一向になくならない自動車盗難は、新車購入の喜びを奪うほど、残酷で悪質だ。愛知県の女性、KZ（@BTS84624）さんは9月28日、トヨタ・ランドクルーザー300を「盗難されかけた」と投稿。犯人と対峙（たいじ）し、被害を未然に防いだものの、再犯不安からこれまで以上にナーバスな生活を強いられている。KZさんに詳細を聞いた。

「ランクル300 盗難されかけた。
愛知県。深夜2時頃かな？黄色？やまぶきいろのアクア乗ってました。気をつけてくださいね　チンピラ風の若い男。運転手は金髪とか茶髪系だった」

　KZさんはXの投稿に、ランクル盗難未遂事件が起きたときのことを詳しく記した。

　ランクルは盗難されやすい車種として知られている。日本損害保険協会が発表した「第24回 自動車盗難事故実態調査結果」によると、ランクルは車両本体の盗難ランキングで2021年、22年の2年連続でトップ。プリウス、アルファード、レクサスらを引き離している。中東を中心に世界的な人気を誇り、日本では長すぎる納期も話題になった。

　しかし、KZさんは購入直後とあって、本格的な盗難対策はこれからというところだった。

「車は納車したてだったので、タイヤロックのみでした。鍵は旦那が仕事など常に持って行動。家にいる時はアルミパックに入れておりました」

　このような状況で、車に目をつけたのが、冒頭の2人組だった。

　なぜ、未遂に終わらせることができたのだろうか。

「昼に怪しい男が車を見ていたので、夜警戒してレースカーテンだけにし、車の出入りに注意していました」

　犯人は下見に来ていたという。その姿を確認していたわけだ。

　犯行時間は深夜2時。通常なら寝静まっている時間帯も、KZさん一家は警戒を怠らなかった。

「車が入っていたのを確認したので警戒していたら、タイヤロックのカランという音が聞こえたので即外に出て、110番＋犯人に声がけ。警察が到着する前に車に乗って逃げて行きました」

　その間、わずか2～3分の出来事。タイヤロックを外そうとしていた犯人は、声がけに応じることなく、無言で逃走した。「AirPods（ワイヤレスホン）をつけていたので、運転手側が指令を出していた可能性はありです」と、ドライバーと連携を取っていた可能性を指摘した。

　ランクルという大切な財産をいとも簡単に奪おうとした犯人。盗難こそ免れたものの、KZさん家族が受けた衝撃ははかり知れない。

「我が家は一軒家で、前後ろと車を停めるスペースがあり、目につきにくい後ろに駐車しておりました。ただ、今回の一件を経て、目に見える位置に停車するように気をつけました。監視カメラも設置しました」

　盗難対策に、厳重警戒をせざるを得ない状況となった。

「人の財産を奪う行為は許されることではないと思います。自分の愛車。本来はここまで警戒しなくていいものでも、毎日寝れないほど警戒する日々です。せっかくの愛車ですが、購入したことを後悔してしまいます。ここ1週間は旦那が車中泊になってます。できる対策はしっかりするのはもちろん、犯人特定に早くつながるよう防犯カメラの設置など、証拠をしっかり握っておくことも重要だと今回感じました」

　家族の生活を豊かに、幸せにするはずの愛車の存在に、まさか心を痛めることになるとは。

　連日のように全国で多発する自動車盗難。今回、注意喚起の意味も込めて投稿したKZさんは、「なによりも、犯人特定につながるようオーナー様には努めていただくことも大切かと思います。全ての方がすてきなカーライフが送れるよう願います」と、自動車盗難撲滅への思いを強くした。

　姿を見られた犯人は諦めるのか。動きの読めない相手に今も不安がこみ上げる。

　窃盗犯が犯した罪はとてつもなく重い。