竹内由恵、静岡移住後にカフェでバイト テレ朝退職、結婚、出産…流産も経験した激動の5年間

元テレビ朝日アナウンサーで現在はタレントとしても活躍する竹内由恵(38)が10月2日に初のエッセイイラスト書籍『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』(祥伝社)を発売する。結婚を機に静岡県への移住を決断し、育児や仕事に奮闘する姿が愛らしいイラストとともに描かれている。竹内にとって大きな変化をもたらしたこの5年間。激動の日々を振り返ってもらった。

現在はタレントとして活躍する竹内由恵【写真:舛元清香】
現在はタレントとして活躍する竹内由恵【写真:舛元清香】

静岡移住で変化した価値観「生きやすくなった」

 元テレビ朝日アナウンサーで現在はタレントとしても活躍する竹内由恵(38)が10月2日に初のエッセイイラスト書籍『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』(祥伝社)を発売する。結婚を機に静岡県への移住を決断し、育児や仕事に奮闘する姿が愛らしいイラストとともに描かれている。竹内にとって大きな変化をもたらしたこの5年間。激動の日々を振り返ってもらった。(取材・文=中村彰洋)

――約4年前からイラスト漫画の投稿をSNSで始められました。きっかけを教えて下さい。

「元々、絵を描くことが好きで、昔からノートの端に落書きしちゃうようなタイプでした。テレビ朝日にいた頃から、子育て漫画や妊活漫画などを見ていて、特にはあちゅうさんが描いていた『旦那観察日記』が好きで、『私もああいうのを描いてみたいな』と思っていました。なかなかタイミングがなかったのですが、退社して静岡に移住し、時間ができたので、やりたいことをやってみようかなと思い、描き始めました。実際に投稿してみたら、共感してくださる声などもいただけて、続けることができています」

――漫画では、旦那さんとの出会いやなれそめ、けんかの内容なども赤裸々につづられていますね。

「あまり描きすぎると、夫に『あれはやめてくれる?』と言われたりすることもあります(笑)。でも、漫画自体は気に入ってくれていて、息子の絵を見て、『そっくりで好きだよ』とも言ってくれます」

――ポップなイラストで描かれていますが、内容は妊活の悩みや子育てでの嫉妬心、感情の起伏などをさらけ出している印象を受けました。発信することへの躊躇などはありませんでしたか。

「普段からそういったことに抵抗はあまりない方だと思います(笑)。本当に深刻な悩みとして表現してしまうと、読んでいる方を心配させてしまうと思うので、毎回オチをつけるようにはしていました。『深刻な悩みをどう見せたら、笑って終われるかな』という部分は自分の中では気を付けていたポイントです」

――漫画でそういった心情を描くことで自分自身が楽になる部分もあったのでしょうか。

「楽になりましたね。特に悩んだのが、それまで『ママ好き』と言ってくれていた息子が、突然パパっ子になっちゃった時でした。その時は、本当に落ち込んで、騒ぎまくってました(笑)。でもそれをインスタで公開した時に『うちもそういう時がありました』などの言葉をいただいて、本当に慰められました。あの時は漫画で描いたことで私自身が救われました」

――2019年の結婚を機に、テレビ朝日を退職し静岡への移住を決断されましたが、当時はどういった心境でしたか。

「専業主婦になるのかどうかも分からず、白紙の状態で静岡に行きました。最初の1か月ぐらいは楽しかったのですが、ずっと仕事がない日々というものが、私には耐えられませんでした(笑)」

静岡移住後の激動の5年を語った【写真:舛元清香】
静岡移住後の激動の5年を語った【写真:舛元清香】

手探りだった子育て「最初は敬語で話したり、名前に“さん”を付けて呼んだりしていました」

――漫画の中ではアルバイトをするために履歴書を書いたというシーンもありますが、実際にバイトをされたのでしょうか。

「実際にカフェで1年ぐらいバイトさせてもらいました。ずっとカフェをやってみたいという夢を持っていたこともあって、静岡に引っ越して、アナウンサーも辞めて、『次は何やろうかな』と思った時に、大好きなコーヒーを仕事にしたいと思い、行動してみました」

――カフェで働かれていたら、お客さんはびっくりしませんでしたか。

「どうなんですかね……。ほとんど気づかれていなかったと思います(笑)」

――今回、書籍化するにあたって描き下ろしの漫画も掲載されています。中でも1番驚いたのは、第1子をご出産前に流産を経験されていたという告白でした。なぜこのタイミングで公表の決断をされたのでしょうか。

「SNSで発信すると不特定多数の人が目にするので、それを見たことで、私が想定していないような思いになる人もいるだろうなと思っていました。書籍であれば、もう少し限定された人が見ることになりますし、私の思いもしっかりと伝えられるかなと思って描くことにしました。私も流産してしまった時、他の人の発信を見ることで、『この人でもそういう経験してたんだ』『私だけじゃないんだ』と乗り越えられたんです。私がその当時の思いを発信することで、私が救われたように誰かの気持ちが少しでも楽になればいいなという思いで公表しました」

――そういった経験をされたこともお仕事に復帰されるきっかけになったのでしょうか。

「まさにそうですね。妊活を頑張りたくて、静岡に行ってからはそれに集中しようと思っていました。でも、現実はそんなに簡単ではなくて、流産を経験したことで、不安な日々を送っていました。そんな時に、気持ちを切り替えて仕事をすることで、自分を救えるんじゃないかなと思って、仕事を再開させました。自分にとって仕事は救いになっていて、気持ちも分散されますし、何より仕事をすることがとても楽しいので、やっている方が生き生きしていると思います」

――漫画では、旦那さんに嫉妬する描写など、お子さんへの思いがとても伝わってきますね。

「子どもが欲しいという気持ちはもちろんありましたが、元々子どものお世話などが得意なタイプではなかったんです。そもそも周りに子どもがあまりいない環境だったということもあって、子どもとの接し方にはいつも迷ってしまっていたので、『実際に自分に子どもができたらどんな対応になるのかな』とは思っていました。自分の子どもなのに、最初は敬語で話したり、名前に“さん”を付けて呼んだりしていました。手探りでしたが、こうやって本を見返すと、すごく楽しんでいたんだなと実感します。新しいことばかりで、人間ってこうやって成長していくんだなと感じました」

――漫画の中には竹内さんが泣いている描写も多く描かれていますが、感情の起伏は元々大きい方だったのでしょうか。

「元々感情的で、悩みがちなタイプでした。しかも悩みを自分の内側に秘めずに躊躇なく話しちゃうタイプで、周りに当たり散らすという……(笑)。それで自分が救われて、周りが困っていることもあったかもしれません。特に夫には『本当にご苦労さまです』と伝えたいです(笑)」

今後はコーヒーを仕事にすることも考えている【写真:舛元清香】
今後はコーヒーを仕事にすることも考えている【写真:舛元清香】

変化した環境「挑戦している今が本当に楽しいです」

――結婚に退職、移住に出産と激動の約5年を送られましたが、価値観などに変化は生まれましたか。

「静岡に越してきてからは、家族との時間が主で、友達も限られた人しかいません。東京に住んでいると、目移りしてしまうこともありましたが、今は周りの行動を見て、焦ったり、心が揺れ動くことが少なくなってきたと思います。だからこそ、他人と比較して自分の行動を卑下するのではなく、自分が本当にやりたいと思うことを素直に行動できるようになりましたね」

――ずっと競争社会にいたからこそ、なおさらですね。

「全然知らない土地に移住したことも良かったなと思っています。知らない人、知らないものばかりだから、人と比べようがないんです。なんだか、生きやすくなったなと感じています」

――現在はタレント活動もされていますが、今後のビジョンなどはございますか。

「ずっと考えています。バラエティーなどでは、芸人さんたちとはまた違った役割を求められているかなとも思うので、今までテレビ朝日で培ってきた技術を生かしながら仕事をしていきたいなと思っています。

 また、待ちの姿勢ではなくて、自分から『こうしたい』と思うことを始めてみたいなと思っています。そういう意味では漫画もその1つですね。今後は、大好きなコーヒーを仕事にしてみたいなとも思っています。コーヒー豆を焙煎して販売してみたいです。

 とにかく、新しいことを始める。自分が知らなかった世界に入ってみることが好きなので、それに挑戦している今が本当に楽しいです」

□竹内由恵(たけうち・よしえ)1986年1月20日、東京都出身。2008年に慶應大を卒業。同年にテレビ朝日にアナウンサーとして入社。新人ながら『ミュージックステーション』の8代目サブ司会を担当。13年秋に降板するまで5年間の出演は番組史上最長となっている。19年3月に一般男性と結婚。同年限りでテレ朝を退社し、静岡に移住。21年2月に長男、23年8月に長女を出産した。現在はタレントとして活動中。

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