宝塚退団10年で実現のミュージカル共演に…柚希礼音「感慨深い」、夢咲ねね「喜びひとしお」【対談・前編】
20th Centuryの坂本昌行が主演を務め、NEWSの増田貴久、柚希礼音、夢咲ねねらが出演するミュージカル『ホリデイ・イン』(演出・ビル・ディーマー)が、4月に東京、4、5月に大阪で上演される。同作では、宝塚歌劇団退団10年を迎える元星組トップコンビ、柚希と夢咲がミュージカル初共演。“ちえねね”として人気を博した2人が、同じ舞台に立つ意気込みを語った。

元星組トップコンビ 『ホリデイ・イン』に出演
20th Centuryの坂本昌行が主演を務め、NEWSの増田貴久、柚希礼音、夢咲ねねらが出演するミュージカル『ホリデイ・イン』(演出・ビル・ディーマー)が、4月に東京、4、5月に大阪で上演される。同作では、宝塚歌劇団退団10年を迎える元星組トップコンビ、柚希と夢咲がミュージカル初共演。“ちえねね”として人気を博した2人が、同じ舞台に立つ意気込みを語った。(取材・文=Miki D’Angelo Yamashita)
『ホリデイ・イン』は、1942年に公開されたビング・クロスビーとフレッド・アステアの主演映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)を基に、2014年に米国・コネチカットで誕生したミュージカル。同作は16年にニューヨークのブロードウェイに進出し、今回は日本初演となる。演出・振り付けは、ビル・ディーマー氏。翻訳・訳詞は高橋亜子氏が担う。坂本が演じるのは、主人公のジム・ハーディ。増田はジムの親友でパフォーマーとしてのパートナーであるテッド・ハノーバー役、柚希はジムとひかれ合うリンダ・メーソン役、夢咲はジムの元恋人でテッドとショーを続けるライラ・ディクソン役を務める。
物語は、舞台俳優のジム(坂本)が米国のショービジネスを引退し、コネチカット州の農場に移住を決意するところから始まる。しかし、ジムの恋人・ライラ(夢咲)はショービジネスの世界を諦めきれず、ジムの友人のテッド(増田)とダンスパートナーとなり、ショーを続けることに。その頃、1人移住したジムは農場の管理人と祝日限定でショーを上演するホテルのホリデイ・インを営業することを思いつく。そこで出会った学校教師のリンダ(柚希)らとともに華麗なショーを繰り広げ、ホリデイ・インは大成功。ジムとリンダには特別な感情が芽生える。そして、テッド、ライラを踏まえて4人の愛と夢が交錯していく。
主人公に関係する役柄を演じることになった柚希と夢咲は、宝塚歌劇団で6年間コンビを組んでいた。同劇団100周年を盛り上げ、15年に退団した後もそれぞれが舞台などで活躍している。そして、実現する共演。ともに喜び、テンションを上げている。下記は対談前編。

柚希「女性言葉を使う芝居が恥ずかしい!」
柚希「『ホリデイ・イン』出演のお話をいただいた時に、まず、映像を見せていただきました。心温まる物語で、おもわずほっこりしました。宝塚時代の相手役、夢咲ねねと退団して10年目にようやくミュージカルで共演できることもうれしいですね」
夢咲「私も台本を読ませていただきましたが、アメリカらしいハッピーな物語で、40年代の背景と曲も心踊る作品ばかり。しかも、ちえさん(柚希の愛称)と共演で、喜びもひとしおでした」
柚希「退団後すぐなら共演の機会もありそうですけど、『やっと』と感慨深い思いです」
夢咲「ショーでは、2024年にちえさんのコンサート『REON JACK 5』にゲスト出演させていただき、そのあとも宝塚100周年の時のトップスターさんが集結した『RUNWAY』でご一緒させていただいているのですが、100分のショーステージだったので」
柚希「そうそう。2024年はショーで半年一緒だったけど、ついに芝居で共演!」
夢咲「今作も残念ながら、ちえさんとの絡みはあまりないのですが」
柚希「今回は、ブロードウェイのレプリカではなくて、振り付けや演出が新バージョンなんです。演出・振り付けのビルさんに、『あなたはすごく踊れるらしいから、たくさん踊ってもらおうと思う』と言われたのですが、振り付けも私たちのためにイチからから付け直してくださるし、キーも私たちに合わせていただける。ぜいたくな環境で演じさせていただけることに、心から感謝しています」
夢咲「私もビルさんにお会いしました。その時、『ちょっと踊ってみよう』と振りをいただいて、踊る状況になったんです。途中からビルさんも入ってきてくださって、2人で踊ったのが心地よくて。大変な実績をお持ちの方なので、ビルさんに教えていただけるのは大きな刺激になります」
柚希「ブロードウェイの映像は、面白すぎて何回もリピートしてしまうほどです。最後は予想通りハッピーエンド。今まで出演したことがないタイプの作品なので楽しみです」
夢咲「私は前回出演した『モダン・ミリー』も王道のブロードウェイミュージカルでとても楽しかったので、今回も心踊ります。オーバーチュアが流れてくるだけで、お客さまも出演者もすぐに作品の世界に引き込まれる。そんな世界観を持った作品に新しいバージョンで挑戦できてありがたい限りです」
柚希「リンダ役は、私とは真逆のキャラクターのように感じるのですが、40歳を超えた独身女性が1人で過ごすさびしさとか、一方で自立した女性を目指して頑張って生きているところには共感できます。まずはそのあたりを手がかりに、自分なりのリンダを描き出せるようにと模索中です」
夢咲「ライラは『女優になりたい』と夢を明確に持っていて野心に燃える女性。恋人よりも仕事、という潔さがかっこ良くて、この作品のスパイスになれたら、と試行錯誤しているところです」
柚希「アービング・バーリンの曲も魅力で名曲ばかり。家でもずっと口ずさんでいるくらいです。特に『ホワイト・クリスマス』は、この作品(ミュージカルの原作となった映画『Holiday Inn』)のために作られたんですね。歌稽古の時、『これもあれも知っている』と気づき、この作品とは知らずに聞いていた曲がたくさんあることに驚きました。みなさまもよくご存知の曲ばかりなので、歌いこなせるよう練習に励んでいます」
夢咲「私は、夢が少しずつ近づいてくライラとテッドの場面で歌われるノリノリの曲『Heat Wave』がお気に入りです」

2幕で2人の絡み…夢咲「最高に面白そう」
宝塚時代は、男役・柚希礼音、娘役・夢咲ねねの“男女コンビ”だった2人。今回は、“女性同士”として共演する。どのような気持ちで新たな関係に臨むのだろうか。
柚希「『女性同士!』。そうなりますよね。退団してから、ねねと関わる時はショーでしたから、『何とかだわよ』といった女性の言葉使いの芝居を見られるだけでも恥ずかしい! 宝塚時代も私が男役の時にショーで女性役になるのを見られるだけでも恥ずかしかったくらいなので、今回はどれだけ恥ずかしい思いをすることかと想像するだけで怖いです(笑)」
夢咲「2幕の最後の方でちょっとだけ絡むのですが、その場面が最高に面白そうなので楽しみでなりません」
柚希「坂本さんも増田さんも初めましてですが、イメージがこの作品にぴったり。なので、すでにおふたりに置き換えて台本を読んでいます。ジム役の坂本さんは、誠実で素朴、真面目でキュート。多彩な面を見せていただけるのは勉強になると思いますし、テッド役の増田さんは包容力があり、ユーモアたっぷりに演じられる姿を楽しみにしています。おふたりがそろったら無敵ですね」
夢咲「増田さんが主演だった2024年のミュージカル『20世紀号に乗って』は拝見しました。歌もお芝居もダンスも、コメディーまでできる。すごい方だと思います。坂本さんは撮影の時に前後だったので、ごあいさつだけさせていただきましたが、その時から優しい、包み込まれるようなオーラを感じました」
□柚希礼音(ゆずき・れおん) 大阪府出身。1999年、宝塚歌劇団入団、星組に配属。2009年、星組トップスターとなり、稀代のダンサーとして人気を博す。14年には日本武道館での単独コンサートを実現。15年の『黒豹の如く/Dear DIAMOND!!』を最後に宝塚歌劇団を退団。以降、舞台やミュージカルを中心に活動。今年は4月に『ホリデイ・イン』、10月に『マタ・ハリ』を控える。今年1月には、初シャンソンアルバム『Les Nouvelles Chansons』をリリースした。
□夢咲ねね(ゆめさき・ねね) 富山県出身。2003年に宝塚歌劇団入団、月組に配属。09年、星組トップ娘役就任し、『ロミオとジュリエット』『眠らない男・ナポレオン―愛と栄光の涯(はて)に―』『オーシャンズ11』などに出演。15年の『黒豹の如く/Dear DIAMOND!!』で宝塚歌劇団を退団。以降も『1789-バスティーユの恋人たち-』『ポーの一族』『東京ラブストーリー』『ファインディング・ネバーランド』など舞台を中心に活動。妹は、宝塚歌劇団元雪組トップ娘役、愛加あゆ。
□ミュージカル『ホリデイ・イン』
4月1日(火)~16日(水) 東京・東急シアターオーブ
4月22日(火)~5月1日(木) 大阪・SkyシアターMBS
音楽:アービング・バーリン
脚本:ゴードン・グリーンバーグ、チャド・ホッジ
演出・振り付け:ビル・ディーマー
演出補・振り付け補:アシュリー・グラハム
翻訳・訳詞:高橋亜子
出演:坂本昌行、増田貴久、柚希礼音、夢咲ねね、保坂知寿、武藤寛、斎藤准一郎、藍実成、石川里奈、鯨井未呼斗、小島亜莉沙、鈴木万祐子、根岸みゆ、春口凌芽、MAOTO、森内翔大、吉田彩美、米島史子、岩下貴史、皆川梨奈(スウィング)
スタイリスト:間山雄紀(M0)=柚希
ヘアメイク:佐藤エイコ(ilumini.)=柚希
ヘアメイク:山本絵里子=夢咲
