償の愛とエンタメへのストイックな姿勢。そのすべてを養分として吸収し、表現へと昇華させてきた松本。芸能生活40年という節目を越えてもなお、「まだ伸びしろがある」と笑う。そんな彼女の愛と勇気の冒険はこれからも続いていく。
■松本梨香(まつもと・りか) 神奈川県横浜市出身。クールジャパンエグゼクティブディレクター/高知県観光特使を務める。劇団の座長である父を持ち、舞台女優としてデビュー。数々のアニメ作品で主人公やヒロインを演じる。TVアニメ 「ポケットモンスター」 シリーズ主人公サトシ役を演じ、主題歌の『めざせポケモンマスター』はダブルミリオンを記録。『忍空』風助役や『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の獏良了役などがある。『仮面ライダー龍騎』ではシリーズ初の女性主題歌『Alive A Life』を歌唱し、『ウルトラマンネオス』でも女性初のエンディングテーマを歌唱。近年ではテレビ朝日系『爆上戦隊ブンブンジャー』にブンレッドの相棒ブンドリオ・ブンデラス役(ブンブン)で出演のほか、エンディングテーマ『コツコツ-PON-PON』を歌唱。また舞台の演出にとどまらず吹替作品の音響監督も務め、絵本やエッセイの執筆もしている。
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