俳優の妻夫木聡が主演を務めるTBS系連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』（日曜午後9時）が14日に最終回（拡大SP）を迎えるにあたり、本作を手がける加藤章一プロデューサーがインタビューに応じた。毎話、競馬ファンの注目を集めた“出演馬”テロップを導入した理由や、本人役で出演した現役騎手たちの演技について語った。（取材・文＝猪俣創平）

　日曜劇場枠で放送中の本作では、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが家族や仲間との絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリーが描かれている。

　JRA（日本中央競馬会）全面協力の下、競馬場や実際のレース映像を使用したリアリティーあるシーンの数々も話題だ。加藤氏は「競馬ファンの方が、映像として出てくる実際のレースを当てるのが早いじゃないですか（笑）。そういう楽しみもあるんだなと、びっくりしました」と思わぬ反響に驚きを語った。

　加藤氏自身はこれまで競馬に触れる機会が多くなかったため、「競馬ファンの皆さんが詳しすぎて、事前に実際のレースを知っていたら怖くてドラマにできなかったかもしれないと思うほどです（笑）。いろんなご意見をいただきましたけど、楽しんでいただけたことはうれしいです」と胸をなでおろした。

　また、レース映像やドラマ撮影のために“出演した”競走馬や元競走馬たちの馬名がクレジットにも記載されている。しかし、この“馬名テロップ”は当初、クレジットに入れる予定はなかった。導入に至ったきっかけもまた、競馬ファンによる“特定”の動きだった。

「放送前に馬と写ったポスタービジュアルを公開した時に、SNSでファンの方に『マイネルホウオウだ』とすぐに当てられてびっくりしました」と、現役時代にNHKマイルカップを制覇したGI馬で、現在は東京競馬場で誘導馬を務める栗毛馬の人気ぶりに驚かされたという。

　予告で使用されたレースシーンも「速攻で当てられたので（笑）」と競馬ファンの熱量に圧倒され、こうした放送前の反響を受けて、「スタッフの中でも、テロップにその回の出演馬を書いた方がファンの方にも喜んでもらえるし、馬にとってもいいんじゃないかという意見があって、取り入れることになりました」と“馬名テロップ”誕生の経緯を語った。

　もっとも苦労もあるようで、「JRAの公式映像から使用したレース映像も、ドラマ用に撮影したものも含めて、映っている馬は基本的にすべて許可を取っているんです。でも、だんだん出演馬も多くなってきて、作業が大変になっていきました」と苦笑いを浮かべつつも、「テロップを入れたことで喜んでいただけてよかったです」と胸を張った。

　そんな本作では競走馬だけでなく、現役騎手たちも本人役で出演。武豊、戸崎圭太、坂井瑠星、クリストフ・ルメールといったトップジョッキーたちもドラマを大いに盛り上げた。

　武や戸崎の演技を「すごく上手でした」と絶賛していた加藤氏。最終回にも出演する坂井とルメールについても「めっちゃ上手じゃないですか？」と自然な演技に驚いたといい、「（演出の塚本あゆ子氏は）いつも通りの場所でいつも通りのことをしていただいていますと言ってましたけど、僕はそれにプラスして、やっぱり度胸がすごい」と、アスリートならではの特徴があると分析した。

「いろいろと不安もあったと思うんですけど、あまり感じさせませんでした。台本は一応お渡ししているものの、サラッと現場に来て、きっと何かを感じ取っているんでしょうね。だから、にらみ合うシーンも普通に自然にやるな、みたいな（笑）。本当にすごいと思いました。やっぱり本物のジョッキーの方は、いつも勝負されているので一発本番に強いんでしょうし、オーラがありますよね。素晴らしい演技だと思いました」

　最終回は、栗須（妻夫木聡）と耕一（目黒蓮）らチームロイヤルが、ロイヤルファミリーとともに夢見てきたGIレース・有馬記念が最大の見どころ。有馬記念のレースシーンでは、坂井とルメールが再び出演する。加藤氏は「坂井騎手とルメール騎手と、高杉（真宙／佐木隆二郎役）くんと市原（匠悟／野崎翔平役）くんと、みんなが普通に競走馬に乗ってレースに向かう。こんな場面はなかなかないと思うんですよね。JRAと騎手の皆さんのご協力があってできたことですけど、面白い最後の戦いを見ていただけるんじゃないかなと思います」とアピールした。