窪塚洋介、民放ドラマに20年以上出演していない理由 今後も「TVからは離れておこうと」

俳優の窪塚洋介がPrime Videoで11月2日よりプライム会員向けに世界独占配信されたAmazon Original映画『ナックルガール』に出演している。本作の撮影の舞台裏や見どころとともに、作品への出演を決断する際の真意を明かした。

『ナックルガール』の見どころを語った窪塚洋介【写真:ENCOUNT編集部】
『ナックルガール』の見どころを語った窪塚洋介【写真:ENCOUNT編集部】

「俺が今のテレビ業界を語ってはいけないと思う」と心境吐露

 俳優の窪塚洋介がPrime Videoで11月2日よりプライム会員向けに世界独占配信されたAmazon Original映画『ナックルガール』に出演している。本作の撮影の舞台裏や見どころとともに、作品への出演を決断する際の真意を明かした。(取材・文=猪俣創平)

 同名の韓国人気ウェブコミックを原作に、日韓のクリエイター陣と日本の俳優陣がタッグを組んだ日韓共同作品となった本作。主人公の女性ボクサー・橘蘭(たちばな・らん)が突然失踪した大切な妹・柚希(ゆずき)を救出するため、グローブを外しナックルをはめて、命懸けの戦いに挑むクライム・アクション作品だ。

 本作の大きな見どころの一つは、オーディションで主演の座を射止め、本格的な肉体改造に取り組み大役を果たした三吉彩花だ。共演した窪塚は「一番言わなきゃいけない」と強調し、三吉の演技を称賛する。

「シャドーボクシングもさまになっていたし、かっこよくてすごく似合ってた。以前、あるハイブランドのパーティーでお会いしたことがあって、そういった女性のきれいなイメージを担ってる方じゃないですか? だから、モデルのイメージとのギャップで、よりワイルドでパワフルに見えるって、めちゃくちゃ女優の幅としていいと思うんで、いい仕事をされたなと思います」

 窪塚は本作で主人公の妹・柚希が失踪した事件に関与する謎の犯罪組織のボス・白石誠一郎を演じた。独特な雰囲気を持つキャラクターとあって、「エレガントにちょっと品よく見せるけど、温室育ちが悪い世界に入って調子に乗っているような、小物みたいに虚勢を張ってる感じがうまく見えたら面白いかな」とイメージを膨らませて臨んだ。

 今作の「日韓合作」に関心があったという撮影現場を、「チャン監督がすごくチャーミングな人で、仲良くなってご飯も行くようになったんだけど、波長も合ってすごくやりやすかった」と振り返る。通訳を介しながらコミュニケーションをとり、演技や演出のアイデアや意見を交換した。「こちらの話も聞いてくださる方だったので、監督として撮りたい画が明確にありつつも、こっちの考えの分もちょっと余白を空けて待っていてくれてる感じでしたね」という風通しのいい現場だった。

 もっとも、監督の色は「韓国だから」というお国柄ではなく、「人による」のだと説明する。2016年公開の巨匠マーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビューも果たしている窪塚は、「日本でも話ができない人もいるし、できる人もいる」としたうえで、「スコセッシ監督に関しては、撮りたいものが完成されているから。もちろん役のキャラクターとしてのアイデアとかは言っていたけれど、それによって画が変わることは多分起こっていなかったです」と違いをあげる。

今後も「面白いものは出ていきたい」

 今作に参加した背景には、BBC×Netflix制作のドラマ『GIRI/HAJI』(20年)への出演を機に「配信作品もバジェット感によっては全然アリ」と考えるようになったことも一つだった。「Prime Videoさんっていうのも気になったし、日韓共同作品への興味が一番大きかったです」と出演理由を明かし、「もちろん脚本もよくて、漫画原作の痛快アクションエンターテインメントみたいな枠としてポップな楽しみ方ができるかな」と期待を持っていた。

 近時の窪塚は国内外の映画や配信ドラマ、アニメ声優に舞台とさまざまな作品に出演している。オファーを受けるうえで「一番大事なのは脚本ですね」と作品選びのポイントを語る。

「たとえば堤(幸彦)さんであろうが、豊田(利晃)さんであろうが、『出てよ』って言われても『出ます』とは即答しないし、『じゃあ本を送ってください』とお願いします。それで楽しそうと思えるかどうか、胸のドキドキで判断しますね。誰が出るとかは後からのオプションとしてあって、最後のバランスを見て、自分の中で『より楽しそう』と思えるかどうかです。『このパターンだったら楽しくなくなるかも』となったら断ることもありますね」

 かつては『GTO』(フジテレビ系)や『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)など民放ドラマで強烈な存在感を放ってきた。しかし、02年を最後に20年以上も民放ドラマに出演していない。「22年近くやってないので、俺が今のテレビ業界を語ってはいけないと思う」としながらも、出演しない大きな理由として「バジェット」と「表現の自由さ」を挙げた。

「情熱だったり、自由さだったり……情熱がないとは言わないけれど、たとえ情熱を持ったディレクターやプロデューサーがいたとしても、情熱に見合う表現ができていないということは多々あると思うんですよ。あと、違う作品なんだけれど出ている顔ぶれが全然変わらなくて、お祭りというか、部活みたいな感じがする。出演しないことにはいろんな理由があるんですけど、それで一回離れたことがあったから、そのまんま離れておこうという思いは変わらずあります」

 他方、同じ俳優として活動する長男・窪塚愛流はインタビュー時に放送中だった日本テレビ系『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』に出演していた。「本当に久しぶりに民放のドラマを見ました」と息子の雄姿をチェックし、「第1話を見て、芦田愛菜さんと松岡茉優さんがすごくいいなと思って、引き込まれるものがあった」と感想を口にする。

 民放ドラマに一つの区切りをつけた20年前。その頃とはさまざまな変化も起きている。今後については、「たとえば今回のPrime Videoさんのように、サブスクとかの映像を作れる新しいタフな会社がどんどん出てきてるから、そこの作品は気にしたいし、面白いものは出ていきたいなと思っています。変わらず映画も出ようと思うし、いい作品があれば舞台もやりたいですね」と展望を明かした。

□窪塚洋介(くぼづか・ようすけ)1979年5月7日、神奈川県出身。95年にドラマ『金田一少年の事件簿』で俳優デビュー。その後、『GTO』『池袋ウエストゲートパーク』などのヒットドラマに出演。2002年、映画『GO』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞。17年にはマーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー。近作はNetflix『GIRI/HAJI』、高崎映画祭最優秀助演男優賞を受賞した映画『最初の晩餐』『スイート・マイホーム』、アニメ『火の鳥 エデンの宙』ほか。俳優業のほか、レゲエDeeJay、執筆などでも活躍。

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猪俣創平

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