【RIZIN】キム・スーチョル「骨を埋める覚悟で来た」 バンタム級ベルト獲得へ「命がけで、死ぬ気で戦う」
格闘技イベント「RIZIN.48」(29日・さいたまスーパーアリーナ)の試合前記者会見が27日、都内で行われた。第10試合RIZINバンタム級王座決定戦で井上直樹(27=キルクリフFC)と対戦するキム=スーチョル(32=韓国)が命がけの戦いになると試合への覚悟をあらわにした。
試合前記者会見「ベストを尽くしたい」
格闘技イベント「RIZIN.48」(29日・さいたまスーパーアリーナ)の試合前記者会見が27日、都内で行われた。第10試合RIZINバンタム級王座決定戦で井上直樹(27=キルクリフFC)と対戦するキム=スーチョル(32=韓国)が命がけの戦いになると試合への覚悟をあらわにした。
2015年のRIZIN初参戦から約9年。紆余曲折を経てついにRIZINタイトル戦に辿り着いた。
「従来通りのトレーニングを積んできました。これまで10数年間夢見てきた舞台で、チャンピオンになるまでもう数日しか残ってないということ、とても嬉しく思います」
アグレッシブなファイトスタイルが持ち味のスーチョルのMMA通算成績は30戦で22勝7敗1分。対日本人は10勝無敗と日本人キラーぶりを発揮している。日本人のファンも増えているという問いかけには「ほんとにほんとに嬉しいです」と満面の笑みを浮かべながら日本語でコメント。そのうえで、「人気は全然実感していません。自分なりに自分の生き方をそのまま続けているだけなんですけど、好きになっていただいていたとしたら、本当に心から、心から感謝したいと思います」と感謝を口にした。
17年には、強迫性障害やパニック障害に苦しみ格闘技の世界を完全に引退した過去を持つ。「毎日ほんとに些細なことに感謝の気持ちを持つ、食事や歯磨きも必ずするということ。こういった小さなことの積み重ねを欠かさないということで乗り越えた。それから、いいお話だけを聞こうとする、そういった努力もしました。他には1人でいる時間を楽しもうということで、たくさんいい本を読みました」と当時を振り返った。
そんなスーチョルの人生の支えになっているのが、最愛の家族の存在だ。当時は幻聴にも苦しんでいたというが、「結婚をして、子供が生まれて、そうするとですね不思議なことに幻聴がもう聞こえなくなっていました」と回想した。
会見中にはともに来日している子どもの泣き声が会場の外から聞こえてくる場面も。「井上選手よりも私が上回ってるとしたら強靭な精神力だと思う。子供が生まれて、そして子育てをしてみて、本当に試合に命がけで臨むんだというその精神力はやはり一層強くなった」と子どもの存在の大きさを明かした。
韓国の報道陣からは勝てば3つ目のチャンピオンベルトになるという質問が飛んだ。これは韓国人ファイターとしては新記録だ。
「全ては幻だと思います。3回チャンピオンになること、3つのベルトを獲得することそれは重要ではありません。私にとって重要なのは、ここまで来たということ。精神力を持って、全ての体力を注ぎ、全ての力を注ぎ、ここまで来たということ。命がけで勝つためにここまで来たということです。もし勝ったとしたら、もちろん気分がいいと思います。ただ、その翌日、息子と妻を見ながらコンビニで買った100円ぐらいのおにぎりを食べる。それが私の人生にとって1番大事なことであり、それだけで私は満足です。もう一度言いますが、全ては幻です」
最後には神妙な面持ちで試合への覚悟を語った。
「私はここに骨を埋める覚悟で来ています。妻が聞いたら嫌がると思いますけれども、命をかけているので、明日、明後日ですね、試合をして死ぬようなことがあったとしても、ベストを尽くしたいという風に思っています。子供がいますけれども、私の妻は非常に能力のある女性なので、きっと彼女が立派に育ててくれると思います。私は本当に命がけで、死ぬ気で戦う、そういう覚悟でいまいます」
最愛の家族のために命がけの闘いに挑む男の目はまっすぐ前を見据えていた。