セントチヒロ・チッチ、ソロ活動から1年…音楽塾で基礎から学ぶ日々「今を生きていると実感」

2023年6月29日に解散した“楽器を持たないパンクバンド”BiSHの元メンバー・セントチヒロ・チッチが、ソロプロジェクト名のCENTとして11月3日、横浜BUNTAIで開催の『YOKOHAMA UNITE音楽祭2024』に出演する。長年スポーツ競技やライブ会場として愛されてきた横浜文化体育館が、今年4月に名前を変えてリニューアルオープン。初となる音楽フェスのステージには8組のアーティストが立つ。そこで、ENCOUNTはCENTを事前取材した。「フェスの楽しみ方」などを聞いたインタビュー前編に続き、後編のテーマは「ソロ活動の現在地、未来」。

今はすごく楽しいとソロ活動について語ったCENT【写真:ENCOUNT編集部】
今はすごく楽しいとソロ活動について語ったCENT【写真:ENCOUNT編集部】

CENTインタビュー後編

 2023年6月29日に解散した“楽器を持たないパンクバンド”BiSHの元メンバー・セントチヒロ・チッチが、ソロプロジェクト名のCENTとして11月3日、横浜BUNTAIで開催の『YOKOHAMA UNITE音楽祭2024』に出演する。長年スポーツ競技やライブ会場として愛されてきた横浜文化体育館が、今年4月に名前を変えてリニューアルオープン。初となる音楽フェスのステージには8組のアーティストが立つ。そこで、ENCOUNTはCENTを事前取材した。「フェスの楽しみ方」などを聞いたインタビュー前編に続き、後編のテーマは「ソロ活動の現在地、未来」。(取材・文=福嶋剛)

――ソロとして活動がスタートして1年が過ぎました。今の心境は。

「もの作りがすごく楽しいと思うようになりました。追い込まれていた時は、何かを作ることって大変だったし、すごく苦しさもあったんですけど、BiSHが解散して1人になった時、少し時間もできて、楽しんで曲を作れるようになりました。『もっとこれをやってみたい』『この人と一緒に曲を作ってみたい』とか、どんどんと挑戦してみたい気持ちも膨らんできました。きっと『何もできないからこそやってみたい』という理由もあると思います。今はすごく楽しいです」

――「何もできないからこそ」とは。

「今まで音楽に関して何の基礎もないまま曲を作ったり、ギターも見様見まねで弾いていたんです。私は練習嫌いな方なので、自分のお尻をたたくためにも『基礎から学んでみよう』と思い、音楽塾に通い始めました」

――具体的にどんなことを学んでいますか。

「本当に音楽の基礎です。音楽理論を学びながら曲の作り方を覚えたり、ギターの弾き方もイチから教えてもらい、自分の曲をギターで弾く時に『どうやったらカッコよく弾けるか』なんかも教わっています。学校に行き始めてからできた曲もあって、新しい発見もあるし、毎回たくさんの刺激をもらっています」

――歌手としてはどんな1年でしたか。

「歌に関しては、BiSHでは6等分だったものが、まるっと1人でやらなくちゃいけないので今も必死です(笑)。まだ1曲を納得のいく形で歌えることの方が少ないので『悔しい』っていう思いの方が強いです。今はボイストレーニングに通いながら、満足いく歌をライブで歌えるように鍛えています。いろんな声色を使って歌うことにも挑戦しています」

――現在はCENTというソロプロジェクト名で活動しています

「いつか音楽もお芝居も自分の中のイエスを見つけたいというのが人生の大きな目標なんです。ただ、ソロとしてスタートしたばかりなので、『今すぐに正解を見つけなくてもいいかな』と思っているので『私はこういうアーティストです』って決めつけたくないんです。だから今はCENTというあらゆる可能性を持ったプロジェクトの舵取りをしながら、いろんな人と関わり、時には相手に委ねながら『何をやりたいのか』『どんなことを表現したいのか』を目を凝らして探したいと思っています」

――曲作りで大切にしていることは。

「作詞作曲はできるようになりましたが、アレンジは勉強中です。初めてご一緒するアレンジャーさんが、どんな風に私にないものを引き出してくれるのか、それを間近で学べるのが今は楽しみです。迷った時は自分の直感を大切にしたいので、いろんな方からありがたいアドバイスをたくさんいただくのですが、『全てを聞いて、全ては聞かない』という感じで直感を信じるようにしています」

――8月に最新シングル『堂々らぶそんぐ』をリリースしました。

「去年リリースした1stアルバム『PER→CENT→AGE』(パーセントエイジ)は、こだわりをすごく詰め込んで時間を掛けて作りました。今回は反対に感じていることをストレートに伝えたいと思いました。ピースフルなラブソングですが、私は普通のキラキラした恋を書くよりも『当たり前って、当たり前じゃない』みたいな部分に焦点を当てて、私らしいちょっとヘンテコな方向で書いてみました」

――とても充実感があるようですね。

「もちろんです。音楽の基礎を学んだことで、気楽な気持ちで音楽と向き合えるようになってきました。曲が完成した時の喜びも毎回感じています。自分が表現したものを『好き』と言ってもらえたり、応援してもらえた時、私の人生を肯定してもらったような気持ちになるんです。それはBiSHの時もありましたけど、自分で歩き始めてみなさんからの言葉に励まされて、より『今を生きている』と実感しています。これからも自分を大切にしながら、応えていきたいと思います」

「お芝居も声優も音楽も積極的に挑戦したい」【写真:ENCOUNT編集部】
「お芝居も声優も音楽も積極的に挑戦したい」【写真:ENCOUNT編集部】

人にも自分にも優しい自分を目指したい

――俳優としては、加藤千尋の名で日本テレビ系連続ドラマ『放課後カルテ』に出演中です。看護師役ですね。

「加藤千尋でいる時は、『自分の知らない自分に出会う感覚』みたいな、誰かの人生を演じられるところが、お芝居の面白さだと思います。ただ、一番素の私なのがCENTでいる時です。BiSHの時の私は、発する言葉は自然体だったけど、BiSHという鎧(よろい)をまとっていたと思います」

――方で、グループの頃から一貫して守り続けていることとは。

「あの頃の思いは全く変わっていません。『私の音楽を聴いてくれる人たちに生きる力をあげたい』とか、『また絶対に生きて会おうね』という気持ちを伝えたくて音楽をやっています。それが私の原点なので、自分らしく楽しく生きることで、ハッピーな気持ちを誰かに与えていきたいです」

――CENT、加藤千尋として活動する上で大切にしていることは。

「『真面目に不真面目』かな(笑)。真面目過ぎる性格なので、すごく追い詰められたこともあるし、誰かを追い詰めてしまったこともありました。だから、今は無理をし過ぎないようにちゃんと自分の逃げ道を見つけてあげることを大切にしています。人に対しても、『何でできないの』じゃなくて、『一緒に逃げ道を探そう』とか、『無理しないで』って言える人でいたいです。人にも自分にも優しい自分を目指しています」

――挑戦してみたいことは。

「たくさんあります。お芝居も声優も音楽も。『どんどんお仕事ください』っていう気持ちです(笑)。他には、ダイビングにチャレンジしたいです。私、海が苦手で潜ったことはないんですけど、『海に入れるようになったらもっと楽しいだろうな』って。いつか克服したいです」

――そして、11月3日、4日とリニューアルした横浜BUNTAIで初の音楽フェス『YOKOHAMA UNITE音楽祭2024』が開催されます。CENTさんは3日に出演が決定しました。

「子どもの頃によく遊びに行った横浜で開催されるフェスに出演させていただけるなんて、今からホントに楽しみなんです。フェスって出会いの場でもありますけど、私を知らないお客さんに知ってもらうための『戦いの場』でもあるんです。なので、単独公演とはちょっと違う力の入り方になるんです。でも、誰かと比較するんじゃなくて、どれだけ私らしさをみなさんに見せられるかが大切。なので、そこに全力を注いでCENTを知ってもらえたらうれしいです。『堂々らぶそんぐ』も歌いますので聴いてくださいね」

□セントチヒロ・チッチ 5月8日、東京都生まれ。2015年、楽器を持たないパンクバンド、BiSHのメンバーとして活動開始。22年8月からCENTの名義でソロプロジェクトを開始、23年6月にグループ解散。同年8月、加藤千尋の名義で俳優としてドラマ、舞台で活動を始めた。声優としても映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でヒロイン役の吹き替えを担当。

『YOKOHAMA UNITE音楽祭2024』公式HP
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