「デコトラだとは思ってない」 ド派手なトラック、実は社用車 建設現場の職人が熱視線、仕事にもプラスに

社用車をデコトラに改造、注目を集めているオーナーがいる。2005式いすゞPMエルフに乗るのは、埼玉県在住の小澤逸人さんだ。もともとこんなに改造するつもりはなかったそうで、本人は「デコトラに興味もなくて」と、デコトラと呼ばれることを否定する。なぜ、こんなに派手な車になってしまったのだろうか……。

内装は赤で統一している【写真:ENCOUNT編集部】
内装は赤で統一している【写真:ENCOUNT編集部】

こだわりのマフラー 「本当に少しずつ改造しています」

 社用車をデコトラに改造、注目を集めているオーナーがいる。2005式いすゞPMエルフに乗るのは、埼玉県在住の小澤逸人さんだ。もともとこんなに改造するつもりはなかったそうで、本人は「デコトラに興味もなくて」と、デコトラと呼ばれることを否定する。なぜ、こんなに派手な車になってしまったのだろうか……。

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 小澤さんが小型トラックのエルフを購入したのは2005年のことだ。新車で価格は400万円だった。

「箱が高かったんですよね。下はそうでもないんすけど、箱が100万ちょっとかかっています」

 用途は仕事用だった。小澤さんは川口で建設関係の仕事をしている。

「元々は何の飾りもなく、本当にどノーマルの状態で、仕事で使うために買いました。とりあえず物が盗まれたりしちゃうじゃないですか。それなので、鍵がかかる箱を買いました」と、経緯を明かす。

 デコトラは運送業が多いが、愛車の箱の中には仕事道具が入っているだけだ。

 カスタムに興味が湧いたのは車を購入してから。

「ちょっとずつ、ちょっとずつやってこの形になっています。本当に少しずつ改造してっていう感じですね」

 メッキ類から始まり、シートカバー、ドアバイザー、バスマーク……と自分好みに。パーツはトラックショップ・ジェットなどの専門店で購入した。

「俗にデコトラってみんな言うんですけど、デコトラにあんまり興味もなくて。ただ(パーツが)あるから、あ、かっこいいなと思ってつけようみたいな。とにかくあるから買って飾ろうかなと」

 デコトラには無関心。仲間がいるわけでもない。

「別にデコトラに乗りたいわけでもなく。そういうグループに入っているわけでもないですし、デコトラのイベントに行くわけではないです。仕事でしか使わない。ちょっと飾ってはありますけど、普通にトラックだなって思っています」

ハンドルを握る小澤逸人さん【写真:ENCOUNT編集部】
ハンドルを握る小澤逸人さん【写真:ENCOUNT編集部】

輝くシャンデリア、プレゼントの主は…

 元々灰色だったシートを含め、内装は「とにかく赤がかっこいいかな」と赤に統一。

 最もこだわったのは、マフラーだ。「マニ割りって言うんですけど、それが1番こだわりというか、自慢できる場所かなと思っています」

 集合管であるエキゾーストマニホールドを割るカスタムは、トラック運転手の間で有名だという。

「マニホールドというのがエンジンにくっついているんですけど、それを切って割って2本にします。本当は1本で後ろから出ているんですけど、途中から横に回してきたんですね。まっすぐだったものを横にして」

 普段はサイレンサーをつけており、車検を通している。イベントでは旗棒を装着しているが、これも公道では外している。

 内装にも自慢できるところがある。

「会長にいただいたシャンデリア。それが車内では1番自慢できるかな。クラシックカーのイベントに来れば、会長のことを知らない人はいない。直接もらっているので、シャンデリアがお気に入りです」

 車内に輝く高級感のあるシャンデリア。「会長」とは、埼玉を中心に数多くの車イベントを開いている日本旧軽車会・吉崎勝会長のことだ。この日もアリオ上尾でのイベントだった。

 また、“あぶくのクリスタルのシフトノブ”もポイントだ。カスタムはまだまだ進行中で、「いま、灰色の部分は赤い生地を張っていきたいなとは思っています」と、意欲を示した。

日本旧軽車会・吉崎勝会長から贈られたシャンデリア【写真:ENCOUNT編集部】
日本旧軽車会・吉崎勝会長から贈られたシャンデリア【写真:ENCOUNT編集部】

建設現場でも注目の的、「目立っているほうが印象が強い」

 小澤さんはプライベートでは自家用車を4台持っている。

「インプレッサとクラウン、ジムニー、ルークス。場所によって変えています」

 一方で、社用車は建設現場でも抜群の注目を集める。

「現場に行くといろんな職人さんがいる。その職人さんには結構、話かけられます。『随分車いじってんだね』とか、『随分飾ってるね』って。興味ある人たちは話しかけてきますね」

 コワモテの雰囲気も漂うが、意外なことに、仕事に生きている。

「お客様仕事なので、一般住宅にも仕事に行くんですよ。そうすると、お客さんが『えええ、すごいね。写真撮らせて』とかっていうのはよくありますね。仕事上でもプラスになっていると思います。かなり目立っちゃうので」

 インパクトは絶大のようだ。

「イベント用じゃなく、常にこれで仕事をしている。そこはまあ、自分も自慢はできるかなとは思います」と胸を張った。

 今後の目標を聞くと、「今と変わらず、何か気になれば(パーツを)つけるし、気にならなければつけない。これを改造したい気持ちはそこまではないです。お金もかかるし、時間もかかるじゃないですか。仕事で使っているから、この車を空けることはなかなかできない。年末年始の長い休暇でいじる。1年に1回、どこかが変わっていくみたいな、そういう感じでいじっています。『あ、この車が来たんだ』みたいに、仕事もうまくいけばいいかなと。目立たないより、目立っているほうが印象が強いじゃないですか」。

 デコトラのイベントには今後も参加する予定はない。

「デコトラだとは自分では思ってないので」と小澤さんは爽やかな笑みを見せた。

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