フードを目深に被り、目元までマスクで覆った怪しげな男……。車両盗難の決定的瞬間を、車載ドライブレコーダーのカメラが捉えた。被害者は犯人の映像をSNSに公開、情報提供を募っているが、いまだ有力な情報は寄せられていない。会社での昇進を機に購入した念願のランドクルーザープラド。「生きてきた証や思い出まで奪われた」と語る被害者に、卑劣な犯行手口の詳細を聞いた。

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「2025/2/23 AM5:16に自宅駐車場にて主人の車が盗難に遭いました。盗難された車のドラレコ映像から犯人の顔も特定済みです」

　今月9日、SNS上に公開されたドラレコ写真には、フードとマスクで顔を覆った犯人が、盗難車両の運転席でハンドルを握る様子が収められている。被害に遭ったのは、近年盗難が相次いで報告されている人気車種のランドクルーザープラド。盗難前日の深夜、栃木・宇都宮の自宅敷地内駐車場に停車した車が、翌朝こつ然と姿を消していたという。ドラレコの映像から、犯行があったのは午前5時16分頃とみられる。

　ドラレコ映像から割り出した犯人の特徴について、被害者は「男性だと思います。目は顔の中心に寄っていて、細目のつり目、マスク越しなので何とも言えませんが、輪郭は丸顔またはベース顔、鼻は横に大きく、口は下唇が上唇よりも大きいように見えます。体格はダウンジャケット越しなので何とも言えませんが、やせ型ではなく中肉だと思います」と説明。

　盗まれた車は5年前に乗り出し価格約400万円で購入した新車だといい、「通勤、レジャーを目的にファーストカーとして購入しました。一生に一度はプラドに乗ってみたく、会社で昇進があった時に購入した思い入れが強い車です」と、かけがえのない愛車を奪われた苦しみを吐露する。

「心境は怒りと憤りが占めています。故人の形見を車内に乗せていたこともあり、モノだけではなく生きてきた証や思い出まで奪われました。盗難車が犯人の飯のタネになると考えると同じ人間だとは思えません。犯人は人生を振り返るときどう思うのかなと考えてしまいます」

　大きな社会問題となっている車両盗難を巡っては、厳罰化を求める声も高まっている。被害者は「あまりに検挙率が低すぎるので、厳罰化は避けられないと思います。オーナーも防犯に努めるべきですが、今の状況は自動車メーカーにとっても他人ごとではありません。純正として防犯に努めるべきではないかと思います」と、やりきれない思いを口にしている。