新幹線で外国人客のスーツケースが「無人爆走」 目を疑う光景にがく然「どうしようもない」
新幹線に乗っていたら、スーツケースが座席間の通路を転がり始めた――。「無人爆走」の場面に肝を冷やしたという体験談が寄せられた。インバウンドの来日ブームや国内旅行需要の活況に沸く一方で、鉄道内の荷物トラブルが後を絶たない。「最近、本当に新幹線の荷棚の占拠がひどくなっており、正直、かなり弊害が出てきてます。場合により危険なことも多いです」と困惑するばかり。ビジネスマンの乗客が目の当たりにした「異常な光景」について聞いた。

「ルールを守っている側が泣きを見る構図になっている」
新幹線に乗っていたら、スーツケースが座席間の通路を転がり始めた――。「無人爆走」の場面に肝を冷やしたという体験談が寄せられた。インバウンドの来日ブームや国内旅行需要の活況に沸く一方で、鉄道内の荷物トラブルが後を絶たない。「最近、本当に新幹線の荷棚の占拠がひどくなっており、正直、かなり弊害が出てきてます。場合により危険なことも多いです」と困惑するばかり。ビジネスマンの乗客が目の当たりにした「異常な光景」について聞いた。
2025年1月の東京駅発の北陸新幹線。北陸や東北などの現場設備を管理するエンジニアの仕事に携わっている目撃者の乗客は、新幹線車内がスーツケースで埋め尽くされる光景に目を疑った。
「東京駅を出発後、上野駅で荷物が増えました。新幹線に乗って来た外国人団体数名を見ると、スーツケースが6~7個くらいあり、1人でスーツケースを2つくらい持っているように見えました。比較的若く、中国語を話していました。その外国人観光客たちは荷台の他、最後尾(1A/AB/1C席)や2D/2Eの後ろなどに、スーツケースを詰め込み始めたようでした」
車内に設けられた荷物置き場が埋まっていく。上部の荷棚にも大きなスーツケースが置かれていったという。
ここから危機感を覚える。外国人観光客のスーツケースが「通路を無人爆走」の事態が起きた。
「荷物が通路にはみ出ていたり、車輪止めしていないため動き出し、座席間の通路に転がってきました。危ないので止めにいったのですが、1個は1A/AB/1C席に座っている人のところに転がっていき、ぶつかりそうになっていました」
困惑の車内。「どうしようもないので、暴走したスーツケースはデッキのところに置きましたが、その後、外国人観光客がどうしたのかまでは確認していません。あと、2D/2E席の後ろに置かれたスーツケースは極端に大きいため、ここに座った人は椅子を倒すことができなかったと思います」と振り返る。
旅客需要の爆増により、新幹線は荷物置き場も“大混雑”。普段から新幹線を利用することが多い今回の乗客は「以前は、このフリーの荷物置き場が埋まることはそんなになかったのですが、最近は満杯になることが多いです。また、上の荷棚に無理に大きなスーツケースを突っ込むので、はみ出て危ない事例が多いです。1人で数個の荷物を占有してしまうので、あとから来た乗客が荷棚に荷物を置けないケースを多く見ます」と実情を教えてくれた。
仕事のため荷物を抱えて移動せざるを得ないビジネスパーソンもいるだろう。「当方も荷物は多いのですが、その場合は大きな荷物は、レンタカー店かホテル、宅配営業所に送るようにしています」。事前配送の手法などをやりくりしながら新幹線移動に臨んでいるとのことだ。
2024年の年間訪日外客数は過去最高に
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2024年の年間訪日外客数は3686万9900人を記録し、過去最高を更新した。一方で近年、外国人旅行客による、鉄道内の荷物トラブルや飲食店でのマナー違反の事例が相次いでいる。オーバーツーリズム対策を含めて観光立国としての課題にもなっている。ただ、海外客への差別・偏見に結び付けることがあってはならない。
今回の乗客は「私自身も現場機材のスーツケースがあり、専用荷台のない東海道新幹線(特大荷物は予約制)は外国人観光客の荷物置き場の利用トラブルが多いため、福井県あたりでは割高で若干遠回りになりますが、荷台のある北陸新幹線を利用して、トラブル回避しています。ただ、最近は北陸新幹線、東北新幹線でもかなり外国人観光客と大きなスーツケースが増えており、トラブルが増えてくると思います」と語る。
そのうえで、「今現在の問題点として感じるのは、外国人だから仕方ないみたいな対応で、トラブルが起きても、『駅員に連絡』と言いながら、駅員は全然来ないという状態があります。きちんと予約したり、ルールを守っている側が泣きを見る構図になっているので、ルールは厳格に、かつ公平に対応すべきだと思います。また、適切に置いていない荷物は『不審物として扱う』というルールにして、外国人観光客にもきちんと伝えるべきだと思います」と切実な思いを明かす。
鉄道事業者には、さらなる荷物ルールの周知とマナーの注意喚起の徹底が求められている。事態の改善は待ったなしだ。
