今年のシーズン序盤は豊漁となっているサンマ。秋の味覚を自宅でも楽しみたいところだが、生魚の調理には注意が必要だ。「生サンマ寿司食べて寝落ちしたら、夜に胃の不快感で目覚めて……」。腹部に激痛が走り、翌朝に緊急で医療機関を受診。体内から発見されたのは、寄生虫のアニサキスだった。SNS上では「ひええ」「やっぱおるんやね…」と衝撃が走った。投稿者が壮絶体験を明かした。

「昨日、生サンマ寿司食べて寝落ちしたら、夜に胃の不快感で目覚めてね。下痢とかでもないのに、みぞおちに刺すような痛みがあった。アニサキスを疑って、苦し紛れに寝て、胃をからっぽにしておいた。消化器内科でカメラ飲んだら、いた！　アニサキス！　覚悟はいつもしてたけどね…」

　Xの投稿者は、じあの（@isogishisenkaku）さん。なじみの魚屋でサンマを購入し、気を付けながら自らさばいて調理したという。Xでも「今だけの生を握りで」と、おいしそうなサンマの自家製ずしを投稿していた。

　大満足でサンマを完食したのだが、悲劇が待ち受けていた。夜中に体調の異変を感じて目覚めた。「みぞおちをえぐり、突き刺すような、キリキリした痛みです。通常の胸焼けや胃痛とは明らかに違うので、それだと直感しました」。

　アニサキス被害を確信。冷静に治療の段取りを考えた。「翌朝一番に受診したかったので、それ以降は何も食べずに備えて、開院と同時に駆け込んで、胃カメラ受診を幸運にも取り付けることができました」。治療費は保険適用で1万円強だったといい、「麻酔して内視鏡を受けて、すぐ除去してもらえました」と振り返る。

　ネット上では「お大事になさってください…。身の中に潜られちゃうと目視も厳しいですからね」「今後一層気を付けて参りましょう！」「アニーちゃん辛いですよね…でも良いものを食べてる証拠です笑！」「お刺身やってみようかな とか思ったけど怖いですね…お大事に」「ライトは必ず持って調べないとですね」など驚きが広がった。

　魚を食べる際に、やっかいな存在のアニサキス。厚生労働省の公式サイトなどによると、アニサキスの幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ヒラメ、マグロ、イカなどの魚介類の主に内臓表面に寄生。宿主の魚介類が死んで時間が経過すると、内臓から筋肉に移動するという。「アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生（不十分な冷凍または加熱のものを含みます）で食べることで、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒（アニサキス症）を引き起こします」と説明。り患した場合は1時間から数日で症状が出現するといい、「激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われる際は速やかに医療機関を受診してください」と注意喚起している。

　また、予防策として、より新鮮な魚を選ぶこと、速やかに内臓を取り除くこと、内臓を生で食べないことなどが挙げられる。調理する場合は、目視確認による幼虫の除去に加えて、「マイナス20度で24時間以上の冷凍」「70度以上、または60度なら1分の加熱」といった対処法が紹介されている。

　今回のアニサキス被害。摘出後の様子について、「すぐに強い痛みは引いて、それでも炎症が残ったのか、その後の食物接種後に、ゴロゴロなったりすることはありましたが、強い痛みはありませんでした。胃の炎症を抑える薬を1週間分もらいましたが、すぐ回復したので2日後からはもう飲んでいません」と話す。

　すしや刺身は、旬を味わうのに最良の食べ方の一つでもある。過度に怖がることなく、日本の豊富な魚の食文化を楽しみたいものだ。

　じあのさんは、調理の際により注意を払うことを再認識したといい、「サンマを買ったのは信頼できるお店と店主さんで、今回も『刺身は大丈夫、でも気を付けてよく見てね』という説明を受けていました。私の目視確認不足と考えています。アドバイスとしては、世の中に絶対はないのでとにかく自己責任でおいて目視を怠らないように、としか言いようがないですね……。今回いただいたサンマ自体は、魚体も大きく鮮度良好、脂がみずみずしく、とてもおいしいものでした。今年は豊漁ですので、まだ楽しむチャンスはあると考えています。その際は（特殊なライトで照らして見つけやすくする）アニサキスライトを使用して、万全の目視をするつもりです」と話している。