「これはひどい」砂浜に目を疑う光景 不法投棄が絶えない現状に怒り、美化団体が悲壮な訴え

砂浜に無造作に置かれたソファ、異様な光景が広がっている。不当な投棄が疑われる事案だ。場所は、海のレジャースポットとして知られる神奈川・大磯町の葛川の河口付近だという。一体どうしてこのようなことになったのか。SNS投稿で現状を伝えた公益財団法人・かながわ海岸美化財団の担当者に、環境美化への思いを聞いた。

砂浜に放置されたソファの異様な光景【写真:X(@bikazaidan)より】
砂浜に放置されたソファの異様な光景【写真:X(@bikazaidan)より】

「似たような不法投棄が絶えない現状」 かながわ海岸美化財団が発信

 砂浜に無造作に置かれたソファ、異様な光景が広がっている。不当な投棄が疑われる事案だ。場所は、海のレジャースポットとして知られる神奈川・大磯町の葛川の河口付近だという。一体どうしてこのようなことになったのか。SNS投稿で現状を伝えた公益財団法人・かながわ海岸美化財団の担当者に、環境美化への思いを聞いた。

「わざわざ、海岸まで捨てにきたのか、ここは河口なので、上流で捨てたのが流れてきたのか、どっちなんでしょ?」。異常事態を報告するXの投稿には、「目を疑いますね」「これはひどい」「それにしても酷すぎる」など、ユーザーからの怒りの反響が寄せられている。

 捨てられて放置されたのか、海や川を漂流してきたのか。疑問が深まる。

 同財団の担当者によると、ソファがあった河口のエリアは波打ち際から少しさかのぼった箇所で、「外海(相模湾)から流れてきたのは考えにくいかなと思います。逆に川の上流のどこかで捨てられたのが流れてきた可能性もありますが、周囲に他のごみがない状況から考えると、その可能性も低いかなと思います」と推測。

 そのうえで、「一番、考えられるのが、ここまで車で来てソファを捨てたということです」と言及する。理由について、「ここは車を無料で止められる場所であること、他にも、海際まで車が入って来ることができて夜間はひと気がない場所は、やはり似たような不法投棄が絶えない現状があります。ですので、今回のソファは、誰かがここまで捨てに来て川に放り投げたのかなと推測します。それを発見したまた別の人が、座れるような形にしたのかなと思います」との見解を示した。

 通称「美化財団」と呼ばれる同財団は1991年に設立。「日本で唯一の海岸美化専門の団体」として活動している。

「設立以前の相模湾で一番問題となっていたのが『ごみ』でした。今、日本だけでなく世界で問題となっている『海のごみ』が相模湾では30年前から問題となっていました。そこで県と市町が連携して海岸美化のために作られたのが、この美化財団になります。メインの事業はその名の通り、海岸美化です。東は横須賀市の東京湾側から、西は静岡県の県境までの約150キロの自然海岸を年間を通して清掃し、年間2000トンのごみを回収しています」。また、年間14万人のビーチクリーンボランティアに対してごみ袋の提供とごみの回収を無償でサポート。さらに、職員が学校に出向いて行う環境出前授業「学校キャラバン」や企業研修の受入れなどに取り組み、啓発活動にも尽力しているという。

「海のごみ問題と言っても、実は陸のごみ問題なんです」

 世界的に危機が叫ばれている「海のごみ」。海洋汚染の悪影響は深刻で、社会全体での解消が求められている。

 担当者は「こうしたケースがあると、海のごみは、海に誰かが捨てたモノとか、海外から流れてきたモノなどと思われる人がかなりたくさんいると思います。しかし、海岸に捨てられた放置ごみは全体の3割に過ぎず、海外からのごみは非常に少ないです。残りの7割は川からやってきています。陸域に捨てられたごみは、雨が降ると、雨水とともに川を伝って、海まで流れてきます。私たちの足元にあるごみが海まで行っているんです。海のごみ問題と言っても、実は陸のごみ問題なんです」と警鐘を鳴らす。

 1人1人が身近なこととして考えることも重要だ。同財団は「今、一番問題は、これだけ海のごみが社会問題化しているのにもかかわらず、ごみが減っていないことです。まだまだ、“自分事”としてとらえていただけない方がたくさんいるという現実の表れだと思います。私たち美化財団は『捨てないことが、一番のごみ拾い』と言っています。まずは、ごみを出さないこと、そして捨てないこと、そんな当たり前のことを1人でも多くの方が取り組むことこそが、一番のごみ拾いで、一番海をキレイにしていくことだと思っています」としている。

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