雨上りの空に見つけた虹。SNSでは、南部鉄器で知られる岩手・奥州で撮影されたダブルレインボーの写真が話題を集めた。地元の名産品とコラボレーションした構図に、ディズニー映画『アラジン』に登場する3つの願いをかなえてくれる人気キャラクターを思い浮かべた人もいたよう。南部鉄器の工房「及富」を営む菊池海人さん（@kaito_kiku327）に聞いた。

「鉄瓶から注ぎ出る虹を撮れました。見事な虹！」と投稿したのは、岩手県で創業175年目になる南部鉄器工房を営む菊池さん。「小雨が降っていた夕方5時ごろ、外で職人が騒がしくしていたので『何だろう？』と思って出てみると、工場の上空に見事な虹がかかっていてみんなで見とれていました」と当時の様子を振り返った。

　普段は屋内で仕事をしている菊池さんは、虹を見る機会は1年の中で2、3回あればいいそう。「ここまではっきりくっきりとした虹を見たのは人生で初めてだったので、『自然ってすごいなぁ！！』と感動しました」と教えてくれた。鉄瓶と虹をコラボレーションさせた写真を撮影した経緯については「工房の入り口にある門には、大きな鉄瓶をモニュメントとして飾っており、見上げた虹がその鉄瓶の背景にかかっていたことから、『一緒に撮影したら、面白いだろうな』」と思いました」と説明。持ち前の発想力はさらに「虹を注ぎ口に合わせたらいいんじゃないか？」とふくらみ、幻想的な写真が生まれたという。

　ダブルレインボーと鉄瓶という、めずらしい構図の写真を目にした人からは「これは芸術だ」「とっても素敵」「魅力的な風景」「虹の根元には宝物があるとは言いますが確かにこれはお宝な写真ですね！　素敵な写真をありがとうございます！」「おとぎ話みたい！　この鉄瓶でお茶飲んだらご利益ありそうですね」など称賛する声が続出。ディズニーの名作映画『アラジン』を思い浮かべた人からは「ランプの魔人（ジーニー）ならぬ鉄瓶の神様ニージーが出てきそうw」という声とともに7.6万件ものいいねが集まった。

　家業に就いて8年目を迎えた菊池さんは、プロダクトデザイナー兼職人として活躍。2022年からは、海外の鉄瓶ファンに向けた輸出も始めた。

「アメリカを中心に現在、数十か国に輸出しています。お茶を愛する国の方にとっての道具の選択肢として鉄瓶はあがります。近年では、コーヒーとの相性も注目され、著名なバリスタの方が鉄瓶を使うことも増えています。見た目のデザイン性だけではなく、お湯に溶け出す鉄分も注目の理由の1つであり、日々の生活の日用の道具でありながら彩りを添えてくれるのが鉄器の魅力だと思います」と話してくれた。

　南部鉄瓶について気になっている人に菊池さんからメッセージも。「気にはなっているんだけど、手入れが難しそうとおっしゃる方がまだまだ多いと思いますが、実はとても簡単に使える道具です。困った時は職人が自らご案内できるのが弊社の強みなのでぜひご相談ください。私の父（弊社専務）が数年前に『Youtuberになる！』と言い出して、鉄瓶の使い方などを開設しているYouTubeチャンネルがあるのでぜひ見てみてください。笑」とアピールしてくれた。