「フワちゃんを見習ったほうがいい」 Sareee、デビュー15周年大会を前にプロレス界に警鐘

“太陽神”Sareeeが開催するデビュー15周年記念大会(3月22日、横浜武道館)が目前に迫ってきた。そこで、今回はSareeeを直撃し、記念大会に懸ける意気込みを聞いた。

久々にアントニオ猪木の権利を管理する猪木元気工場に姿を現したSareee
久々にアントニオ猪木の権利を管理する猪木元気工場に姿を現したSareee

「このメンバーなら私の見せたい“戦い”が見せられる」

“太陽神”Sareeeが開催するデビュー15周年記念大会(3月22日、横浜武道館)が目前に迫ってきた。そこで、今回はSareeeを直撃し、記念大会に懸ける意気込みを聞いた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 本題に入る前に昨年を振り返ると、Sareeeは新日本プロレスが管理するIWGP女子王座をめぐり、スターダムの朱里と計3度の激闘を展開。2勝1敗と負け越したものの、1度は同王座を手中に収め、念願だったベルトを腰に巻くことに成功した。

「私にとってはすごく思い入れのあるベルト。日本に復帰してから狙ってきたベルトだったので、重かったですね」と話したSareeeは、記念大会の対戦カードを、彩羽匠(マーベラス)と組んで、朱里(スターダム)&橋本千紘(仙台ガールズプロレスリング/仙女)というタッグ対決に決めた。これは数ある女子プロレス団体の最高峰を揃えての、文字通り頂上決戦になる。

 これに対してSareeeは、「いろんな選択肢があるなかで、最終的には自分がやりたいことをやろうと決めました」と目を輝かせた。

 今回対戦する朱里は前述通り、IWGP女子王座を懸けた激闘を展開させた選手であり、橋本は仙女のワールド王者として、これまで何度となくSareeeとしのぎを削ってきたライバルになる。

「15周年は節目だし、私が今後何を見せたいのかと思った時に、このメンバーだったら、私の見せたい“戦い”が見せられる確信がある」と自信を見せながら、「『シングルじゃないの?』って声はあるんですけど、それは見てもらって、感じてもらえれば。なんで私がこのカードを選んだのかっていう」と言葉をつないだ。

 また、朱里に関しては「新たに見つかったライバル」と話すSareeeは、橋本が会見でSareeeについて、「格の違いを見せてやる」と口にしたことに関して触れ、「シンプルにこっちも見せてやるって思いましたね」「燃えました、その言葉に」と話した。

 だが、Sareeeが2024年には女子プロレス大賞を受賞し、25年は女子プロレスラー初の敢闘賞までゲットしたことを考えると、橋本の言う「格の違い」とは何を指すのかと多少なりとも疑問を持った。たしかに直近の一騎打ちではSareeeが不覚を取ったものの、決してSareeeが格下とは思えないからだ。

 これについてSareeeは、「リング上でのレスリングスタイル、MMAスタイルのことを言っていると思うけど、プロレスなので、そういう頭の固いところが橋本にはあるんだなあ」と話すと、「それも橋本の良さだと思ったし、いつ闘っても語り合える」と記念大会での橋本との遭遇に「ますます楽しみになりました」と続けた。

 余談になるが、プロレス界における「カタイ」は意味深な言葉になる。実際、Sareeeも「私もそう言われる」との自覚を持っているが、裏を返すと、Sareeeに対して、そういった攻撃を仕掛けてきた選手や試合はあったのか。素朴な疑問ながらSareeeにそう問うと、返ってきた選手の名前を聞いて、やはり、とうなった。

大会には島谷ひとみ(右)が登場し、Sareeeの入場曲「太陽神」を熱唱する
大会には島谷ひとみ(右)が登場し、Sareeeの入場曲「太陽神」を熱唱する

「やられたらやり返せばいい」

 Sareeeは、自身が「悪魔」と呼んだ「中島安里紗(SEAdLINNNG)」(2024年8月に引退)の名前を出したかと思うと、「ヒジの(先端の)硬い部分を思い切りアゴに入れられましたよ」と話した。

 もちろん、「やり返しましたけどね」とSareeeは続けたが、「そういうのから、行っちゃいけない方向に行くんだなっていう試合はありましたけど、そんな熱くなったら誰でもそうなると思う」「ルールはルールであるけど、カッとなったらそうなることはあるわけで、そういうのがすべてリアルに出せるのがこのリングなんじゃないかなって思う」と明かした。

 さらに「いろんな意見があるので」と話した後に、「やられたらやり返せばいいんですよ」と言葉を結んだ。この物言いには、思わず「カッコいい」とつぶやいてしまった。それほどまでに腹のすわった言葉だと率直に思ったからだ。15年という月日が長いのか短いのかは各々の考え方になるだろうが、少なくともSareeeがそれなりの修羅場をくぐってきたことを容易に想像することができた。

 さて、先にも触れた通りSareeeは現在、彩羽とスパークラッシュを結成しているが、彩羽といえば、正月3日、大田区総合体育館において、やはり今年デビュー15周年を迎えた岩谷麻優(マリーゴールド)と年間最高試合の最有力候補になるような激闘を繰り広げた。彩羽に関しては、関係者の誰もが「いい選手」と太鼓判は押すものの、彩羽の持つ剥き出しの感情が見えにくい選手だなと個人的には思っている。

 もし彩羽がその壁を破ることができれば、スパークラッシュはさらなる輝きを手に入れるに違いない。

 そのための手段はいくつかあるだろうが、ひとつの方法は、権威に立ち向かっていく姿を見せられるか。具体的に言うならクラッシュを継承する以上に、いかに刃向かえるか、になるのではないかと思う。

 とはいえ、現実的にクラッシュはリング上にはいないのだから、それを具現化するのは容易ではないが、少なくとも彩羽の上司に当たる長与千種という権威に牙を剥いて本気で立ち向かっていくことができれば、必ず彩羽への評価は変わっていく。なぜなら一般社会では上司に異論を唱えることは基本的には御法度。逆に言えば、だからこそ挑むだけの価値がある。

 これに関してSareeeは「フリーと団体所属の違いはあると思う」「自分は一人なのでなんでもありじゃないですか」「団体所属は仲間もいていい面もありますけど……自分は好き勝手、自分勝手にプロレス界で生きている。自分も団体にいたら、たぶん静かにしていると思います」と現在の身軽さがSareeeの勢いを後押ししているといった話を披露した。

 それでもあえて言うなら、だからこそマーベラスに所属する彩羽が革命を起こす姿を見せられるか否か。彩羽のみならず、そこにはスパークラッシュの、そして今後の女子プロレス界における大きな方向性や未来がかかっている気がしてならない。

フワちゃんはLEGEND勢と組んで6人タッグを戦う
フワちゃんはLEGEND勢と組んで6人タッグを戦う

「(フワちゃんは)抜群にセンスがある」

 ちなみに現在のスパークラッシュが令和女子プロレス界最強のチームと認められるにはどんな方法があるのか。たとえばSareeeはシングルプレイヤーとしてIWGP女子王座に照準を合わせ、実際にそれを腰に巻くことができたが、タッグにはどんなベルトがあるのか。

 これについてSareeeは「いっぱいタッグのベルトがあるので……全部取るのがいいんじゃないですか。(全タッグベルトを)巻きまくる」と語った。たしかにそれができれば、自然と注目度はうなぎのぼりになっていくに違いないが、果たしてどうなるのか……。

 また、Sareeeといえば過去にプロレス界にさまざまな波紋を巻き起こしてきた実績を持つ。それは2023年3月にWWE(NXT)から帰国した直後に口にした、「かわいいだけじゃなくて戦いを」という日本女子プロレス界全体を挑発する言動にはじまり、その後は受け身問題、本物論争、ブーイング騒動……とSareeeの生き方はプロとして非常に魅力的に映る。要は、それだけ物議を醸しても平然と生き残っているのだから、それはすなわち実力者の証拠に他ならない。

 しかしながらSareeeは「騒がせようと思って騒がせているわけではない。自然現象なので。こうやってやろうと思っているわけではなくて、ポンと出る言葉だったり行動が……」と言葉をにごらせる。

 興味深いのはSareee以上に世間を騒がした結果、女子プロレスラーへの道を歩むことになったフワちゃんも、Sareeeの15周年大会に参戦し、花を添えることだろう。

 実はSareeeはフワちゃんが女子プロレスラーの道を進むべきか決めかねていた時期に、ともに汗を流していた間柄だ。

 フワちゃんについてSareeeは「復帰前に練習を見させていただいて。一緒にともにしてきた時間もあって。フワちゃんのプロレスに対する真面目さというか、みんな見習ったほうがいいんじゃないのってぐらいの、そういう姿を見てきた」と話した。

 しかも「実際に試合してるのを見ても抜群にセンスがある」「やったからにはメインを張れる選手になってほしい」と期待を寄せる。

 事実、Sareeeにそう言わせるぐらいだから、フワちゃんは相当の逸材なのだろう。すでに過日、両者は初のタッグ対決を果たしているが、今後は両者の一騎打ちやタッグ結成の機会が巡ってくると思うと楽しみが広がる。

 ともあれ、Sareeeにとって15周年記念大会は、もちろんひとつの節目だが、それを認識した上で「また新たなスタートを切る意味でも、女子プロレスの未来をしっかり見せたい」と心を躍らせる。おそらくSareeeにとっては、この日を境に新たなるステージに駆け上がる第一歩。勝敗とともに会場の熱を最高潮に達することができるのかにも注目が集まる。

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