『あな奪』北川景子の娘役を好演、14歳・一色香澄が放つ存在感「夢の朝ドラに出られるように」

カンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『あなたを奪ったその日から』(月曜午後10時)は、主演・北川景子の鬼気迫る演技で回を追うごとに話題となっている。考察も激化する同作で、存在感を放っているのが14歳の新人・一色香澄だ。北川の娘役をオーディションで勝ち取り、そうそうたる俳優陣を相手に演技で渡り合っている。彗星のごとく現れた一色香澄の素顔に迫った。

インタビューに応じた一色香澄【写真:増田美咲】
インタビューに応じた一色香澄【写真:増田美咲】

オーディション中に考えたアドリブでつかんだ大役「すごくうれしかった」

 カンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『あなたを奪ったその日から』(月曜午後10時)は、主演・北川景子の鬼気迫る演技で回を追うごとに話題となっている。考察も激化する同作で、存在感を放っているのが14歳の新人・一色香澄だ。北川の娘役をオーディションで勝ち取り、そうそうたる俳優陣を相手に演技で渡り合っている。彗星のごとく現れた一色香澄の素顔に迫った。(取材・文=中村彰洋)

 同作は、食品事故で我が子を失った北川演じる中越紘海が、総菜店の社長・結城旭(大森南朋)へ復讐(ふくしゅう)するべく、当時3歳の娘・萌子を誘拐するという展開からスタートする。時は流れ、誘拐された事実を知らぬまま、萌子は美海という名前で中学生まで成長。その姿を一色が演じている。

――今回の役はオーディションで勝ち取ったとお聞きしました。印象的な瞬間はありましたか。

「6~7人のグループでオーディションが行われました。事前に台本を頂いて、元気な役ということは聞いていましたが、私より前にお芝居をやった子がとても面白くて明るい美海ちゃんを演じていて、監督やプロデューサーさんが笑っていました。

『このままだと私は落ちちゃうかもしれない』と思い、私の番が回ってくるまでの間に、『この子より面白い美海ちゃんの動きをしなきゃ』と必死に考えて『どうやったら監督を笑わせられるだろう』と意識して演技をしました。

 なので、選ばれたと聞いた時はすごくうれしかったです。私のことを知っていただくチャンスにもなると思いました」

――アドリブで対応したからこその抜擢だったのですね。それ以前も他のオーディションは受けていたのでしょうか。

「はい、受けていました。でも、毎回緊張しています。オーディション前は絶対にお腹が痛くなります(笑)。徐々に役をいただけるようになって、とてもうれしいです」

――今作が初めての連ドラレギュラー出演となりましたが、撮影現場の雰囲気はいかがですか。

「シリアスなシーンが多いですが、雰囲気は真逆で、明るくて面白い現場です。スタッフさんも優しい方ばかりで、安心感があります」

――北川景子さんと1対1で対峙(たいじ)するシーンも多いですが、緊張などはされませんでしたか。

「緊張はすごくしました。でも、撮影終盤に監督さんから『北川さんや大森さんたちを前にしても、自分のタイミングでせりふを言う度胸がある。これからも続けていきなさい』と言っていただけて、すごくうれしかったです」

撮影時にあった北川景子とのエピソードについて語った【写真:増田美咲】
撮影時にあった北川景子とのエピソードについて語った【写真:増田美咲】

北川景子との撮影で生まれた新鮮な感情「お芝居の楽しさを実感」

――共演者の方からアドバイスをもらうことはありましたか。

「北川さんに『涙を流すシーンで意識されていることはありますか?』とお聞きした時に、『メイクも崩れちゃうし、本番で泣けなくなっちゃったりもするから、本当はリハーサルではあまり泣かない方が良いんだろうけど、こういうシーンではつい感情があふれちゃう時もあるよね』と優しく答えてくださって、第一線で活躍されている方からのアドバイスや貴重なお話を聞けてすごくうれしかったです」

――撮影期間で印象に残っていることはありますか。

「撮影終盤に、北川さんと物語の大事なシーンの撮影があって、準備段階から自分の中でもいろいろ考えて臨みました。でも、いざ北川さんを前にしてお芝居を始めると、自分でもびっくりするぐらいの感情があふれ出してきました。本当に美海ちゃんの気持ちに寄り添えた気がして、想像していたものとは違う感情も生まれてきて、改めて北川さんのすごさを感じると同時に、自分の知らない感情を知ることができて、お芝居の楽しさを実感できました。

 撮影の空き時間の話だと、仁村紗和さんと初めてお会いしましたが、とても面白い方で、ずっと関西弁で気さくに話しかけてくださって、学校の話からお仕事の話までたくさんお話することができてうれしかったです」

――放送が始まって周囲の反応はいかがですか。

「リアルタイムで見てくれている友達も多くて、放送後に『見たよ!』と感想をLINEで送ってくれてうれしいです。撮影は終わっているのですが、最終回に向けてどんな作品に仕上がっているのか、私自身も放送されるのが楽しみです」

――SNSなどでも「美海ちゃんを演じている人は誰?」といった形で話題にもなっていますね。

「第4話で、視聴者の方に美海ちゃんがどのように見えているのか気になって、ネットで反応を調べたりもしました。『明るくて面白い鉄オタに成長してる』などの声も多くいただけて、ちゃんと伝わっていて良かったと安心しました(笑)」

――宮崎出身の一色さんですが、デビューのきっかけはどういった経緯だったのでしょうか。

「もともと小さい頃からドラマや映画を見ることが大好きで、登場人物の気持ちや人間模様などを想像することに魅力を感じていました。そういったことを調べたりしていくうちに、だんだんと芸能界に興味が出てきました。宮崎にいた小6の12歳の時にアミューズの今のマネジャーさんとお会いする機会があって、そこで声を掛けていただき、事務所への所属が決まりました」

――憧れていた世界だったとは思いますが、事務所への所属が決まり、不安などはありませんでしたか。

「俳優になるためには、まず事務所に入ってレッスンなどを積んでいくことが必要だと思っていたので、俳優を目指せる環境があることはすごいことだと感じています。『やるからには本気で頑張らないといけない』と思っています」

――『あな奪』の撮影期間中に上京されたともお聞きしました。

「中学2年生までは宮崎にいたので、飛行機で東京に行って、宮崎に帰ってを繰り返していました。中3になるタイミングでたまたま父の仕事の転勤が重なって、家族で関東に引っ越しました。生まれは鹿児島ですが、10年以上宮崎で育ってきたので、大好きな地元の友達と離れる寂しさはありました」

私生活についても語った【写真:増田美咲】
私生活についても語った【写真:増田美咲】

滝藤賢一や綾瀬はるかに憧れ「いつか私もコメディーやアクションをできたら」

――特技はダンスとお聞きしました。部活などもされていたのでしょうか。

「幼稚園の年中ぐらいから習いごとでダンスをやっていて、ヒップホップ、チア、ジャズといろんなジャンルをやっていました。部活には入っていなかったので、帰ったらドラマや映画をたくさん見ていました。宮崎は民放が2局しかないので、TVerや見逃し配信で必死に追いついていました(笑)」

――印象に残っている作品や憧れの俳優さんはいらっしゃいますか。

「今でもすごく大好きなのが『探偵が早すぎる』(2018年、読売テレビ)です。滝藤賢一さんのコメディアンっぷりが面白くてハマりました。でも別の作品ではシリアスな怖い役を演じていて、『俳優さんってすごいな』と感じました。いつか私もコメディーに挑戦したいです。

 綾瀬はるかさんにも憧れていて、『奥様は、取り扱い注意』(17年、日本テレビ)で、アクションもされている姿を見てから、私もいつかアクションもお芝居もできる俳優さんになれたらと思うようになりました」

――友達からはどんな性格と言われることが多いですか。

「第一印象は大人しそうとか落ち着いてると言われることが多いですが、打ち解けていくと『思っていたキャラと違った』と言われることが多いです(笑)。自分でも人見知りだとは思いますが、人と話すことは大好きです。友達の中だと意外とボケ担当みたいなキャラだと思います(笑)」

――ご自身で「中学生らしいな」と感じる一面などはありますか。

「むしろそっちの方が多いです! 家ではいつもジャージーで1日中ゴロゴロ寝ています(笑)。勉強も嫌いではないですが、あまり好きではないです(笑)」

――ご両親は一色さんが芸能活動されることについてどのような反応をされましたか。

「心配されることも多かったけど、私がどういう状況でも楽しめるタイプで、東京に行くこともお芝居をすることもすごく楽しんでいたので、その姿を見て、たくさん応援してくれています」

――ポジティブな性格とのことですが、悩むことはありますか。

「ポジティブだと思います。『あな奪』の撮影中にも何度か悩むことはありましたが、『自分の何がいけなかったのか』と一人反省会を開いて、一気に吐き出して、次の日には切り替えができるように意識していました」

――ご家族からアドバイスされたりすることもありましたか。

「アドバイスなどはないのですが、演じるシーンが難しかったり、理解できない場合には『これってどういう意味だと思う?』みたいな感じで、家族だけではなく、いろんな人の意見を聞くようにしています。その上で、自分の中でしっかりとかみくだくことを意識しています」

――今後はどういった作品に挑戦していきたいですか。

「今回の現場で、北川さんはじめ、たくさんの共演者の方と一緒にお芝居をさせていただいて、役への向き合い方などを間近で学ぶことができました。それを生かしながら、大きな夢の朝ドラに出られるような俳優さんになりたいです」

□一色香澄(いっしき・かすみ)2010年10月3日。鹿児島県で生まれ、宮崎で育った。24年、NHKドラマ『柚木さんちの四兄弟。』で俳優デビュー。25年11月14日公開の映画『平場の月』への出演も決まっている。現在の1番のリラックス方法は時間を気にせず寝ること。音楽を聴きながら眠りにつくことにハマっている。

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